この記事は2017年1月23日に更新されました。


<EV走行距離は60㎞以上、ハイブリッド燃費は37.0㎞/Lを達成! 2017年冬に日本デビュー!>

トヨタ プリウスPHVトヨタは、米国ニューヨークで行われたニューヨークショーで、新型トヨタ プリウスPHVを世界初公開した。米国では、プリウス プライムとして発売される予定だ。


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先代プリウスPHVは、ベースとなるプリウスから遅れること3年、2012年に登場した。先代はベースモデルから3年も遅れて登場したPHVだったが、今回の新型プリウスPHVは、現行50型プリウスから遅れることわずか数ヶ月で姿を現した。ほぼ、同時に開発されていたと思われるくらい異例なスピードでのデビューと言える。この新型プリウスPHVは、アメリカではプリウス プライムとして販売される予定だ。また、この新型プリウスPHVは、日本・欧州で2017年冬から発売される見込みだ。

新型プリウスPHVの外観デザインは、ひと目で気が付くくらい現行の50型プリウスとは異なる。先代のプリウスPHVは、基本的にベース車となるプリウスの延長線上にあり、ほとんど区別がつかないくらいだった。しかし、今回はまったくことなったデザインが採用され、車名こそ同じものの別のクルマのようにも見える。

先代プリウスPHVの価格は、ベース車に対して約100万円ほど高価な価格設定がされていた。性能を加味しても、約100万円分もプラスして購入したのに見た目の違いが無かったのだ。その点では、顧客の満足度は高いとは言えない状況だったのだ。しかし、新型プリウスPHVは、デザインも異なり高級感もアップしている。PHV化され高額になった分以上の差別化が図られているので、顧客の満足度も高くなっている。

新型トヨタ プリウスPHVのデザインは、ICONIC Human-tech(アイコニックヒューマンテック)がコンセプト。ヘッドランプには、薄く小型にデザインした4眼のLEDプロジェクターを採用し、低い位置に配置することで、睨みの効いた精悍な顔つきになった。FCVのミライに近いデザインともいえる。

リヤウインドウには、空気の流れをイメージし、2つの膨らみを持たせた波状断面のダブルバブルバックドアウインドウを採用。さらに、リヤオーバーハングをプリウスに対し80mm延長。より伸びやかなサイドシルエットを創出した。トヨタ初となるカーボンファイバーのCFRP(炭素繊維強化樹脂)製バックドアによって、大幅な軽量化も施された。このCFRP技術は、今後トヨタの軽量化技術として広がりをみせそうだ。

トヨタプリウスPHVインテリアも大きく変更された。センターコンソールには、ナビゲーションの機能も備えた大型11.6インチ縦型タッチディスプレイが装備されている。電気自動車のテスラに似た、近未来を感じさせるデザインとなっている。ただし、この機能は少し問題もある。テスラもそうだったが、タッチタイプの操作系は、走行中の揺れる車内では、的確にできない上に、視線移動も大きく安全上デメリットが多いのだ。流行りデザインで若者ウケも良さそうだが、クルマは安全に運転できるデザインこそ最も優先順位が高くなければならない。パソコンやタブレット端末をマネして売ることを重視するのも良いが、消費財としての価格はクルマの方が何百倍も高価な商品。単にマネるのではなく、トヨタの考える安全操作に対する思想が欲しいところだ。大胆なことに、このプリウスPHVのシートは4席仕様。これは、FCVの未来と同じ。日本仕様は5人乗りになるのかどうかにも注目だ。

新型プリウスPHVの機能面での進化は著しい。PHVの難しさは、EV走行できる距離とハイブリッド時の燃費のバランスだ。EV走行できる距離を増やすためには、バッテリー容量を増やせばいいが、その分重くなりハイブリッド燃費が悪くなる。こうなると、いくらEV走行できても、ハイブリッド燃費が悪くなり、途中で充電せずに長距離走行すると、普通のハイブリッド車よりトータル燃費が悪くなりPHVを買う理由が無くなってしまうのだ。EVの航続距離を重視するなら純粋なEVを買った方が効率的なのだ。現行のプリウスPHVは、EV距離が短い分、ハイブリッド燃費を普通のプリウスより向上させ対応していた。

