• ホンダフリード 新型・旧型の比較レビュー

2016年9月にフルモデルチェンジし、2代目となったホンダ フリード。
コンパクトなボディに7人乗りを可能にした優れたパッケージングをもつ。
初代フリードが築き上げたコンパクトミニバンマーケットは、トヨタ シエンタが投入されたこともあり、急速拡大中。
話題のコンパクトミニバンである、フリードを新旧比較してみた。

比較レビューのまとめ

  1. ハイブリッド車、ガソリン車共に新型は大幅に出力&燃費が向上。その差は大きい
  2. 歩行者検知式の自動ブレーキである「ホンダセンシング」が用意されたことで、安全性能は格段と向上
  3. 旧型は依然リセールバリューが高く、中古車でも高値維持。ズバリ、買うなら新型に軍配!

概要

新型ホンダ フリードは、キープコンセプトながら、ほぼすべての面で先代フリードを大幅に上回るレベルとなった。特に、歩行者検知式の自動ブレーキ「ホンダセンシング」が用意され、ハイブリッド車も先代フリードハイブリッドが21.6㎞/Lだったのに対して、27.2㎞/Lまで引き上げられた。

フリード新旧比較

コンセプト & エクステリアの違い

キープコンセプトながら、安定感あるドッシリしたデザインとなった

旧型フリードは、いかにもホンダらしいシャープで若々しいイメージのデザインが採用されていた。スポーティな印象は、旧型フリードのイメージそのもの。デザインも意外と古さを感じさせないのもポイントだ。
新型フリードのコンセプトは「7days Wonderful Mobility」。「いつでも」、「どこでも」、「だれでも」用途に応じて思い通りに使えるコンパクトミニバンとして開発されている。外観デザインは、先代フリードに対してより重厚感のあるものとなっていたドッシリとした安定感がある。リヤクォーターパネルは、スライドレールカバーの分割線を目立たなく処理し、ボディの塊感や一体感を高めている。

フリード新旧比較

インテリア & 装備の違い

ややチープ感のあった旧型フリード

旧型フリードのインテリアは、かなり個性的で上下2分割されたようなインパネが特徴。やや、コッテリとし過ぎている印象があり、また素材もいかにもプラスチック感が前面に出ている。全体的に車両価格の割にはチープな印象がある。

新型は高級車のような重厚感ある内装に

新型フリードは、そうした部分を一掃。デザイン&質感とも大幅に向上。価格もそれなりにアップしているが、コンパクトカーながら高級車的な雰囲気にまとめられている。
装備面では、重要な歩行者検知式自動ブレーキ関連の安全装備「エマージェンシーブレーキ」が用意された。全車標準装備化が望ましいが、幅広いグレードに設定が可能となっている。安全面を考えれば、必ず装備したい。
先代フリードよりスライドドア開口幅を20mm広げて665mmとし、ステップ高を15mm下げ390mmとした。より大開口のスライドドアとなったため、お年寄りから子供まで乗り降りがしやすくなっている。

シートは、1〜3列目ヒップポイント間距離を先代フリードより90mm拡大。6人乗りの3列シート車は、キャプテンシートを採用。先代フリードより120mm拡大した360mmのロングスライドを実現した。6人乗り、7人乗りともに、1列目・2列目フラットモード、2列目・3列目フラットモードなど多彩なシートアレンジを可能としている。室内スペースやシートアレンジなども、かなり進化し使いやすくなっている。

フリード新旧比較

走行性能 & メカニズム比較

プラットフォーム(車台)を刷新。新型エンジンを搭載し、よりパワフルで低燃費となった

旧型とは比べ物にならない走りのクオリティを実現

ベースとなるフィットがフルモデルチェンジしたことで、新型フリードもプラットフォーム(車台)から新しくなった。このため、フットワークは劇的に向上している。先代はやや上部が揺さぶられる傾向があったものの、新型はかなり抑えられており、背の高いミニバンとは思えないほど、しなやかな走りを披露する。こうした走行性能は、高剛性リヤサスペンションや液封コンプライアンスブッシュの採用によるもの。乗り心地もかなり向上している。ただし、ステアリングを切り出した瞬間のクルマが傾くスピードが早い。その後は、シッカリと粘るようにクルマが傾き、リヤサスペンションの安定感もあり、カーブなどでも気持ちよく走れる。この部分は、旧型モデルは完敗といえるレベルだ。また、静粛性も新型が大きく上回る。

