コンパクトカー（国産車）オススメランキング 2016春

車種選びにお悩みの方へ。
コリズム編集長で車評論家の大岡氏に、この春おすすめの新車・コンパクトカー(国産)を聞きました。

日産 ノート

2012年にデビューして以来着実に進化を重ねている。デビュー直後は、横滑り防止装置さえ標準装備ではなく物足りない安全装備だった。しかし、一転して2015年7月のマイナーチェンジでは、歩行者検知式の自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキが全車に標準装備された。コンパクトカーで歩行者検知式自動ブレーキを装備するモデルは数少なく、高い安全性が確保されているモデルでもある。また、売れ筋グレードに搭載されるエンジンは、1.2Lミラーサイクルでスーパーチャージャー付エンジン。他メーカーには無い低燃費エンジンだ。また、ライダーやアクシスといったカスタマイズモデルが豊富だ。
マツダ デミオ

新世代のマツダを台数面で支える中核モデルがデミオだ。コンパクトカーの枠を超える新たな価値を提案するモデルということもあり、優れたデザインと質の高いインテリアなどで、高い人気を誇っている。また、国内メーカー唯一1.5Lクリーンディーゼルエンジンを搭載し、低燃費と力強い走行性能を両立。2015年12月には一部改良を受け、クリーンディーゼル車は静粛性とフィーリングの向上が図られた。ガソリン車も遮音を強化することで静粛性を高めている。
スズキ イグニス

2015年の東京モーターショーで登場し、話題となったSUVとのクロスオーバー車がイグニスだ。イグニスの全長3,700㎜と小さく、国内のコンパクトカーの中でも最も小さなボディサイズとなる。クロスオーバー車ということもあり、全高は高く1,595㎜とやや高いのが特徴。1.2Lエンジンと軽量ボディとの組み合わせで、なかなか元気の良い走りを披露。2WDと4WDが用意され、どちらも最低地上高は180㎜と悪路での走行も十分に考慮されている。

燃費・経済性

ノート

ノートの売れ筋は、1.2Lスーパーチャージャー付きモデルのX DIG-S。このX DIG-Sの燃費は26.2 km/Lとガソリン車としてはトップクラス。このモデルは、ガソリン車ながら数少ないエコカー減税免税モデルである。これらの1.2Lスーパーチャージャー付きガソリンエンジンは、ガソリン車では数少ない2016年度のエコカー減税免税対応となっている。スーパーチャージャー付きということもあり車両価格はやや高価。価格重視の顧客向けに自然吸気の1.2Lも用意。こちらの燃費は23.4㎞/Lと2016年度の免税対応ではないものの、なかなか良好な燃費値だ。
デミオ

このクラスで唯一の1.5Lディーゼル車は、AT車で26.4㎞/Lという低燃費を誇る。ディーゼル車のため、ガソリン車に対して約30万円高価だ。しかし、ガソリン車を超える燃費を誇り、燃料は軽油を使うため20円/L程度安いため、燃料経済性は非常に高いレベルにある。燃料費差で30万円分を回収するのは、エコカー減税の差を入れても難しいが、力強い走行性能まで含めると、価格差以上の価値はある。また、ガソリンの1.3Lもクラストップレベルにはあるものの、ライバルが着実に燃費を向上させていることもあり24.6㎞/Lでは見劣りしてきている。
イグニス

ノートやデミオなどのコンパクトカーよりも、さらに小さなボディサイズをもつ。さらに、スズキの軽量化技術が加わり車重は、FF車でわずか880㎏。この軽量ボディに、ISGと呼ばれるモーター機能付き発電機が加わる。モーターだけのEV走行こそできないものの、マイルドハイブリッドと呼ばれる仕組みが採用された。その結果、FF車売れ筋グレードの燃費は28.0㎞/Lを達成。この数値は、1.2L自然吸気エンジンではトップクラスの実力だ。

装備・使い勝手

ノート

ノートの装備で最も注目したいのは、このクラスでは非常に数少ない歩行者検知式自動ブレーキであるエマージェンシーブレーキが用意されていること。さらに、高く評価したいのは、こうした安全装備が標準装備化されている点だ。交通死亡事故者ゼロを目指すのは、自動車メーカーの社会的責任でもあるからだ。使い勝手面では、最小回転半径に注意したい。通常なら最小回転半径4.7mと十分な数値のノートだが、15インチアルミホイールを装着すると最小回転半径が5.2mへと大きくなる。このクラスでは、5mを切っていないと小回りの苦手なコンパクトカーになり本末転倒となるからだ。
デミオ

デミオをベースとしたコンパクトSUVのCX-3には、ミリ波を使いより高い速度域からの追突被害軽減自動ブレーキが用意されているが、デミオは30㎞/h以下でしか対応できないタイプの自動ブレーキしかない。こうした安全装備は、やや物足りない。しかし、フロントサイド＆カーテンエアバッグは、エントリグレードを除きすべてに標準装備化されている。このクラスでは、オプション装備が普通。この装備に関しては、ライバル車と比べ高い水準にある。また、7インチのセンターディスプレイもエントリグレードを除き標準装備化されていて、ナビゲーションの装着も安価にできる。
イグニス

