メルセデス・ベンツCクラス

 

<C180には、レーダーセーフティパッケージ装備が絶対条件!>

メルセデス・ベンツCクラスメルセデス・ベンツ は、小型セダンである「Cクラス 」を7年ぶりにフルモデルチェンジし発売を開始した。新型Cクラスは、1982年に「190」として登場以来、日本でも馴染み深い小型セダン。永遠のライバルとも言われているBMW 3シリーズセダンと並び、国内の輸入車マーケットをけん引。国産のセダンマーケットは、ほぼこうしたモデルに奪われている状態だ。

フルモデルチェンジしたCクラスのコンセプトは「アジリティ&インテリジェンス」。アジリティとは、敏捷性というよう意味をもつ。つまり、敏捷なクルマであるということになる。

このアジリティというテーマとしたことにより、Cクラスはボディシェルのアルミニウム使用率を約50%として、量産車としては類を見ないレベルに高めた。軽量化は敏捷性を高めるために、有効な手段だからだ。もちろん、低燃費性能にも貢献する。このアルミボディを使う上で、新技術も開発された。自動車メーカーとして世界で初めて、量産車に「ImpAcT(インパクト)(Impulse Accelerated Tacking)」接合方式を採用。この技術は、アルミとスチールのコンポーネントを重ね合わせ、そこに高速でリベットを貫通させ接合するものだ。アルミとスチールと素材が違うものを溶接することは、一般的に難しいからだ。

この新技術により量産が可能となった軽量アルミボディは、先代比(ホワイトボディ)約70kgの軽量化を実現。クルマの操縦安定性に係わる重心高を低くすることができ、俊敏なハンドリング性能をもたせる基礎ができた。また、Cd値0.24というセグメント最高水準の空力特性もプラスされ、動力性能を維持しながら燃費性能を大幅に向上することができた。

ボディ同様に、アジリティに大きく貢献しているのが、新開発の4リンク式フロントサスペンションだ。4リンク式のメリットは、リンク機構とストラット式スプリングを独立させることで理想的なサスペンションの動きを実現できること。キャンバー角の自由なセッティングが可能になり、コーナリング時のグリップが大幅に向上した。

サスペンションは、グレードやオプションにより3タイプを設定。スポーツサスペンションは、アジリティコントロールサスペンションをベースに、スプリングとダンパーをさらにハードな仕様とした。同時に、ステアリングレシオをよりダイレクトな設定としている。その結果、高い敏捷性をもつハンドリング性能となった。

注目したいのは、ついにCクラスまでエアマティックサスペンションが採用されたことだ。いわゆるエアサスと呼ばれるもので、Sクラス などのラグジュアリーモデルに使われてきた高価なサスペンションだ。こういった高級装備を惜しげもなく、良いものはこのクラスにも投入するという姿勢はさすがメルセデス・ベンツといったところだろう。

こうした敏捷性へのこだわりは、ドライバーが自由に選ぶことができる。Cクラスのドライビングモードの選択は、「Comfort」、「ECO」、「Sport」、「Sport+」の4つから選べ、アクセルレスポンス、トランスミッションのシフトポイント、ステアリング特性、サスペンション特性が変化する。グレードにより違うがSport+を選択すると、これがCクラスなのか? と、思うほどスイッチひとつでハードなサスペンション設定になり、エンジンやミッションもイッキにスポーツテイストに変化する。

Cクラスに搭載されるパワーユニットは、1.6Lと2.0L直列4気筒ターボエンジンが用意された。2.0Lエンジンには、メルセデス・ベンツが世界で初めて実用化したエンジンで、成層燃焼リーンバーン、ターボチャージャー、EGR(排ガス再循環装置)の組み合わされていて、低燃費とゆとりある動力性能を両立している。C180は156ps&250Nm、C200には184ps&300Nm、C250には211ps&350Nmという仕様となっている。C180でも2.5L自然吸気エンジン並みの最大トルクを発生しているので、1.6Lとはいえ十分な動力性能だ。