新型の燃費は大きく向上

ハイブリッド車は、ハイブリッドシステムが、旧型のIMAからスポーツハイブリッドi-DCDに変更された。このハイブリッドシステムの変更により、旧型の燃費は21.6㎞/Lだったのに対して、新型は27.2㎞/Lまで引き上げられている。また、1.5Lガソリン車も同様に大幅に進化している。新型は131ps&155Nmなのに対して、旧型は118ps&144Nm。燃費は新型が19.0㎞/Lに対して、旧型は16.6㎞/Lとなり出力&燃費とも大幅に新型が優れている。もはや、走行性能や燃費に関しては、新型は旧型を圧倒している状況。
走行性能面では、おすすめなのは新型と旧型ともにハイブリッド車だ。ハイブリッド車は、モーターが瞬時に最大トルクを発揮する。ガソリンがエンジンの回転を高める前にモーターがすぐに反応しクルマを前方に押し出すのだ。そのため、アクセル操作に対してのレスポンスが良く、気持ちいい走りが楽しめる。

フリード新旧比較

おすすめは新旧どっち?

おすすめは圧倒的に新型フリード! 旧型の中古車は、価格が下がるまで待て!

プラットフォーム(車台)が代わっていることから、旧型と新型の進化の幅は非常に大きなものとなった。乗り心地、操縦安定性、パワー、静粛性、燃費などすべての部分で新型が上回る。
また、安全性能面では、歩行者検知式自動ブレーキ関連の「ホンダセンシング」が用意されたこともあり、こちらも大差となる。さらに、インテリアの質感や室内の居住性も新型の圧勝。デザインは好みがあるとはいえ、新型の重厚感はなかなかのもの。
これだけ差が開くと、旧型を選ぶ理由は価格以外ないといった状況。しかし、旧型フリードは、リセールバリューが高く、中古車価格も高い。意外と値落ちしていない。2012年式の旧型フリードハイブリッドがおよそ170万円の予算があれば、質の良い中古車が買える価格となっている。新型フリードハイブリッドG ホンダセンシングの価格が2,516,000円。2012年式で、わずか80万円程度の差しかないのだ。これだけしか安くないのでは、中古車としての買い得感がない。これは、まだ新型フリードが出て間もないことや、新型フリードの下取りになった旧型フリードが、中古車マーケットに多く流れてきていないことが予想できる。中古車となった旧型フリードが、より多くマーケットに流通してくれば、価格は下落してくると思われる。旧型フリードは、もう少し価格が落ちて買い得感が出てからが買い時といえる。それまで、待てないというのであれば、多少無理してでも新型フリードを選択したほうが良いだろう。

新車を値引き価格で買うテクニック

しばらくの間、値引きは小さい新型フリードだが、テクニック次第で一定の値引きが期待できそう。

新型フリードは、デビュー直後ということもあり、しばらく値引きは期待できないだろう。しかし、2017年の2~3月の繁忙期に入ると、テクニック次第では大幅値引きといかないまでも、一定の値引き額が引き出せる可能性がある。
値引きを引き出すテクニックとは、ライバル車となるトヨタ シエンタと徹底して競合させることだ。
新型フリードはデビューしたばかりの10月の販売台数で、ライバルのシエンタを抜くことができなかったのだ。まだ、バックオーダーが大量に残っているので、ホンダとしては、2~3月はライバルのシエンタに勝ちたいと考えているはず。そうなると、必然と競合すれば、値引き対応してでも受注したいと考えるのは当然だ。
そうした心理状態を利用するには、まずはシエンタが本命であることを明確にするため、少なくとも先にシエンタの見積りを取ることが必要。フリードは、ついでに見に来た程度で商談を始めるといい。あくまで本命はシエンタであるという演技を続け、商談はズルズルと長期戦に持ち込むといいだろう。シエンタと同等の値引き額が提示されてきたらチャンスだ。あとは「しっかり対応してくれたあなたから買いたいので、もうひと頑張りしてほしい。そうしてくれれば、すぐに買う」という囁きでOKだ。

下取り価格に注意。買取専門店で一度査定を

また、注意しなくてはならないのは、下取り車の処理。ディーラーでは、下取り価格と値引きを調整するケースが未だにある。つまり、下取り価格を低くして、一見値引きしたように見せる手法だ。下取りだけだと、本当の愛車の価格が分からない。必ず買取店で査定して、正しい愛車の価値を知る必要がある。これを知らないと、下取り価格が高いのか安いのかも分からないからだ。最終的に買取価格が高い方で売却すればいい。

新旧フリード 比較ギャラリー

クルマ評論家 CORISM代表 大岡 智彦 氏
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員