ホンダN-ONE

<精悍さが魅力の「SSアーバンブラックパッケージ」と、上質感がウリのと「SSブラウンスタイルパッケージ」>

ホンダN-ONEホンダは軽自動車のN-ONEに特別仕様車「SSアーバンブラックパッケージ」と「SSブラウンスタイルパッケージ」を設定し発売を開始した。

N-ONEは、ホンダの新軽自動車Nシリーズの第3弾として、2012年にデビューした。N-ONEのユニークなデザインやパッケージなどは、1967年に発売されたホンダ初の軽自動車「N360」のコンセプトが参考にされている。そうしたこともあり、ホンダのクルマづくりの原点となる「M・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想」を受け継いでいる。MM思想をベースとしたセンタータンクレイアウトが採用されたことで、小さなボディながら広い室内を実現している。

N-ONEは、当初からアルトやミライースといった安価な価格帯の軽自動車のセグメントに参入することを拒んだ。自らプレミアムな軽自動車と呼んで違うジャンルのクルマであることをアピール。そのため、1,610mmというやや高めの全高を選択した。全高を高めに設定すれば、重心高は高くなる。走りの質感とや燃費ではマイナスになる。それでも全高を高めに設定したのには理由がある。

全高を低くすると、アルトやミライースといった廉価な価格帯のクルマとカテゴリーが同じになり比較される。それを嫌い全高をやや高めに設定しプレミアムな軽自動車と呼んだのだ。この全高は、ハイト系ワゴンと呼ばれるワゴンRクラスと同等のレベルとなった。

 

デビュー当初こそ、こうしたコンセプトが支持されN-ONEは売れた。しかし、一定の顧客に売った後は、販売台数が伸び悩む。個性的なモデルだけに、新車効果がなくなった後は、単に価格の高い軽自動車ということになってしまったようだ。さらに、全高を高くしたことも裏目に出た。プレミアムな軽自動車ということで、普通車からのダウンサイザーの受け皿としての活躍も期待された。だが、都市部に済む立体駐車場を使うダウンサイザーの条件である全高1,550㎜以下に収まっていないのだ。1,610㎜という全高では、都市部に多い立体駐車場を使う顧客が入庫できないなどにより、物理的にN-ONEの購入ができない状況になった。こうしたことで、若干顧客を逃がしたようで、立体駐車場に対応するため全高を1,545mmにしたローダウンがモデル途中で投入されたほどだ。

ホンダN-ONEまた、ホンダのNシリーズは燃費性能面でもライバルに対して苦しい数値になっている。例えば、ワゴンRが33.0㎞/Lという低燃費を誇るが、N-ONEは28.4㎞/Lと大きく引き離されている状況で車重も重い。その上、価格もやや高価というのでは戦闘力不足となる。発売直後こそ大ヒットとなったが、最近では2,000台/月を売るのも厳しい状況が続いている。

燃費などではライバルに負けているN-ONE。しかし、価格は高い。価格が高い理由を明確にできないと、今後ズルズル販売台数が落ちて行くことは確実。そうなると、基本コンセプト通り、プレミアムな軽自動車であることの理由が欲しい。それは、やはりユニークな存在であることをより明確にするしかない。

そうした理由から、投入されたのが特別仕様車ホンダN-ONE「SSアーバンブラックパッケージ」と「SSブラウンスタイルパッケージ」ということになりそうだ。

特別仕様車「SS(Suzuka Special)アーバンブラックパッケージ」は、プレミアムツアラーローダウンをベースに、ブラック基調の内外装とオレンジ、ブルー、イエローの3種類から選べるアクセントカラーをあしらった。

クリスタルブラックパールのボディカラーやブラックのインテリアに、明るいアクセントカラー(オレンジ、ブルー、イエロー)が組み合わされる。ベースがブラックなので、アクセントカラーが非常に映え、スポーティでありながら、独特な存在感とオシャレな雰囲気を大幅にアップさせている。専用カラードスマートキーも用意されていて、なかなかファッショナブルだ。