燃費は、C180とC200ともエコカー減税100%免税でC180が17.3㎞/L、C200が16.5㎞/Lとなっている。ライバルである2.0LのBMW320iの燃費は16.6㎞/L、328iは15.2㎞/Lだ。

非常にレベルの高い仕上がりを見せているCクラスだが、やはりパワーユニットはガソリンが主体。そろそろメルセデス・ベンツにもハイブリッドやクリーンディーゼルにも期待したいところだ。ライバルの3シリーズは、ハイブリッドとクリーンディーゼル、ガソリンと現在考えられるすべてのパワーユニットを導入しているだけに、エンジンラインアップは物足りなさを感じる部分だ。

ただ、そんなメルセデス・ベンツも1年後をめどに、クリーンディーゼルとPHVを導入予定ということなので、ガソリン車に興味がないのなら、こうした新世代のパワーユニットを搭載したCクラスを待つというのも良いだろう。。

メルセデス・ベンツCクラスもうひとつのテーマである「インテリジェンス」。これは、安全性能。メルセデス・ベンツは、部分自動運転と読んている安全運転支援システムは、ドライバーの疲れを最小限に抑える快適性が安全なドライブに貢献するという思想に基づき、安全性と快適性を高次元で融合させたものだ。これを「インテリジェントドライブ」と呼んでいる。

このインテリジェントドライブを支えているのが、多くのレーダー類とカメラだ。クルマの周囲360°をカバーする複合的なセンサーシステムだ。こうしたカメラとレーダーから得られたデータをコントロールユニットに統合。一瞬にして、この膨大なデータを解析し判断する。その一瞬の間に、自車にとってどうすべきが一番安全なのかをクルマが自ら考え、自動でブレーキをかけたり、ステアリングをアシストするなどし、乗員や歩行者などを保護する。まさに、クルマに知能があるかのような機能。それが、テーマのひとつであるインテリジェンスなのだ。

これらの機能は、レーダーセーフティパッケージ装着が前提。しかし、残念ながらC180にはオプション設定となっている。C180の419万円からという戦略的な価格を打ち出しアピールしたいためにオプション設定とするのは、多少理解できるものの、すべての人に最高の安全性というメッセージを出しているのであれば、全車標準装備にするのが理想だろう。実際にC180を購入する場合、レーダーセーフティパッケージの装着は必須。この装備は、約20万円とそれほど高額ではないので、ぜひとも装備したい。現在では世界最高水準の安全装備で、ドライブ中の疲労も大幅に低減でき価格以上の価値はある。
さて、Cクラスの選び方だが、アジリティを感じたいのならC200アバンギャルド(524万円)がいい。低燃費でありながら、300Nmという大トルクをもち、余裕の走りが可能だ。レーダーセーフティパッケージも標準装備されているので、安全装備も問題ない。予算に余裕があるのなら、よりスポーティなルックスとなるAMGライン(35万円)も装備したい。AMGルックになるだけで、リセールバリューもアップするので、短期の乗り換えでは有利になる。

予算重視、乗り潰すつもりなら、C180にレーダーセーフティパッケージ(約20万円)のオプションを加え約439万円となる。この価格競争力は、なかなかのもので、レクサスIS250と比べると、安全装備や燃費などで圧倒的に勝る上にリーズナブルな価格となっている。

非常に魅力的なCクラスだが、全幅が1,810mm。多くの立体駐車場の全幅制限が1,800mmなので、わずか10mmオーバーしてしまう。このサイズでは、サイズの問題で多くの立体駐車場に入らないケースが出てくる。駐車場の条件で、Cクラスが欲しくても買えない顧客が出てくるのだ。BMW3シリーズは、国内仕様を専用に全幅を1,800mmとして輸入。このあたりの差が、今後販売台数にどう影響してくるのか注目だ。

Cクラス価格
・C180 ¥4,190,000
・C180 アバンギャルド ¥4,670,000
・C200 アバンギャルド ¥5,240,000
・C250 スポーツ ¥6,440,000