マツダCX-3

<全高1,550㎜で立体駐車場OKとした都市型SUV。すべてのグレードにMT車を設定>

マツダCX-3マツダは、新型のコンパクトSUVであるマツダCX-3の発売を開始した。

CX-3は、すでに発売されているコンパクトカー デミオをベースとしたSUV。ボディサイズは、全長4,275×全幅1,765×全高1,550、ホイールベース2,570mmとなっいて、デミオよりやや大きくなっているが、ホイールベースは同じだ。注目したいのは全高で、このクラスのライバルで唯一CX-3が全高1,550mmとなっている。この全高1,550mmというのは、国内で多く使われている立体駐車場の制限ギリギリだ。つまり、立体駐車場が使えることを意味する。日本の都市部には、多くのマンションなどがあり、こうした制限の立体駐車場が多い。こうした駐車場を使う顧客は、SUVやミニバンが欲しくても、駐車場の制限の問題で購入できないという現状があった。CX-3はこうした都市部で立体駐車場を使う顧客も買えるSUVとしての価値をもつ。

CX-3のデザインは、魂動(こどう) デザインをテーマとして、スタイリッシュにまとめられている。フロントノーズを高めとして、SUVらしいタフネスさをアピールしている。ヘッドライトは、マツダ車共通のシグネチャーウイングを採用。鋭い目つきが特徴の顔になっている。ルーフラインは、クーペかと思うほど流麗で美しい。FF車なのに、FR車特有のロングノーズショートデッキスタイルをもっているのも特徴だ。

そして、エントリグレード以外、このクラスでは最大となる18インチアルミホイールを装着。215/50R18という、細い特殊なタイヤサイズとなっているが、この大径ホイールの効果で、マツダCX-3は非常にスタイリッシュに見える。この18インチアルミホイールを装着しながら、最小回転半径は5.3mとし、コンパクトカーの美点でもある小回り性能を失っていないのもさすがだ。

マツダCX-3外観デザインなど個性的なCX-3だが、室内スペースはやや狭い。生産効率を重視したため、ホイールベースはデミオと同じ。それに対して、ホンダ ヴェゼルはフィットをベースながら、室内スペースを拡大するためにホイールベースを伸ばしている。当然、ラゲッジスペースも広大とはいえない。新型CX-3のラゲッジ容量は350L。ヴェゼルは404Lと完全にCX-3とジュークに対し広い。SUVなので、もう少し積載性や居住性は高い方が魅力的に感じるのなら、ヴェゼルという選択になる。

CX-3に搭載されるエンジンは、1.5Lのクリーンディーゼルのみとなった。輸出向けには、ガソリン車もあるというので、モデル末期になれば安いガソリン車も導入される可能性もある。ガソリン車は、デミオ顧客とカニバリが発生する可能性を避けた印象がある。

ディーゼルエンジンも、デミオとのカニバリを避けるため、違いを持たせている。デミオのディーゼル車は、最大トルクが250Nm。CX-3の最大トルクは、270Nmと20Nmアップされている。コンピュータ制御の変更程度のようだが、より高価になる新型CX-3に対して価格アップ分の価値をボディサイズだけでなく最大トルクの数字でも表した。

CX-3の燃費値は、FF車が23.0㎞/L。4WD車 が21.0㎞/Lという優れたもの。ライバルは、レギュラーガソリンでCX-3は軽油を使う。燃料の価格差は約20円前後。燃料費経済性という面では、ハイブリッド車のヴェゼルと同等か上回る可能性も高い。

1.5L直4ディーゼルエンジンは、2014年10月にデミオに搭載された。それから、わずか約半年でさらなる新技術が追加されCX-3に搭載されている。新技術とは、世界初となるナチュラル・サウンド・スム―ザーと呼ばれるもの。ピストンピンの中に、ナチュラル・サウンド・スム―ザーを挿入。ディーゼルエンジンの騒音を減らす機能を持つ。元々、デミオでも静粛性が高かったディーゼルエンジンがより静かになった。ただし、この技術は一部グレードのみのオプション設定となっている。

ミッションは、デミオにはない4WD車にも6MTを設定している。雪国で4WDが必要で、その中でもかなりの少数派となるMT派も満足できる設定だ。CX-3はすべてのグレードに4WDと6MTの設定があり、MT派も何の不都合なくグレード選びができるのもうれしい設定となっている。

安全装備では、低速域の自動ブレーキは全車に標準装備として、標準的な安全装備は確保した。ただ、赤外線を使った低速域自動ブレーキは、もはや軽自動車でも当たり前な時代。高額車なので、高機能なミリ波やカメラを使ったものにシフトする必要がある。エントリグレードの安全装備向上は、今後必要だろう。ただし、Lパッケージと呼ばれる最上級グレードを選択すれば、ミリ波を使ったより高い速度からの自動ブレーキスマート・ブレーキ・サポートや後側方を監視し注意喚起してくれるブラインドスポットモニタリングなど高い安全装備が標準装備されているので満足度は高い。

マツダCX-3新型マツダCX-3の選び方。搭載エンジンは、1.5Lのクリーンディーゼルエンジンのみなので、次はFFか4WDかという選択になる。都心部で生活で、ほぼ降雪地域に行かないのならFFで十分。ただ、4WDは雨の高速道路などの滑りやすい環境で安全に走行するのにも役立つので、予算に余裕があるのなら4WDを選んでもいいだろう。

次はグレード選びだ。CX-3の顔を演出るLEDライトはぜひとも装備したいアイテム。そうなるとエントリグレードのXDでオプションを選択するか、標準設定となっているXDツーリングを選ぶかだ。XDツーリングには、ブラインドスポットモニタリングも標準装備されるようになる。

ブラインドスポットモニタリングは、運転が苦手の人や高齢者などにも有効な安全装備だ。ただし、これだけ高価な価格帯になると、前車追従式のレーダークルーズコントロール、ミリ波を使うことで高い速度域からでの自動ブレーキ機能も欲しくなる。そうなると、最上級グレードですべてが標準装備されているXDツーリングLパッケージ車となってしまう。

こうなると、価格は2,808,000円となる。このサイズのSUVで280万円というのは、かなり高価。CX-3の価格設定は、なかなか強気。ディーゼルにこだわらなければ、ひとクラス以上上のCX-5のガソリン車、25S LパッケージFFが約287万円、4WDが約310万円となっているので価格がほぼ同等となってしまう。トヨタ ハリアーGRANDの2.0L FFが約280万円。CX-3の上級モデルは、ひとクラス以上うえのSUVが買える高額な価格帯に突入している。CX-3は、こうした価格を理解して買う必要があるだろう。

■マツダCX-5価格

・XD 2WD(6EC-AT、6MT) 2,376,000円 (6MT) 2,376,000円~XD Touring L Package 4WD(6EC-AT、6MT) 3,024,000円