• 日産セレナ 新型・旧型の比較レビュー

2016年8月にフルモデルチェンジし、5代目となった日産セレナ。
「BIG・EASY・FUN」という基本コンセプトはそのままに、エコとセーフティをプラスした。
注目は日本車初となる前走車全車速追従機能の「プロパイロット」だ。
自動運転技術を使った運転支援機能で、渋滞時の疲れやストレスを軽減してくれる。

比較レビューのまとめ

  1. 新型の最大の魅力は、運転支援機能「プロパイロット」と後方にスペースがなくても上下2分割できるバックドア
  2. 旧型の後期、新型にシステムは異なるものの歩行者検知式の自動ブレーキ「エマージェンシーブレーキ」が標準装備
  3. 新型の値引きはしばらく厳しく、旧型も価格も上昇中。どちらも購入はもう少し経ってからがおすすめ

概要

新型セレナは、運転支援機能である前走車全車速追従機能「プロパイロット」が用意された。また、2.0Lエンジンも型式こそ同じだが中身は一新。燃費は旧型の16.0㎞/Lから17.2㎞/Lへ引き上げられた。旧型セレナの後期に標準装備化された歩行者検知式の自動ブレーキも、システムは変更されているが新型セレナでも引き続き標準装備化されている。

エスティマ新旧比較

エクステリア & コンセプト

デザインは迫力系へ変化したが、基本的にはキープコンセプト。

迫力ある顔のデザインを採用するトヨタに対して、旧型セレナはやや品のあるスポーティなフェイスが特徴だった。迫力系が嫌いな顧客層などを含め、嫌われない顔ということもあり旧型セレナは、モデル末期まで高い人気を誇った。対して、新型セレナは、ややトレンドに迎合し迫力系デザインへシフト。日産のデザインを象徴する「Vモーション」を採用。このVモーションは、旧型セレナに比べよりメッキ部分を太く、力強さをアップしている。歴代セレナのコンセプトは「BIG・EASY・FUN」。新型もこれを継承。各部分をより向上させている。

優しい顔立ちが好みなら旧型がおすすめ

迫力重視のデザインが好きな人は、新型セレナは魅力的に見える。もう少し優しい顔がいいという人は、旧型セレナだろう。旧型の中でも、前期モデルの方がスッキリしているため物足りないという人は、迫力系のテイストをプラスしている後期モデルの方がやや立派に見えるだろう。

エスティマ新旧比較

インテリア & 装備

重要な安全装備である歩行者検知式の自動ブレーキ「エマージェンシーブレーキ」は、新旧セレナは全車標準装備化。

歩行者との衝突回避・被害軽減ができる自動ブレーキである「エマージェンシーブレーキ」は、システムは異なるものの、新旧セレナにほぼ標準装備化されている。ただし、旧型セレナの場合、標準装備化されていないモデルもあるので、購入の際は必ずエマージェンシーブレーキが装備されているかチェックが必要。セレナは大きく重いクルマなので、歩行者と接触事故を起こせば大きな事故になる可能性が高い。
また、ミニバンでは必須といえる左右のオートスライドドアに関しては、新旧セレナともグレードによりオプションになっているので、両側オートスライドドアが装備されているかチェックが必要。

ハンズフリーオートスライドドアとバックドア分割開閉の便利な装備

新型セレナには、キーさえ持っていれば両手がふさがっている状態でも、助手席側スライドドアの下に足を出し入れするだけで、スライドドアが開く機能が用意されている。
新型セレナのインテリアは、メーターやピラーまわりがスッキリし、視界も広くなり運転しやすくなった。また、大きく重かった旧型のバックドアは、新型では上部で分割開閉が可能。車両後方のスペースがなく、旧型セレナではバックドアが開けなかったところで、荷物の出し入れができるようになった。

広さ、シートアレンジのしやすさもアップ

新型セレナは8人乗りのみの設定。新型セレナには、スマートマルチセンターシート+横スライド機能が用意されている。スマートマルチセンターシートを1列目へスライドさせれば、2列目シートをキャプテンシートのようにして使用できる。全体的に室内の広さやシートアレンジ、使い勝手面では新型セレナが勝る。旧型セレナは、新型セレナと比べるとやや狭いが、ライバル車と比べるとそれでも十分な広さをもつ。

エスティマ新旧比較

走り & メカニズム

プラットフォーム(車台)は、新旧同じだが、2-3列目の静粛性アップ!

