<モータースポーツを知り尽くしたニスモによるチューニングで生まれた最速GT-RがGT-Rニスモ>

日産GT-R日産は最速のGT-RであるGT-Rニスモ(NISMO)の発売を開始した。ニスモとは、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナルの略で、日産のモータースポーツを担当する関連会社で、チューニングパーツなどの開発・販売も手掛けている。

日産GT-Rニスモは、2014年2月に発売が開始された。レーシングフィールドで得たニスモのノウハウを惜しみなくGT-Rに投入。デビュー当時のGT-Rニスモは、ベース車から50psアップの600psを誇り、最大トルクは652Nmとなった。これは、レース車両であるGT-RニスモGT3にも使われている高効率大容量の専用タービンを搭載するなどし得たスッペックだ。

また、レースでは単に馬力だけでなく空力も重要。GT-Rニスモは、空力特性も強化されていた。基本となるボディは、結合部に通常のスポット溶接に加え、構造用接着剤による補強も追加し、ボディ剛性をアップ。空力性能は、風洞での徹底的な実験や最新のシミュレーション技術を駆使。ダウンフォースは300km/hでプラス100kgを実現。最適化された前後の空力特性は、4輪の接地荷重変動を最小化し、車両の優れたバランスを確保した。

<標準車のGT-Rが進化したことを受け、GT-Rニスモも進化。超高速域での優れた安定性を実現した>

日産GT-R2017年モデルのGT-Rは、外観デザインの変更などを含め大きく進化している。同様に、GT-Rニスモも標準車のGT-R同様の進化を遂げる。新形状のフロントバンパーは、NISMO専用のカーボンファイバー製フロントバンパーとなり、理想的な強度を実現。カナード形状のデザインがもたらす空気の流れにより、ホイールハウス周辺の空気を吸引し、大きなダウンフォースを発生させている。

グリルは、日産ブランドのデザインシグネチャーであるVモーションを採用。ダーククローム仕上げを施した。開口部の拡大によりエンジンの冷却性能を向上させながら、バンパーサイドの形状を最適化することで、従来の空気抵抗及びダウンフォースの維持を可能にした。さらに、エンジンフードは、剛性の向上により超高速域での変形を抑制。卓越した空力性能を実現。こうしった改良によりGT-Rニスモは、日産車の中で最大のダウンフォースと、超高速域での優れた安定性を実現した。

インテリアもベース車同様のものとなった。安定感を演出する水平方向の流れをインパネ周りの基本デザインは同じながら、メーターからセンターコンソールまでドライバーを包み込むようにレイアウトすることでドライバーオリエンテッドな空間を演出。操作性にこだわったナビディスプレイは7インチから8インチへと大型化。併せて大型のアイコンを採用することで、視認性を向上させている。

ディスプレイの操作性も向上している。カーボン製のセンターコンソール上に配置したマルチファンクションスイッチにより、ナビの機能を手元で操作することが可能となっている。タッチパネルは指先を注視するようになり、視線を移動している時間が長くなるだけでなく、揺れる車内で的確に操作するのは難しい。安全面的には、お勧めできるものではない。今回の改良では、そうした部分が改善され、前方に集中しながらドライビングが可能となった。

日産GT-Rそして、操作系では、パドルシフトがステアリングホイール固定タイプに変更された。従来型だと、舵角が大きくなるとステアリングから手を離すような状態でシフトしなくてはならなかったが、これにより、ドライバーがステアリングから手を離すことなくシフトチェンジできるようになり的確な操作が可能となっている。

ニスモの専用装備としては、新デザインのダッシュボードの上層部、ステアリングホイール、センターアームレストには、高品質のアルカンターラレザーを使用。さらに、赤のアルカンターラを中央部分に使用したニスモ専用レザー仕様のレカロ製カーボンバケットシートが装着された。こうした仕様は、スーパーカー的な手法が用いられている。

走行性能面では、Bilstein DampTronicに、ニスモ専用の特別なチューニングを施した。出力441kW(600PS)の変更はないものの、この大パワーを更にしっかりと路面に伝えることが可能となった。標準車の進化と共に、GT-Rニスモも全体のバランスを向上。今までより更にスポーツドライビングに適したモデルとなった。

<便乗値上げか? GT-Rニスモの価格は約370万円アップ! 370万円分の進化が微妙>

新型GT-Rニスモの価格は18,700,200円となり、先代GT-Rニスモに比べ約370万円も価格がアップしている。これだけの金額がアップしたとなれば、明確に進化したポイントがあるはずなのだが、エンジンはミッションなど大きな部分は変更されておらず先代のもののようだ。実際に価格アップ分の価値があるのかどうかは、試乗してみてからということになるがスペック的には微妙なところ。標準車の価格アップは僅かな状態なので、より謎は深まる。まさか、NSXの価格(2370万円)に合わせた便乗値上げでないことを願いたい。

■日産GT-Rニスモ価格:18,700,200円

日産GT-RTrack edition engineered by nismo価格:13,699,800円

●日産GT-Rニスモ スペック
全長 4690mm
全幅 1895mm
全高 1370mm
室内寸法 長×幅×高 1730×1475×1095mm
ホイールベース 2780mm
トレッド 前/後 1600/1600mm
最低地上高 110mm
車両重量 1740kg
乗車定員 4(2+2)名
車両総重量 1960kg
最小回転半径 5.7m
駆動方式 4輪駆動
ステアリングギヤ形式 電子制御パワーアシスト付ラック&ピニオン式
サスペンション 前/後 独立懸架ダブルウィッシュボーン式/独立懸架マルチリンク式
主ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク式/ベンチレーテッドディスク式
タイヤ 前・後 255/40ZRF20(97Y)・ 285/35ZRF20(100Y)