ライター紹介

CAR-TOPICS編集長

村田 創 氏

大学卒業後新車ディーラーにて5年勤務。その後、中古車のガリバーへ入社。車一筋20年以上のベテランが新車から中古車まで幅広く解説します。

BMWの魅力を存分に味わえる入門モデル

1シリーズは、それまでBMWのコンパクトクラスを担ってきた3シリーズコンパクトの後を引継ぎ、2004年に発売された。初代であるE87型は、全長4,240mm全幅1,750mmというコンパクトなハッチバックスタイルでCセグメントに分類される。

初代であるE87型には、5ドアハッチバックのほか、2ドアクーペ(E82型)や電動開閉式ソフトトップルーフを持つカブリオレ(E88型)などもラインナップされていた。

BMWコダワリの重量配分

2011年に2代目としてデビューしたF20型。初代と同様に、同セグメントのライバルがFFを採用して実用性を重視しているなか、FRで50:50という重量配分を貫く。入門モデルでありながら、BMWの「駆け抜ける歓び」を体現するプレミアムコンパクトカーとして独自の地位を確立。

コンパクトなボディサイズは、国土の狭い日本において多くの支持を集め、上質なものを求める女性から、走りに拘る男性まで人気のモデルとなっている。展開されるグレードは、ガソリンモデルが118i、120i、M140i、ディーゼルモデルが118dで、価格は317万円から618万円。

先代と比較して一回りサイズアップ

サイズアップと言ってもセグメントが変わるほどではなく、全長で100mm全幅は15mm拡大し、全高は30mm高くなっている程度である。デザイン上の都合で全長が延ばされている部分もあるだろうが、ホイールベースが2,660mから2,690mmに30mmストレッチされていることに注目したい。

たかが30mmと思われるかもしれないが、前後のトレッドも拡大されたことで、直進安定性は格段に向上し、車の挙動もマイルドに仕上がっている。1シリーズの武器でもある取回しの良さを犠牲にせず、走行性能を向上させるためには、30mmという長さが限度なのかもしれない。

同クラスで最も優れた取回し性能

同クラスで最も優れた取回し性能

上記でも少し触れたが、1シリーズの魅力は、BMWらしい走行性能と質感を維持しながらも、優れた取回し性能を発揮していることである。大きすぎないサイズ感もさることながら、最小回転半径が5.1mというのは、BMW内ではもちろん、同セグメントのライバルと比較してももっとも小さい。

FFレイアウトであるライバル達の最小回転半径は軒並み5.3m以上。それに対して、先代と変わらず、最小回転半径5.1mを維持できたのは、前輪の舵角を大きくできるFRレイアウトならではといったところだろう。

濃目な印象になったエクステリア

2代目である現行1シリーズは、2015年8月に大幅なマイナーチェンジを受け、LEDヘッドライトの採用や、ヘッドライトとテールランプ、バンパーなどの意匠が変更された。先代であるE87型と比較すると、大型化されたキドニーグリルやテールランプが華やかな印象をプラスしている。

さらに、全体的に横長なデザインのパーツが増え、リヤリフレクターをバンパーの低い位置に埋め込むなど、重心の低いスポーティテイストも盛り込む。シンプルでモノトーンな印象の初代から見ると、主張がハッキリとした印象である。

着実にアップデートされたインテリア

着実にアップデートされたインテリア

大きく印象の変わったエクステリアに対して、インテリアに関しては劇的な変化は感じにくいかもしれない。ドライバーを中心としたレイアウトや、ごちゃごちゃさせないシンプルなインテリアはいかにもBMWらしい仕上がりだ。その中でも、ホイールベースが延ばされたことの恩恵は大きく、リヤシートの足元は21mm拡大している。

ダウンサイジングターボエンジンの搭載

初代E87型では、135iクーペを除いた基本グレードでは、すべてNAエンジンとなっていたが、現行のF20型では、全グレードでダウンサイジングターボエンジンが搭載される。そのため、排気量が小さくなっていながらも、最高出力と最大トルクがアップ。さらに全車アイドリングストップを搭載するなど、燃費性能も大幅に向上している。

<小見出し>多段化されたトランスミッション
初代は6速AT(135iクーペは7速DCT)であったが、現行型では全グレードで8速に多段化。その効果は非常に大きく、燃費の向上はもちろんのこと、低回転から発生するエンジ
ントルクを切れ目なく、且つ効率的に伝達していることが良く分かる。

多段化されたトランスミッション

多段化されたトランスミッション

初代は6速AT(135iクーペは7速DCT)であったが、現行型では全グレードで8速に多段化。その効果は非常に大きく、燃費の向上はもちろんのこと、低回転から発生するエンジ
ントルクを切れ目なく、且つ効率的に伝達していることが良く分かる。

もっとも差が出るのは安全性能

現行型のF20型ではレーダーとカメラを用いた先進の予防安全装備が充実。さらに、2015年のマイナーチェンジ後のモデルならば、歩行者検知機能付きの「衝突回避・被害軽減ブレーキ」が標準装備している。そのため、多少無理してでも最新モデルを買う理由として考えられるのは、間違いなく安全装備の違いだろう。

使いやすさが向上した装備

現行型では、センターコンソールに装備されたディスプレイのサイズが、8.8インチにサイズアップされ、視認性が向上。そして、シフトレバー脇に設置されたiDrive コントローラーにはタッチパッドを内蔵し、ナビやオーディの操作性や使い勝手が向上している。

走りを楽しみたいなら上級グレードを

走りを楽しみたいなら上級グレードを

サイズ感やお手ごろな価格設定などは変わらないものの、2015年のマイナーチェンジ後に発売された現行型は、最新のモジュラーエンジンや安全装備。また、車格が1ランク上がったのではと思わせるほどのエクステリアも魅力的である。

しかし、予算を抑えたい、上級グレードに乗りたいという場合には、中古で先代モデルを購入することおすすめしたい。モデルチェンジによって先代モデルの相場が下がり、中古車の価格が下がってきている。。

価格、性能、デザイン、何を求めるかによって、新車と中古車両方の見積もりを取って、よく検討してみてはいかがだろうか。