2ボックス車並のサイズながら背丈が高い小型SUVは、海外でもホンダとマツダが先行していたが、ここにきてようやくトヨタの追撃が始まった。小型SUVで遅れていたトヨタからC-HRで勝負に出てきたこの機会に、先輩格の人気車種と比較してみよう。

この記事の目次 CONTENTS
高いデザイン性と軽快な走りが魅力のマツダCX-3
CX-3と同等サイズのホンダ・ヴェゼル
安全装備も充実のトヨタ C-HR
まとめ

ライター紹介

221616 編集部

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高いデザイン性と軽快な走りが魅力のマツダCX-3

マツダのエントリークラスSUVとして登場、反響を巻き起こして2年が経った。シャープなデザイン、思い切った価格設定、「ズーム・ズーム」のフレーズで訴求したドライブ・フィーリングが支持されて、日本でもしっかりとファンを増やしている。またマツダのデザインは海外での評価も高く、このセグメントでアメリカでは販売台数1位に輝いている。

充実した安全装備

各グレードの価格は2,106,000円から3,034,000円まで。ガソリンとディーゼル、そしてFFとAWDのどれを選ぶかでこのような差が生じる。しかし安全装備はそれなりに充実しており、以下のような機能が全グレードで標準装備になっている。

・ブラインド・スポット・モニタリング&リア・クロス・トラフィック・アラート
・車線逸脱警報システム
・アドバンストSCBS& AT誤発進抑制制御 前進時
・SCBS R & AT誤発進抑制制御 後退時
・リアパーキングセンサー(リア/コーナー)

車内はやや狭い

パワーウィンドウのワンタッチ・モードは運転席のみ。ホンダ ヴェゼルは助手席にも付いていて、トヨタC-HRは後席にさえ付いていた。サイドミラーは平面的なので見える範囲があまり広くなく、隣り車線の車を確認しづらい。その点、ヴェゼルとC-HRはミラーが凸面なので見える範囲がかなり広くポイントが高い。

サイズという点では、CX-3は3台の中で一番小さくて軽い。そのため運転しやすいが、車内は前後のシート、および荷物スペースともに他の2台と比べるとあまり広いとは言えない。また小さなボディに3台の中で最もパワフルなエンジンを積んでいるせいか、音と振動が気になる瞬間があり、揺れているように感じる時さえある。 走りは非常に軽快で、特にクリーンディーゼルモデルのパワー感も手伝って、運転が楽しい。ただ、乗り心地という点ではまだ今一つ洗練されていないという印象がぬぐえない。ステアリングもシャープではあるが、サスペンションは突き上げをいなし切れていない。タイヤノイズもライバルより大きい。ただし普通のタイヤを履いた廉価グレードに関しては乗り心地もよかったので、オンロードの快適さ重視派にはうれしいニュースかもしれない。

CX-3の走りを動画でチェック

英国の人気レポーターであるマット・ワトソン氏が、全身を駆使してリズミカルでコミカルに進めていくレビュー動画。英語ながら、そのスタイルから走りまでリアルに確認できる。

CX-3と同等サイズのホンダ・ヴェゼル

次に登場するのが、ホンダのヴェゼル。軽快なCMもあって、多くの人にお馴染みの一台になっている。価格は一番安いGグレードなら1,920,000円からと、一番高いグレード『ハイブリッドZ・ホンダセンシング』でも2,886,000円と、3台の中では一番リーズナブル。エンジンはガソリンとハイブリッド、シフトは7ATとCVT(無断変速車)のそれぞれ2種類が用意されている。CVTのおかげで燃費性能が向上するという側面がある一方、アクセルを強く踏み込むと先にエンジン回転だけが上がるフィーリングがして、少し気になるシーンがあった。

ヴェゼルの安全装備

最近では触れずには通れない安全装備。歩行者との衝突回避機能も備えているHonda SENSINGについては、残念ながら全グレードに標準装備はされていない。ただHonda SENSING搭載のグレードも2,120,000万円から展開されている。むしろHonda SENSINGがついていないグレードも用意されているくらいに捉えた方が良いだろう。 他にも電子制御パーキングブレーキ、パワースイッチなどの便利機能が標準装備だが、概して装備についてはマツダCX-3よりも高級車らしい印象。

