ブラックを基調とした内外装で高級感とスポーティさをアップした特別仕様車S“tune BLACK Ⅱ”。


トヨタプリウスαトヨタは、プリウスαに新たに特別仕様車 S“tune BLACK Ⅱ”を設定し発売を開始した。

2011年に登場ということもあり、トヨタ プリウスαは、すでにモデル末期に突入したモデルだ。ハイブリッド車初となる7人乗りが用意されていたことから、ミニバン的に使えるモデルとして話題になった。また、7人乗りにはトヨタのハイブリッド車初となるリチウムイオン電池を搭載された。こうしたことを受け、発売から約1ヶ月後の受注台数は、なんと5.2万台。この数値は、月販販売目標を3,000台としていたトヨタの予想をはるかに超えていた。そのため、プリウスαは、長期間の納期待ちを強いられることになった。

特に進化もお買い得感もなし


プリウスαは、1.8Lのハイブリッドシステムが搭載され燃費は26.2㎞/L。現在も燃費値に関しては、とくに進化はない。

プリウスαのボディサイズは、全長4,630mm×全幅1,775mm×全高1,575mm。プリウスより100㎜程度長い全長をもつが比較的コンパクト。この全長で7人乗りを実現しているのだから、スペース効率には優れている。だが、実際の使い勝手面では、3列目シートのスペースは、広くはない。あくまで一時的で短時間の移動という使い方になる。小さい子供であれば、それほど問題なく使えるといった印象だ。また、3列目シート使用時には200Lの積載スペースを確保している。3列目シートを収納した場合には、505Lもの積載スペースを確保した。5人乗りは、3列目シートがないので荷室はより広く、535Lとなっているがその差は微妙だ。これくらいの差なら、フレキシブルに使える7人乗りの方が良い。しかし、実際の売れ筋は5人乗りとなっている。これは、5人乗りと7人乗りの価格差が20万円ほどあることが影響しているとみられる。

プリウスαが7人乗りとすることができたのは、リチウムイオン電池を採用したからだ。リチウムイオン電池は小さい。5人乗りは、デッキボード下にニッケル水素電池を設置していたが、7人乗りはこれを外し3列目シートを設置。小型化されているリチウムイオン電池は、センターコンソール内に移設された。こうしたリチウムイオン電池の特性を生かし、7人乗りを実現している。

プリウスαは、2014年にマイナーチェンジした。ややファミリー層向けだった外観デザインは、より精悍でスポーティなものとなる。同時に、安全装備も強化。レーンディパーチャーアラート(LDA)、オートマチックハイビーム(AHB)のほか、世界初のBi-Beam(バイビーム)LEDヘッドランプを採用した。

すでにモデル末期に入って来たプリウスα。そのため、販売台数は右肩下がりの状態。マイナーチェンジで安全装備を強化したものの、オプション設定がほとんど。300万円前後という高級車なのに、やはり未だ歩行者検知式自動ブレーキすら設定されていないというのは安全性能が高いとはいいにくい。また、すでに新型プリウスが歩行者検知式自動ブレーキを装備していることを考えると、7人乗りじゃなければダメ、という人を除けば燃費や安全性能面、走行性能などを含め、新型プリウスを買った方が満足度は高い。また、7人乗りの上級モデルだと、ノア&ヴォクシーハイブリッドの価格と近くなる。スペースを考えると、当然、ノア&ヴォクシーハイブリッドの方が優れる。

今回投入された特別仕様車プリウスα S tune BLACK Ⅱは、エントリグレード「S」をベースに、黒を基調とした内外装デザインとしている。インテリアは、ステアリングスイッチベースやコンソールスイッチプレートなど随所にラメ入りピアノブラック塗装を施し、上質な印象を一層高めた。また、ステアリングホイールやシート表皮などにアクセントとしてホワイトステッチを施すなど、スタイリッシュな印象をプラスした。よりスポーティで高級感あるインテリアになった。

エクステリアでは、ブラックエクステンション加飾を施したプロジェクター式ハロゲンヘッドランプやクローム調アルミホイールキャップなどを特別装備。さらに、快適温熱シート(運転席・助手席)やスーパーUV・IRカットグリーンガラス(フロントドア/撥水機能付)を設定した。

トヨタプリウスαまた、ベース車には、プリクラッシュセーフティ(ミリ波レーダー方式)などの安全装備をセットにしたオプションを、「S」、S“ツーリングセレクション”に設定拡大した。こうした安全装備の拡充は評価できるが、今となっては歩行者検知式自動ブレーキが主流。せめて、顧客の安全を望むのなら、旧タイプの安全装備なのだし、価格アップを抑えながら標準装備化してほしい。

特別仕様車プリウスα S“tune BLACK Ⅱ”5人乗りの価格は2,697,055円。ベース車のSに比べ、約7.5万円価格がアップしている。装備アップや特別装備分相当といった価格アップといったところで、お買い得感はない。モデル末期に入っているのだから、もう少し買い得感があってもいいだろう。プリウスαの場合、SとSツーリングセレクションの価格差が大きく30万円ほどあった。Sだと少々安っぽいが、Sツーリングセレクションだと高い。そう考える顧客向けの仕様が今回の特別仕様車ともいえる。特別仕様車とSツーリングセレクションの価格差は約23万円となった。

プリウスαの選び方。上級グレードのGやSツーリングセレクションになると、ほぼ300万円という高額になる。これだけ高価だと、他の選択肢があるので、あえてモデル末期のプリウスαを選ぶ理由が、超大幅値引きでもなければあまり見つからない。そうなると、Sか特別仕様車という選択になる。こうなると、やはり特別仕様車がおすすめだ。それでも約270万円もするので、大幅値引きがなければ新型プリウスを買った方が満足度は高い。

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また、プリウスαで注意したいのは、ツーリングセレクション。このグレードは17インチタイヤが装着されるが、最小回転は5.8m! もはや、大型ミニバン以上。狭いところでの使い勝手は良いとは言えない。その他のグレードは16インチタイヤになり最小回転半径は5.5m。5ナンバーミニバン並みの数値で、こちらも取り回しがいいとは言えない。このあたりは、実際に車庫入れなどしてみてチェックするといいだろう。

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価格


プリウスα 特別仕様車S“tune BLACK Ⅱ”の価格は以下の通り。

・5人乗り 2,697,055円
・7人乗り 2,903,237円

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