トヨタプリウスPHV新型プリウスPHVが、先代モデルよりEV走行距離を26.4㎞から倍以上となる60㎞以上にできたのは、リチウムイオンバッテリーの容量を増やしているからだ。リチウムイオン電池の容量を4.4kWhを8.8kWhへ拡大。もちろん、同じものを倍にしているのではなく、軽量でコンパクト化されているものを採用している。

また、欧州での使い方にも対応し、EV走行の最高速度は100㎞/hから135㎞/hになった。ハイブリッド燃費は37.0㎞/L。この燃費値は、普通のプリウスの37.2㎞/Lよりわずかだが悪い。これをフォローするために、従来型は急速充電器に対応していなかったが、新型プリウスPHVは急速充電器にも対応(オプション予定)。約20分で80%まで充電できる。急速充電はともかく、最近では普通充電ができる場所が増えているので、こまめに充電できれば非常に環境性能の高いモデルといえる。

メカニズム面では、ついにトヨタの動力分割式ハイブリッドシステムに大きな手が加えられた。なんと、エンジンと動力分割機構の間に新たにワンウェイクラッチを採用することで、従来のハイブリッドシステムでは発電機としてのみ使用していたモーターを、走行用モーターとしても利用するデュアルモータードライブシステムを搭載した。従来の走行用モーターと合わせ、二つのモーターで走行することを可能としたことで、EVモード走行時の力強い走りを実現するとともに、日常使用時のモーター走行領域を拡大。より力強いEV走行が可能となっている。

機能面での進化は、多岐にわたる。先代プリウスにオプション設定されていたソーラーパネルは、より本格的になって新型プリウスPHVに装備されている。先代プリウスのソーラーパネルは、今まで駆動用バッテリーに充電できなかったが、新型プリウスPHVでは世界初のソーラー充電システムを搭載(日本、欧州仕様のみ)。車両天井に取り付けられた太陽光パネルによって発電した電力を、駐車時は駆動用電池の充電、走行時は補機電池および補機類の電力供給補助に使用できる。ちょっと大げさだが、平日はほとんどクルマに乗らず、家に充電設備が無い顧客でも、日当たりのよい駐車場を確保できれば、天気の良い日には置いておくだけで充電ができるということにもなる。

トヨタプリウスPHVその他、高い暖房性能を備えた世界初のガスインジェクション機能付ヒートポンプオートエアコンを採用。エンジンを作動させずに暖房を使用しながらEV走行できる距離、速度域を大幅に拡大し、運転中の快適性を向上させている。

新型プリウスPHVには、8.8kWhという大型のリチウムイオンバッテリーが搭載された。この大容量の電池を利用するために、外部電源供給システムが搭載された。非常時には、大容量電池からの給電やエンジンも作動し、発電機の代替としても使えるようになっている。EVは電池の電力が尽きたらお終いだが、PHVが搭載しているガソリンで発電できるのが魅力のひとつ。また、給電できることから、アウトドアレジャーなどで家電製品も使えるようになるなど、遊びにも活躍してくれそうだ。

新型プリウスPHVの登場は、2017年冬。現行プリウスは、相変わらず大人気で納車待ちが続いている。価格は未定だが、予算に余裕があり、人とは違うクルマに乗りたいと考えているのなら、新型プリウスPHVを選択肢のひとつにいれてみても面白い。ハイブリッド車の上を行くPHVを先取りするのもいいだろう。

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新型トヨタ プリウスPHV(米国名 プライム)燃費、スペックなど

全長(mm) / 全幅(mm) / 全高(mm) 4,645 / 1,760 / 1,470
ホイールベース(mm) 2,700
室内長(mm) / 室内幅(mm) / 室内高(mm) 2,110 / 1,490 / 1,195
エンジン 種類 直4DOHC
総排気量 (cc) 1,797
最高出力 (kW[PS]/rpm) 72[98] / 5,200
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 142[14.5] / 3,600
モーター 最高出力 (kW[PS]) ①53[72]/②23[31]
最大トルク (N・m[kgf・m]) ①163[16.6]/②40[4.1]
バッテリー リチウムイオン

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