しかし「スマートフォン感覚で使える」という触れ込みのInternaviについては、タッチスクリーンだけでほぼ全操作を行う必要があり、やや不便を感じるシーンもある。モニターを見ずに操作をすることができないため、特にデコボコ道などドライバーの姿勢も安定しない状況では、かなり使いにくいと感じるだろう。

車内の広さも魅力

インテリアに目を向けてみると、ヴェゼルはかなり上出来。前後の座席、そして荷物スペースの広さは、3台の中で一番。後席はかなりアレンジが自由で、座面を跳ね上げることも、また背もたれを倒すこともできる。荷物スペースも、床が他のクルマより低いため、その分たくさんの積載量を誇る。

マイナスポイントを一つ挙げるとしたら、後部シートの真ん中の席に関しては、旧タイプのチャイルドシートが取り付けられないところだろう(他の2台は対応済み)。ただし左右両方の席については新旧のチャイルドシートに対応しているので、それほど問題ではない。

安定感ある静粛した走り

最後に走行フィーリングについて。走行フィーリングはマツダCX-3ほど俊敏ではなかったが、でこぼこ道でもサスペンションはあまり突き上げ感がなく、コーナリングは安定感もある。またガソリン車でもかなり静かなので、家族が快適に乗るのに嬉しい一台だ。

ヴェゼルの走りを動画でチェック

安全装備も充実のトヨタ C-HR

そして最後に紹介するのが、最近デビューしたばかりのトヨタC-HR。そのネーミングは『クーペ・ハイ・ライダー』(背が高いクーペ)に由来しているとのこと。構想自体は7年前に始まったが、新型プラットフォームの採用とタイミングを合わせたので、満を持しての登場になったという。

そんなプラットフォームは、排気量1.2Lのダウンサイジング・ターボエンジンから、細々としたナットやボルトに至るまで、全てが一新されている。そのおかげで、C-HRは小柄ながら、かなりのクオリティ感を備えている。

価格はやや高めだが、安全装備は充実

その価格は、エントリーグレードである『S-T』で2,516,400円から。一番高いグレード「G」のハイブリッドモデルで2,905,200円からとやや高めの設定。ただしその分、安全装備が充実しており、以下のような装備を備えたToyota Safety Sence Pが全グレードで標準装備になっている。

・プリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)
・レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御付)
・オートマチックハイビーム
・レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)

高級感があり乗り心地も上々したインテリア

車内の広さは、ヴェゼルほどではないものの、マツダCX-3と比べるとかなり広い。車内も高級感があり、これまでのトヨタの堅実な品質から、レクサスの高級な品質に近づいているといっていいだろう。運転席はインパネとダッシュボードの外観と質感がいずれもクラス最高レベル。オーディオ操作はタッチスクリーンだけでなくボリュームとチューニングノブも付いていて、かなり使いやすい。

乗ってみても、ステアリングとサスペンションがしっかりと路面をとらえていてかなり運転しやすい。車内の静粛性も高く、3台を乗り比べた印象では、バランスが良かった。ただマイナスもない訳ではなく、一人か二人乗りのときは流れに乗って走れるが、それ以上の人数や荷物を乗せて上り坂に差しかかると、急に重たく感じる。

C-HRの走りを動画でチェック

まとめ

もともと、このクラスで最も人気があったのがマツダ CX-3。高いデザイン性、クリーンディーゼル、軽快な走りを重視したい人にはピッタリな一台だ。ただ広さや快適さという点では、後から登場したホンダのヴェゼルやトヨタC-HRに負けてしまっている。

車内の広さを重視したいなら、ホンダのヴェゼルがオススメ。大人数で乗る、家族の荷物を載せる。そんな人だと、このくらいの広さがあった方が安心だろう。Honda SENSINGを付けてもそれほど高くないため、家族をの安全を守るためにも、付けておきたい。

新しいクルマ、しかも走った時のフィーリングを重視するならトヨタのC-HRが良いだろう。安全装備も充実しており、「少し高くても良いクルマ」が欲しいという人にピッタリだ。トヨタが掲げる「Fun to Drive Again」を体現するクルマといっていいだろう。