BMW X1

<価格で優位に立つ好調メルセデス・ベンツに対抗?>

BMW X1BMWは、コンパクト SUVのBMW X1の装備を一部変更して発売を開始した。X1のようなモデルは、一般的にSUVというカテゴリーに属するが、BMWは独自にSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼んでいる。

X1は、2010年にデビューした。デビュー時は、まだまだコンパクトSUVというジャンルはあまり知られていなく人気も無い状況。そのため、X1もデビュー直後はそれほど話題にはならなかった。しかし、現在コンパクトSUVは人気を集め各社このクラスに積極的に新型車を投入している。そういう意味では、X1は輸入コンパクトSUVのパイオニア的存在ともいえる。また、X1の特徴はFRベースであるということだ。ほとんどのコンパクトSUVがFFベースであり、X1はBMWらしい優れた走る楽しさをアピールするモデルでもある。

そうした非常にオリジナルのあるX1だったが、販売台数は伸びない。X1はFRベースとなるため、走りが上質な分だけ価格は高価になる。そうしたこともあり、X1の価格は300万円台後半からとやや高めの設定だった。必須ともいえるナビなどのオプションを加えると軽く400万円台をオーバーする。コンパクトなクルマだが、安いクルマではなかった。

そんな中、メルセデス・ベンツが安価なFFをベースとしたGLAを2014年に投入。こちらは、351万円からという設定で、X1と比べると随分安い価格設定としてきたのだ。当時、メルセデス・ベンツは価格戦略の中で販売台数をイッキに伸ばしていた。このクラスのマーケットでは、FFとかFRだとか駆動方式にこだわる顧客は少ない。そのため、FRベースだから高価であるという理屈はマーケットに通用しなかったようだ。販売の現場では、顧客が来店し競合すれば値引き勝負という技も使えるものの、見た目の価格で選択肢に入らないという状況があったのだろう。こうなると、さすがに来店さえ期待できない。

今回の仕様変更もそうしたことを受けてのものだろう。とくにX1は、モデル末期に入ってきており、てこ入れの必要もある。そこで、必須のオプションだった「iDriveナビゲーション・システム・パッケージ」および「パーキング・サポート・パッケージ」を標準装備とした。さらに、思い切って価格を据え置いた。ほとんどの顧客が選択するオプションなので、顧客のメリットは大きい。また、BMW側にしてみれば、すべてのグレードにナビなどを標準装備することで、仕様が複雑にならないなどのメリットもある。

BMWX1これらの装備は、従来42万円~43万5千円(価格はモデルによって異なる)。顧客側から見れば、実質42万円以上の価格引き下げに等しい。その結果、エントリグレードのX1 sDrive18iの価格は3,770,000円となった。この価格なら、十分にGLAなどのライバルと対抗できる価格になったといえる。

ただ、少々微妙なのが価格の見え方だ。随分買い得感が出たのだが、エントリーグレードのプライスリストだけだとGLAよりも安くないのだ。なかなか、装備差まで考えて購入リストに顧客が入れるのは難しい。そうなれば、単純に価格を引き下げてしまったほうが分かりやすかったかもしれない。

BMW X1の選び方。X1 sDrive18i M Sport 4,230,000円がお勧めだ。BMWの場合、満足度とリセールバリューを考えるとMスポーツとなる。ただし、乗り潰すとか予算重視というのであればエントリーグレードのX1 sDrive18i 3,770,000円でも十分だ。FRらしい気持ちの良い基本走行性能は同じなので、十分に楽しめる。ただし、BMW X1には自動ブレーキなどの装備が無いので、最先端の安全装備を重視するなら選びにくいクルマとなる。購入時には、メルセデス・ベンツのGLAなどとしっかり競合させれば大幅値引きも期待できる。

■BMW X1価格:X1 sDrive18i ¥3,770,000~X1 xDrive28i M Sport ¥5,590,000