ホンダN-ONEさらに、2015年12月に発売したG特別仕様車「SS(Suzuka Special)ブラウンスタイルパッケージ」で好評だった落ち着いた配色の内外装と充実の装備内容を、上級グレードPremiumでも選べるように設定。選択肢の幅を広げた。

ブリティッシュグリーン・パールのボディカラーにブラウンコンビシート&専用インテリアの組み合わせは、英国車を思わせるような気品ある上質さを感じさせる。プレミアムな軽自動車というコンセプトに相応しい特別仕様車といえそうだ。

N-ONE Premium Tourer・LOWDOWN特別仕様車「SSアーバンブラックパッケージ」の価格は、1,698,000円。ベース車となるN-ONE Premium Tourer・LOWDOWNに対して約5万円の価格アップ。特別仕様車とはいえ、基本的な変更点は色味程度なので約5万円という価格アップは、まぁ許容範囲といえる。見方を変えれば、約5万円で通常グレードのモデルより大幅に雰囲気が変わっているので、十分に納得できる金額だ。

ホンダN-ONE魅力的な特別仕様車だが、実際に購入するときには注意が必要だ。なんと、N-ONEは自らプレミアムな軽自動車と呼んでいるのだが、自動ブレーキを含む安全装備がオプション装備となっている。自動ブレーキは、歩行者検知式ではなく対クルマのみの30㎞/h以下というもの。一世代前の安全装備なのに、標準装備化されていないのではプレミアムとは言い難い。N-ONEの場合、低速域の自動ブレーキとサイド&カーテンエアバッグがセットとなる安全装備あんしんパッケージとなっているので、このオプションは必ず装着したい。とくに、ダウンサイザーは高齢者が多いことを考えれば、標準装備化が望ましい。

N-ONEは、こうした魅力的な特別仕様車を定期的に出すなどし、単に燃費や価格といった争いから一歩引いて、独自の魅力を際立たせてほしい。

■ホンダN-ONE特別仕様車価格
・Premium Tourer・LOWDOWN特別仕様車「SSアーバンブラックパッケージ」 FF 1,698,000円
・Premium特別仕様車「SSブラウンスタイルパッケージ」 FF 1,580,000円/4WD 1,710,000円

■Premium Tourer・LOWDOWN特別仕様車

「SS(Suzuka Special)アーバンブラックパッケージ」の主な特別装備の内容
(Premium Tourer・LOWDOWNの装備に加えて)

・ブラックコンビシート(アクセントカラー)&専用インテリア
・アクセントカラー装備(オレンジ、ブルー、イエロー)
フロントドアガーニッシュ、ドアミラー、フロントグリル、フロントバンパー、
エアコンアウトレットリング、メーターリング、本革巻ステアリングホイール、
ドアサイドモール、リアバンパーモール、専用カラードスマートキー(2個付)
・15インチアルミホイール(オールブラック)
・ホワイトイルミネーション(ドリンクホルダー、センターロアボックス、フット)
■Premium特別仕様車「SS(Suzuka Special)ブラウンスタイルパッケージ」の主な標準装備の内容
(Premiumの装備に加えて)

・ブラウンコンビシート&専用インテリア
・ブラウン2トーンカラースタイル(ルーフ/ドアミラー)
・ブラウン塗装フロントグリル/ドアサイドモール/リアバンパーモール
・ブラウンテールゲートスポイラー
・14インチアルミホイール(ピューターグレー塗装)
・ナチュラルウッド調インテリアパネル
・ホワイトイルミネーション(ドリンクホルダー、センターロアボックス、フット)
・運転席&助手席シートヒーター※
・クルーズコントロール
・親水/ヒーテッドドアミラー+フロントドア撥水ガラス※
・専用カラードスマートキー(2個付)
※4WD車は標準装備