
クルマでしか行けないVol.40 麻の生産を支える鹿沼のカフェ@Café & Gallery naya
2013年の餃子の消費量で静岡県浜松市から3年ぶりに日本一を奪還した栃木県宇都宮市。
そんな宇都宮市に隣接する鹿沼市には、あまり知られていない日本一があります。それは大麻の栽培。大麻と聞くと物騒なイメージを持つ人がいるかもしれませんが、麻と人間のかかわりは古く、縄文時代にはすでに身近な植物として栽培されていました。
鹿沼市で栽培されていた大麻は「野州麻」と呼ばれ、江戸時代には米と並ぶほど盛んにつくられるようになりました。しかし、戦後になると状況は一変。
麻に変わる化学繊維の急成長により大麻の需要が減少し、日本各地で栽培されていた大麻は次々と姿を消しました。
今では全国に大麻農家が数えるほどしか残っていないという状況の中で、先人たちが受け継いできた技術や知識に磨きをかけ、質の高い大麻の生産と麻和紙や加工品の製造に日々力を注いでいるのが、今回ご紹介する『café & Gallery nayaのオーナー大森 芳紀さん。
「麻に触れることで、その温もりや優しさを感じてほしい。麻をもっと身近に感じてほしいという思いから平成13年に『野州麻紙工房』、平成18年に『café & Gallery naya』を造りました」
大森さんの想いがたっぷり注がれたカフェに足を踏み入れると、最初に目にとまるのが麻紙で造られた数種類の照明。麻紙を通して届く明かりはとてもやわらかで、その暖かみが心の奥にじわりと広がります。
そんな店内でいただくのは、地元で採れた食材だけを使用するという『季節のピザ』。
ピザ生地には麻の実が使われ、麻に触れるだけでなく味わうことができるのも『Café & Gallery naya』ならでは。
旬の味を存分に楽しんだあとは、口直しのスイーツが欲しくなりますよね。
メニューの中から選んだのは、これまた麻の実入りのブラウニー。ナッツのような食感と芳ばしさがチョコを程よい甘さにしてくれます。
食後に、改めて店内を見渡すと、あっ、分かりました。なんで、こんなにもホッとするのか。テーブルやソファー、そして、店内のムードを演出する装飾品の全ての色が柔らかいんです。だから癒されるんですね。
さて、ご来店されたら、お勧めなのが店の奥にあるギャラリー。麻紙を加工した壁紙やタップシェード等が展示されており、麻紙のレターセットを買い求めることもできます。大切な人に心を込めて…。
そしてもう一つ。ギャラリー横の階段をあがって、屋根裏部屋へもお立ち寄りください。「秘密基地」がございます。木漏れ日が差し込む空間で、時間を忘れのんびりと過ごすことができます。
「麻が身近にある雰囲気を楽しんでもらえれば満足です。その中で麻に感心を持ってくれたお客様から麻についていろいろ聞かれると、嬉しくて話が弾んでしまいます。そうやって 麻の素晴らしさを広く伝えることが、私の役割だと感じています」と、大森さん。
都会の喧騒から離れたこの場所で、ここでしか触れることのできない歴史と温もりを、是非感じてください。
<アクセス>
Café & Gallery naya
住所:栃木県鹿沼市下永野600-1
TEL: 0289-84-8511
営業時間:11:00~18:00
定休日:月曜、火曜
HP: http://freett.com/mashikoubou/cafe/cafe.html