ルノートゥインゴ

<小粋でデザインに優れたトゥインゴ! ライバルは、フィアット500!? フランスVSイタリアのデザイン戦争だ!!>

ルノートゥインゴルノーは、オシャレなデザインで高い人気を誇るコンパクトカーのトゥインゴをフルモデルチェンジし発売を開始した。

新型トゥインゴは、このモデルからメルセデス・ベンツのスマートと車台部分などを共用するようになった。大きく変わったのは、駆動方式。従来までのトゥインゴはFF(フロントエンジン前輪駆動)だったのに対して、スマートと車台を共用することから、RR(リヤエンジン後輪駆動)へと変更されている。国内ルノーラインアップの中で、唯一の後輪駆動車だ。共通の車台を使っているものの、デザインやパワーユニットなどは異なっており、ルノーとスマート独自性は保たれている。

このクラスのコンパクトカーは、マイクロコンパクトとも呼ばれていた時期があるが、随分ボディサイズは大きくなっている。初代トゥインゴの全長は3,425㎜だったが、新型トゥインゴの全長は3,620㎜と随分成長した。大きくなったとはいえ、日本のコンパクトカーで人気車であるトヨタ アクアの全長が3,995㎜なので、375㎜も短い全長をもつコンパクトカーだ。日本には、独自のボディサイズをもつ軽自動車がある。軽自動車の全長制限は3,400㎜なので、ちょうど軽自動車とアクアなどのBセグメントコンパクトカーの中間サイズということになる。日本車では、このサイズのクルマが少なく、新型トゥインゴに近い全長をもつのはトヨタ パッソで、全長は3,650㎜。日本に導入されている輸入車でライバルとなるのは、フィアット500。全長は3,570㎜と新型トゥインゴにほぼ近いサイズをもつ。

新型トゥインゴのデザインは、初代トゥインゴの愛嬌ある丸型ヘッドライトをイメージさせている。サイドのショルダーラインは、緩やかな曲線を描きながらフロントからテールまで伸び、全長の短いクルマだが伸びやかなシルエットにみせている部分も特徴だ。そして、リヤコンビネーションランプは、リヤショルダーの断面にあり、広いガラスハッチの一部としてデザインされた。こうしたデザインは、新型トゥインゴがRRになったことを受け、リヤエンジンのルノー5ターボをイメージしたデザインが採用された。そんなこともあり、小さなボディながら、なかなか力感のある逞しいフォルムになった。

ルノートゥインゴインテリアデザインも、さすがルノーといえるものだ。一般的に、こうしたコンパクトカーはコストをかけることができないため、高価な素材が使えない。そのため、どうしてもチープな素材を使わざるを得ないのだ。チープな素材を使うと、国産車などはそれなりにしか見えないクルマが多い。しかし、ルノーのデザイン力は優れていて、チープな素材感さえもデザインの要素として取り込んでしまう。その結果、見事なほどポップで躍動感あるインテリアに仕上げている。

こうした新型トゥインゴのデザイン力に引けを取らないのが、ライバルとなるフィアット500。500はデビューから8年後にマイナーチェンジを行うくらい、賞味期限が長い優れたデザイン力をもつ。奇しくもトゥインゴはフランス。500はイタリア。両車ともデザイン大国ともいえる国を代表するモデル。先進技術面では、両車とも今ひとつだが、デザインだけは非常に魅力的だ。まさに、フランスVSイタリアのデザイン戦争ともいえる。

さた、新型トゥインゴに搭載されたエンジンは、0.9Lの直3ターボエンジン。90ps&135Nmを発揮する。車重が1,010㎏と比較的軽いこともあり、なかなか力強い走りを披露してくれそうだ。新型トゥインゴの燃費値は、21.7㎞/Lとまずまずの数値となっている。

燃費性能面では、まずまずの数値だが、ランニングコスト面ではなかなか厳しい状況にある。新型トゥインゴだけの問題ではないのだが、輸入車はハイオクガソリンを使う。欧州仕様のままなのだ。日本ではレギュラーガソリンが主流となるため、燃料費が高くなるハイオクガソリンではランニングコストはそれほど良いとは言えなくなるのだ。輸入車メーカーも、そろそろ日本のマーケット事情を考慮し、多少パワーが下がったとしてもレギュラーガソリン仕様にして欲しいところだ。当然、日本のメーカーであるホンダやスバルは、同じダウンサイジングターボ車でもレギュラーガソリン仕様にしているので売れている。また、トヨタ オーリスの1.2Lターボ車はハイオク仕様のまま。そのため、ほとんど売れていない。たかが燃料かと思うかもしれないが、こうした細かい日本への考慮がないこともあり、輸入車のコンパクトカーは魅力的なのに売れない原因のひとつとなっている。

そして、日本での使い勝手面で、大きなメリットとなるのが4.3mという最小回転半径。この最小回転半径は、もはや軽自動車並み。狭い日本の道でも苦にせず走れる。

さて、新型ルノー トゥインゴの価格。新型トゥインゴは、189万円からという設定になっている。この価格設定は、ルノーとしてはなかなか頑張った。フィアット500の1,998,000円という価格を大幅に下回る。500のエントリグレードは、1.2L自然吸気エンジンなので、コストが高くなるターボ車であることを考えると新型トゥインゴの価格は安い。500のターボモデルは、約229万円からと非常に高価だ。

ルノートゥインゴフィアット500と比べると、かなり買い得感のある新型トゥインゴだが、国産車と比べるとまだまだ高価だ。189万円という価格だと、ひとクラス上でハイブリッド車のアクアが買えてしまう。クルマにあまり関心がない層からみれば、デザインは魅力的でもハイオク仕様でランニングコストも高い新型トゥインゴと、最先端技術を使うハイブリッド車で超低燃費のアクアなど価格が同じくらいというのであれば、アクアを選択するのも十分に理解できる。趣味のクルマで少量売ればいいというのであれば、これでいいのかもしれないが、もっと多く売りたいと考えるのであれば、もう少し大胆な価格に踏み込むべきだろう。

車台を共用するスマートは、軽く200万円をオーバーする。ターボモデルは256万円という驚きのプライス。この金額になると、もはやスマートやメルセデス・ベンツブランドに傾倒していないと買えないクルマだ。スマートと比べると、新型トゥインゴもかなりリーズナブルに感じる。

新型トゥインゴには、通常モデルに加えルーフが大きく開く開放的なキャンバストップがある。このモデルは、ベース車に対してプラス10万円の199万円からとなっている。新型トゥインゴのおすすめは、このキャンバストップだ。フィアット500を除き、国産コンパクトカーなどのコンパクトカーと比べると、屋根がワイドに開くというだけでも差別化はできている。この仕様がベース車に対して、プラス10万円というのであれば、買い得感あり。そして、なんといっても新型トゥインゴのキャラクターに合う爽快感がプラスされているので満足度も高い。

キャンバストップ車をおすすめするもうひとつの理由はリセールバリューだ。こうした個性派輸入車の場合、より個性的なグレードに人気が集中する傾向が強い。おそらく、中古車マーケットでもキャンバストップ車の人気が高まる可能性が高い。人気が高まれば、中古車相場はアップしリセールバリューも上がる。新車の価格差は10万円と少ないので、売却価格も高くなる。リセールバリューが標準車に比べ良くなれば、元が十分に取れる可能性が高くなるからだ。

■ルノー トゥインゴ価格

・インテンス \1,890,000
・インテンス キャンバストップ \1,990,000