VWゴルフGTI<350Nmという大トルクで、中間加速は先代GTIより、約1秒もアップ!>
VWゴルフGTIフォルクスワーゲン ゴルフは、2013年6月にフルモデルチェンジ。ゴルフシリーズは、これで7代目となる。そのゴルフのラインアップに欠かせない存在がGTIだ。GTIは、ゴルフに高性能エンジンなどを搭載したハイパフォーマンスモデル。そのゴルフGTIがついにデビューした。

ゴルフGTIは、もはやゴルフの中の1グレードというよりは、完全にゴルフGTIというひとつのブランドになっている。昔から、羊の皮を被った狼的存在で、ゴルフを買うならGTI以外の選択肢は無いというくらい、ホットなファン層に支えられている。そのため、高額な価格ながらラインアップの中でも、GTIの構成比は高いという。

エクステリアは、随所に伝統を受け継ぐ数々の専用装備が施されている。赤く塗装されたブレーキキャリパーやラジエーターグリルのハニカムデザインなどが、GTIであることを主張。その主張は控えめなもので、ハデハデしくアピールしていない謙虚さが魅力のひとつ。意外と地味だが、妙に速い。ある意味、そこがGTIファンのツボだったりする。バンパーなどのデザインも普通のゴルフとは明らかに違うのだが、並べてみないと分からないくらいなのだ。

VWゴルフGTIインテリアは、初代GTIから受け継いできた赤と白のラインが織り成すタータンチェックのシート生地を採用。ハイパフォーマンスモデルとしてのゴルフGTIとは不釣り合いにも感じる可愛さあふれるものだ。ハイパフォーマンスモデルなのに、インテリアはカワイイという、妙なアンバランス感もGTIならではのものだ。もちろん、レーザーシートになると、GTIらしいスポーティなものとなる。また、ステアリングはGTIロゴプレート付専用レザー3本スポークのマルチファンクションタイプを装着。シフトノブなどには、赤いステッチが入るなど、斬新さはそれほどない。まぁ、究極の定番といえるゴルフに斬新さは必要ないのだろう。

注目のパワーユニットは、GTIとして初めてBLUEMOTION TECHNOLOGY(Start/Stopシステム、ブレーキエネルギー回生システム)が採用し、162kW(220PS)&350Nm(35.7kgm)というパワーとトルクをアウトプットする。これだけのパワーとトルクを発生させながらも、JC08モード燃費15.9km/Lと、先代の13.0km/L(10・15モード)から大幅に進化している。

このエンジンは、フォルクスワーゲンの生産技術であるMQBコンセプトで開発された後傾 12°後方排気を特徴とする第 3世代の直噴ターボ2.0L TSIだ。最高出力は先代GTIより9馬力向上の162kW(220PS)、最大トルクは280Nmから350Nmへと大幅に増加。さらに、最大トルクの発生回転数も従来よりも200rpm低い1,500rpm からとなっている。ドイツで行った中間加速テストでは80-120km/hの所要時間が、先代の6.0秒より1秒も短縮され5.0秒となった。トルクが太くなったことにより、実用面での使い勝手もアップしている。

よりパワフルなパワーユニットを搭載したGTIには、当然専用サスペンションが装備される。車高は10mm下げられ、最新シャシ制御である先代のGTIにも初採用した”XDS”が装備される。XDSは、安全装備である横滑り防止装置ESPを発展させたもので4輪すべてに独立してブレーキ制御が可能だ。XDSは、中高速域のコーナリング時に作動する。コーナリング時に、内側の駆動輪の荷重が不足するとXDSが作動。その車輪のブレーキ圧を高めて空転を防止し、トラクションを確保し、アンダーステアを軽減するというもの。今回進化したXDSでは、プログラムをより洗練し、ブレーキを
伴わないあらゆる運転状況で作動、クルマの敏捷性を高め、余分なステアリング操作を不要にしている。

VWゴルフGTIこのXDSは、なかなか強烈に効く。スポーツドライビング中、ややオーバースピードでアンダーステア気味かなぁ、と感じるような場面でも、あっけなくスルリと曲がってしまう。多少運転が下手でも、上手くなってしまう魔法の機能ともいえる。ただ、この機能に頼ってばかりいると、ドライバーのドライビングテクニックは、まったく進歩しない状態になるので、この機能とどうやって付き合っていくかもGTIを選ぶ上で重要になる。

また、エンジンの最高出力発生回転数が4,500‐6,200rpmと、低いのも特徴。低速トルクが妙なほどあるので、アクセル操作に対してレスポンスが良く、クルマの車速を一瞬にして上げるので、GTIはかなり速い。また、通常走行では、低速トルクを生かし、低回転でドンドンとシフトアップすることで低燃費化される。そのため、高回転型の自然吸気エンジンのように、高回転になればなるほど伸びていくような加速感ではない。高回転まで引っ張りシフトするというよりは、早め早めのシフトアップが良さそうなフィーリングだった。高回転自然吸気エンジンのようなテイストが好きなら、恐らくGTIのテイストは面白くないかもしれない。こういったフィーリングは、好き嫌いが出そうなので、まずはしっかりと試乗してから決めたいクルマではある。

GTIの価格は、369万円。ゴルフTSIハイラインの価格が299万円なので、70万円のアップとなる。この70万円という価格上昇は、安いとはいえないが、十分に価値あるものだ。ハイラインを考えている人で、予算に余裕があるのなら、多少無理してでもGTIという選択もありだろう。GTIは、リセールバリューも良いので、数年で乗り換えるときも有利だろう。速いということだけでなく、運転する楽しさを実感させてくれる貴重なクルマだ。GTIの装備は、豪華なのでベースモデルでも十分。オプションで用意されるレザーシートパッケージや、電動パノラマスライディングルーフパッケージ、DCCパッケージなどは好みと予算次第でということになる。

■VWゴルフGTI価格:3,690,000円

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