フィアット500

<マイナーチェンジ後初! ベース車より実質18万円安い価格設定となった限定車スーパーポップ アモーレ>

フィアット500フィアットは、主力のコンパクトカーであるフィアット500(チンクエチェント)に200台の限定車「Fiat 500スーパーポップ アモーレ」を設定し発売を開始した。

フィアット500は、2008年に日本デビュー。先代フィアット500は、アニメ ルパン三世の愛車ということもあり、日本でも馴染み深いモデルだ。また、愛くるしいデザインは世界的にも人気で、未だ多くの愛好家がたくさんいる。

そんな現行のフィアット500は、先代500のリバイバルモデルとして登場。単にリバイバルモデルというのではなく、非常に計算されつくされたモデルだ。500のデビュー前には、フォルクスワーゲン ビートルが復活させ、世界中がわいた。こうした成功例を踏まえ、周到に準備を重ね先代500のデビューから約50年後に合わせ登場した。

また、最も重要なデザインは、先代500を継承しながら徹底的に造り込まれている。すでに500は、デビューから8年が経過しているのにもかかわらず、未だ古臭さを感じさせない。この圧倒的なデザイン力は群を抜く。

基本設計が古いためミッションや燃費性能、安全装備などのハード面では、さすがにやや物足りなさを感じてしまうが、2011年には世界的にも例をみない直列2気筒ターボという875㏄のツインエアを投入するなど、独自性は高い。この2気筒ターボエンジンのフィーリングは、まるでオートバイのよう。今時のクルマとは思えないほどの振動を伴いながら力強く加速する。ある意味、他のクルマでは体感できないようなフィーリングをもつ。これが国産のコンパクトカーなら、間違いなく売れないクルマとなる。しかし、500のユニークなデザインと、クルマとしては異質なパワーユニットの組み合わせは、多くのクルマ好きに愛された。

 

フィアット500500は、基本3ドアHBだが、その他カブリオレも用意されている。500のもつ遊び心が大幅にアップされ、より魅力的なモデルとなっている。日本国内においては、3ドアのコンパクトカーは売れない。日本のコンパクトカーに3ドアが無いのはこのためだ。しかし、売れないはずの3ドアの500が、今や販売台数面で国内フィアットをけん引する基幹車種となっている。

販売面でも、500はユニークな施策を続けている。季節やアニバーサリーなどに合わせ、色々な限定車や特別仕様車が投入される。その内容は、ボディカラーが違ったりちょっとした装備がプラスされていたりと、特別なことをやっている訳ではない。まるで、ファッション感覚で、初夏になると夏に合うボディカラーの特別仕様車が出る。ちょっとしたことだが、四季が明確で季節感を重視する日本人の心情にマッチするのだろう。こうしたセールス方法で、顧客の500を購入したくなるツボを上手く押している。

 

このような販売方法ができたのも、優れたデザイン力によるものが大きい。2016年1月に初のマイナーチェンジが行われたが、ほとんどデザインは変更されていない。8年もの間マイナーチェンジしていないのに、見た目がほとんど変わらないというのは異例だ。それほど500のもつデザインは劣化しない。

今回の限定車は、2016年1月に行われたマイナーチェンジ後、初のモデルとなる。フィアット500 1.2ポップをベースとしながら、一番人気のボディカラー、ボサノバ ホワイトおよび通常のモデルでは設定していないブルー ヴォラーレが選べる。また、イタリア語で「愛」を意味する特別装備Amore(アモーレ)バッチが、左右Bピラーに貼り付けられた。特別仕様車というには、少々微妙な装備内容だ。

まぁ、ハッキリ言えばあまり魅力的には見えない仕様だ。今回のモデルは、こうした仕様と言うより価格が特別なのだ。ベースモデルであるフィアット500 1.2ポップより約18万円お得な1,814,400円に設定。一般的に、マイナーチェンジ直後は、こうしたお買い得特別仕様車や限定車は出ないのが一般的だ。これには、なんらかの理由がある。現在、フィアットの販売は絶好調。本来なら、値引き販売しなくてもいい状況だ。2016年1~3月の販売台数も非常に好調。それでも、値引きしてでも売りたい理由があるのだろう。

フィアット500理由はともかく、実質価格引き下げのような限定車が出ている状況は、買い手側に有利。フィアット500の購入を考えているのなら、今がチャンス。ただ、こうしたお買い得な限定車は、すでにお買い得な価格設定となっていることから通常値引きをしない。約18万円の価格引き下げをしているのだから・・・、ということになる。一般的には、こうなると限定車を購入するのが最もお買い得ということになる。

ただ、タイミング的には買い手が有利。とくに、今回の限定車はベースモデルとほとんど差が無い。ということは、通常の1.2ポップから18万円以上の値引きを引き出せれば、1.2ポップの方が逆にお買い得になる。大幅な値引きを引き出すには、まず最初にフィアット店に行ってはいけない。ライバル車になるフォルクスワーゲン ポロやプジョー208、シトロエンC3、国産のフィットハイブリッドやアクア、ノートなどの見積りを先に取り競合させることが重量。こうした競合車の見積りを持ったうえで「ついでに見に来た」程度が効果的だ。500は、自動変速機付の5MTなのでややクセがある。また、燃費性能は競合車に対して物足りない。こうした部分に難色を示しながら、価格が安くなるならといった雰囲気を出して商談するといいだろう。

 

フィアット500は、コンパクトカーの中ではリセールバリューはやや高めだ。そのため、ある程度の値引きが引き出せれば、売るときは比較的高額で売却できるので、使用期間中のコストパフォーマンスにも優れるのも魅力だ。

■フィアット500 スーパーポップ アモーレ価格:1,814,400円(限定200台)