ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

<スタイルはクーペ並みの美しさと、セダンと同様の実用性をもった4ドアクーペ>

BMWは、4シリーズにクーペのようなスタイリングをもちながら実用性のある5ドアもでるである「BMW4シリーズ グラン クーペ」追加し発売を開始した。

BMW4シリーズは、3シリーズ内にあったクーペモデルを独立させ4シリーズとした。クーペ専用のシリーズとしたことで、ボディはよりワイドになり、明確にクーペらしさが強調された。また、ワイドになったことで操縦安定も一段とスポーティなものとなった。4シリーズは、クーペの後にカブリオレが投入され、このグランクーペが3番目のモデルとなっている。

このグランクーペは、端的にいうと、いいとこ取りのクルマ。ワイドなボディとクーペを連想さえる優雅なルーフラインは、明らかにセダンとは違う美しさをもつ。さらに、ドアを追加したことで、グッと実用性はアップ。若干、低いAピラーが乗り降り時に邪魔に感じたり、頭上スペースが多少狭かったりするが、これは美しいスタイルを手に入れた代償として、多少我慢が必要だ。

ラゲッジスペースは、クーペのトランクタイプから、グランクーペはハッチバックタイプのようにリヤウインドウごと上部に開く。こうすることで、クーペ以上の積載性を確保している。荷室の容量は480Lを確保。この480Lという荷室容量は、3シリーズセダン同じで、リヤシートのバックレストを全て倒すと、最大1,300Lまで拡大可能。セダンと同等の実用性をもったモデルと言える。

搭載されたエンジンは、クーペと同じく3タイプ。2.0L直4ターボで、135Kw&270Nmという出力が420i。よりハイパワーな428iは、180Kw&350Nmを発揮。そして、最もパワフルな3.0L直6ターボは、435iに搭載され225Kw&400Nmという出力を発揮する。燃費は420iが16.4㎞/L、428iが15.2㎞/L、435iが12.7㎞/Lとなっている。残念なのは、クーペ同様、380Nmを発揮する2.0Lクリーンディーゼル車の設定は見送られている。BMWは、こういったスポーツ系にはクリーンディーゼルエンジンが受け入れられないと感じているようだが、逆にクリーンディーゼルはスポーティでエコロジーに優れ、エコノミーであることをアピールしたほうが良いように思える。

そして、4シリーズグランクーペ420iのみに、4シリーズ初の4WDシステムXドライブが用意された。降雪地域の顧客ニーズに対応している。ただ、このモデルもクリーンディーゼルが望まれる。地方都市では、4WDが必要なのと同時に、走行距離が長くなる傾向にある。4WDになると、燃費は悪化傾向になるので、クリーンディーゼルの高い燃費性能は、大きなメリットとなるはずだ。

4シリーズグランクーペの選び方は、取得税・重量税が免税となる420iがお勧め。パワー的にも十分で、バランスが取れている。その上で、Mスポーツを選びたい。価格はエントリーグレードより41万円高い5,570,000円だが、Mスポーツはリセールバリューが高い傾向にありるので、短期間で乗り換えるのなら、Mスポーツを選ぶといいだろう。

より、走りを楽しみたいのなら428iをお勧めしたい。435iは圧倒的にパワフルなのだが、428iは4気筒なのでフロントがやや軽い印象。豪快に走りたいのなら435iでもいいが、BMWらしい軽快感あふれるハンドリング性能を楽しみたいのなら428iという選択だ。

・420iグラン クーペ 5,160,000円~435iグラン クーペM Sport 8,030,000円