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「気になるくるま」第12回 プリンス スカイウェイ 初代(V23B-2)


ひとことでくるまと言っても、誰にも知られていないようなマイナーなものから、みんなの憧れのようなスーパーカーまで、実に様々です。そんなクルマたちの中から、マニアックカー・マニアでもある遠藤イヅルが、独断と偏見で選び出したくるまたちをイラストとともにみなさんにお送りいたします。第12回は、スカイラインのバリエーションにこんなのがあったの!?というプリンスのコマーシャルカー、初代「プリンス スカイウェイ」をお送りいたします。


◆シゴトも自家用も兼用の時代


戦後、高度経済成長によってクルマはその担い手としてますます普及していきましたが、初任給が9000円前後だった1950年代後半、国民車的なスバル360でさえ42万円もした時代ですので、やはりマイカーは高嶺の花、夢の対象でした。

そのためクルマ販売の多くはコマーシャルカー(商用車)で、家業が商店や自営業の家庭では、仕事用のクルマがそのまま自家用車として使用されることは珍しくありませんでした。そのため、セドリックやグロリア、クラウンなどの上級車にもライトバンがラインナップされ、「高級商用車」という現在では見られないジャンルを確立していました。客貨両用車として荷運びからピクニックまで幅広く使用されていたのです。

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今回お送りする「プリンス スカイウェイ」は、1966年に日産に合併された国内メーカー、「プリンス」が発売していたコマーシャルカーで、ズバリ、スカイラインのボディ後半をバンボディに変えた、スカイライン バンです。

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初代スカイラインは小さなアメリカ車のような小型高級車で1957年に登場しました。スカイウェイはそれに遅れること2年後の1959年に発売されています。リアドアの無い2ドアバン(ALVG-1)と6人乗り(3+3)のピックアップ(ALPE-1)が用意されました。


◆1.5世代?で終わってしまった車名


当時はグレードにより内外装に大きく差が付けられていた時代でしたので、バンはスカイラインの廉価版だったスタンダードの意匠を流用していました。のちに前照灯を4灯式に変更、左側だけ前後ドアがある3ドアバン、4ドアバン追加、排気量を1.9リットルに拡大(型式はBLVG-3/BLPE-3に)などを繰り返したのち、1962年にスカイラインがフロントマスクを中心とした大幅なマイナーチェンジを受けたのに合わせてスカイウェイも変更を受け、型式もバン:V23B-2/ピックアップ:P23A-2となりました。

copyright_izuru_endo_2017_k012_skyway_1st_1280_853(クリックで拡大)後にGT-Rの礎となるGT-Bを擁することで有名な2代目スカイラインは1963年に登場しますが、スカイウェイも初代同様2代目スカイラインをベースに開発され、発売されました。

2代目スカイラインが1966年にマイナーチェンジを受けた際、スカイウェイはスカイライン バンという名称に変わったため、2世代限り(厳密には1.5世代?)の名称で終わったことになります。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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