イグニスもこのクラスでは数少ない歩行者検知式自動ブレーキが用意されているモデル。ただし、標準装備化されておらずオプション設定で97,200円という価格設定。イグニスを購入する場合、必ず装備したいオプション。このオプションには自動ブレーキだけでなく、サイドエアバッグなどもセットで装備されるので、それほど高価なものではない。クロスオーバー車なので4WDには、グリップコントロールと呼ばれる走破性を高める機能がプラス。急な下り坂を自動で約7㎞/hにコントロールし降りることができるヒルディセントコントロールも用意されている。

走行性能

ノート

1.2L+スーパーチャージャーのエンジンは、自然吸気1.5L車並みの力強さを持っているので、いざという時はなかなか元気の良い走りをみせる。低燃費と力強さを上手く両立させたエンジンだ。乗り心地に関しては、やや粗い印象で突き上げ感もある。直進安定性も今ひとつで、このあたりはさらなる熟成が必要な部分だ。
デミオ

ディーゼル車の250Nmという最大トルクは、自然吸気2.5Lガソリン車並み。高速クルージングは非常に力強く楽に走れる。一部変更により、エンジンのトルク応答を緻密にコントロールする「DE精密過給制御」が追加され、微妙なアクセル操作に対してもエンジンが瞬時に反応し、より運転が楽しいと感じさせてくれるようになった。さらに、一部グレードに標準装備されたナチュラル・サウンド・スムーザーにより、エンジン音が静かになり高級が増している。
イグニス

スズキの軽量化技術の恩恵で、ボディが軽いこともあり1.2Lエンジンの割には気持ちよく元気に走る。また、ボディが小さいこともあり、カーブでは軽快感ある走りが楽しめる。ただし、背の高いクロスオーバー車なので、ガンガン走るタイプではない。着座位置が高いこともあり、見晴らしもよく運転がしやすいのも特徴だ。

デザイン

ノート

日産車のデザインアイデンティティであるVモーショングリルなどが採用されていて、なかなかスポーティなスタイルにまとめられている。何度か改良が施されたこともあり、高級感も増している。このクラスは、全長がやや長めのサイズということもあり、存在感もある。こうした外観デザインに対して、インテリアはシート生地の色味や質感などがやや物足りない印象。デザインや装備などに関しては、いくつかのグレードやオプションだけでなく、カスタマイズされたエアロスタイル、ライダー、アクシス、ニスモと選択肢が豊富なのが他社には無い点。最近では、最もスポーティなニスモが人気だ。
デミオ

マツダのデザインコンセプトである魂動（こどう）デザインが採用されている。他のマツダモデルとも似た躍動感のあるデザインが魅力。小さなボディのコンパクトカーながら、独特の存在感を放つ数少ないモデルといえる。また、インテリアも質感や色の使い方が上手い。最近では、特別仕様車を追加するなどし、より顧客のニーズに合ったモデルを投入するなど好感度は高い。とくに、女性を意識したカラーが売れている。
イグニス

このクラスでは、多くの立体駐車場の制限となっている1,550㎜を超え1,595㎜と背高のシルエットをもつ。SUVとのクロスオーバー車ということだが、意外なほどSUVのテイストは薄いものの、カジュアルなタフネスさを上手く表現している。また、メガネをかけたようなデザインのヘッドライトも愛嬌がある。インテリアデザインは、タフで骨太感のあるデザイン。インサイドドアグリップなどは、なかなかユニークなデザインになっている。

新車値引き交渉術

イグニスは、ややボディサイズも小さく直接ライバル車といえるクルマは無く、競合車を探すのは難しい。そうは言っても指名買いでは、値引きは引き出せない。ただ、イグニスは高価な価格設定となっているため、デミオやフィット、ノートなどと一緒に競合させてみるといいだろう。デミオのディーゼル車は、値引きゼロベースで強気の商談となるため、大人気のアクアやフィットハイブリッドと競合させてみるといいだろう。走りの質が優れているなどと営業が言い出したら、フォルクスワーゲンポロあたりと競合させてみるのもいい。ノートは基本スグに一定の値引きが出る。2016年度の日産は、新型車が1台も無い状況。そのため、せっかく来た顧客を黙って返すわけにはいかない。とくに、多くの台数を売らなくてはならないノートであるならなおさら。歩行者検知式の自動ブレーキが標準装備されていることをアピールされても基本無視しながら、支払総額が重要であることをアピールして大幅値引きを期待したい。また、下取り車に関しては、必ず買取店にも行き査定しておくこと。最終的に、一番高く買い取ってくれるとこれで売ればいい。下取り車の再販力が低い場合が多いマツダやスズキは、シッカリと下取り車の価格をチェックしておきたい。