フルモデルチェンジしたとはいえ、新型セレナのプラットフォーム(車台)は旧型セレナと同じ。サスペンションの改良やボディ剛性のアップという部分で違いがあり、新型セレナの方が乗り心地もよく、高速での安定性も高い。ただし、それほど差はなく、旧型セレナが大きく劣るわけでもない。静粛性は新型セレナの方が優れていて、特に2~3列目付近の静粛性の高さが際立っているため、車内での会話明瞭度も高くなった。

エンジンは、型式こそ同じだが中身は刷新されている。燃費は17.2㎞/Lとなり、クラストップレベルとなった。このあたりは、旧型と若干差がある。旧型セレナの前期モデルには、マイルドハイブリッド機能が装備されていない。マイルドハイブリッド機能付きは、マイルドハイブリッド機能を使いエンジンを始動させるため、アイドリングストップ時からの再スタートが非常に静かで低振動。新型も同様の機能となっていて快適性は高い。

エスティマ新旧比較

お得な乗り換え方法

新旧セレナ、値引きは期待できないため、どちらもしばらく様子見!

新型が圧倒しているのはプロパイロット機能と上下2分割できるバックドア。ただ、このプロパイロット付を買うと、価格は300万円コースになる。旧型と比べると、随分高価になった印象だ。その上、しばらくの間は値引きがゼロに近い。

旧型を買うなら相場が下がる2017年春くらいが狙い目

旧型の中古車も、リセールバリューが良いため中古車相場は高めで買い得感があるとはいえない。1年落ちの2015年式で、240万円くらいの予算があれば、かなり上質で上級グレードが狙える。2012年式でようやく200万円を切って来るが、価格の安いものはマイルドハイブリッド機能が装備される前のモデルとなるので注意が必要。
旧型で狙いたいのは、2013年末に発表されたビックマイナー後のモデル。見つけやすいのはほとんどが2014年式以降になる。自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキもほぼ標準装備化されているのでおすすめだ。230万円くらいの予算で上質&上級グレードが選べるという状態。あまり買い得感がない。
これだけ高価なのは、まだ新型の下取りとして発生する旧型が中古車マーケットにそれほど流れてきていないためである。2017年春くらいになれば、かなり多くの旧型セレナが中古車マーケットに出てくるはずなので、価格は下落していくだろう。その頃が、旧型セレナの買い時といえるだろう。
このリセールバリューが良いことを利用して、2016年式の旧型を250万円前後で買って、3年乗る。その頃には、新型も随分値引きするようになっているはずなので、大幅値引きで新車を狙うか、かなり安くなった未使用車や高年式の新型を狙うというのも面白い。

新車値引き術

しばらくの間、値引きゼロだが競合車次第では一定の値引きが期待できる。

新型セレナは、デビュー直後なので大幅値引きは期待できない。年内は基本ゼロだと思っていた方がいい。急いで買う理由がないのなら、しばらく様子見だ。値引きが拡大してくるようになるのは、バックオーダーがなくなり始め、納期が1ヶ月前後になってきた頃から。色々な要因があるが、バックオーダーがなくなると、営業マンが自分のノルマ達成が読みにくくなる。ノルマ達成と販売台数は、自分のインセンティブに直結するので、受注できそうな顧客からは値引きしてでも取るという姿勢に変わって来るからだ。

新型セレナのライバル車はトヨタのミニバン三姉妹

そこで重要なのが、ライバル車との競合。この5ナンバークラスミニバンは、人気カテゴリーということもあり、各社熾烈な販売戦争が繰り広げられている。まずは、トヨタのミニバン三姉妹(ノア、ヴォクシー、エスクァイア)とホンダ ステップワゴンの見積りは必ず取り競合させたい。本命がセレナであっても、先にライバル車の見積りを先に取っておくことが重要。営業マンにセレナが本命と悟られては値引きが期待できなくなるからだ。あくまで、本命は別のクルマという姿勢をアピールするために、ライバル車の見積りを先に取っておきたい。商談はクルマの性能や装備という話ではなく、あくまで予算重視という姿勢で臨むといい。
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新旧セレナ 比較ギャラリー

クルマ評論家 CORISM代表 大岡 智彦 氏
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員