クルマでしか行けないVOL.17 足柄で食す四国仕込みのうどん
少し涼しさを感じてきた今日この頃、散歩にはベストシーズンではないかと思った筆者はさっそく外出することに。

と言っても、近所を歩くのではなく、せっかくなら増えに増えた体重も落とせる散歩がよいとヒラメキ、検索すること20分。Webで出会ったのは、『足柄古道』。

この古道という響きがなんとも良い。減量は修業ですから。

足柄街道を沿って流れる川の源泉は夕日の滝の上流から始まっています
足柄古道は1200年前の奈良時代に整備された道で、神奈川県の山北から駿河小山,御殿場を越えて沼津,三島に抜ける東海道の間道(かんどう=脇道)として利用されていました。
(更に詳しい内容は、こちらをご覧ください。)

とりあえず、クルマで目指した先は地蔵堂。
その辺りにクルマを停め、金太郎の産湯につかったと云われが残る、伝説の夕日の滝を歩いて目指すことに。

地蔵堂へは足柄街道から脇道へ。
だんだんと道は狭くなって行きます
地蔵堂の右手は行き止まり。左手は夕日の滝へと続きます
東京から東名高速を使い大井松田インターで降り、そこから足柄街道へ。
峠道を走ること30分、ようやく地蔵堂に到着。さて、コインパーキング、コインパーキング…、うどん、うどん。

運命的な出会いとは、こういったことでしょうか。コインパーキングを探す筆者の目に飛び込んできたのは、風景に溶け込んだ古民家。
そこに書かれたうどんの3文字。

地蔵堂をまがってようやく見える「うどん」の3文字。
注意深く見渡さなければ見落としてしまう場所にあります
「これは、絶対に美味しいぞ」、食べる前から既に期待度120%です。駐車場にクルマを停め、店内に突撃取材です。店内の雰囲気は、外観からの期待を裏切ることなく、主役は木材です。石膏ボードなど、一切、使われており
ません。

小道を入って店の前までくると意外に広い間口。
この家屋が建てられてから
すでに200年を超えているというから驚きです
天井がたかく温かみを感じる店内。
柱が傾いているのはご愛嬌
メニューは、基本の湯うどんをはじめ全5種類、様々な味が楽しめます。
その中から筆者が選んだのは、湯うどんとカレーうどんです。まずは、湯うどん。箸で挟み持ち上げ、つやつやに輝くうどんを一口。「うーん、もっちり」です。適度な歯ごたえを残しながら、喉を通りぬけていきます。付け汁もまた美味。レモンが入っており、付け汁の後味がすっきりしています。

ご主人自慢の一品「湯うどん」
麺に弾力と甘さを感じる一品。これが“うどん”です
次にカレーうどん。これ、皆さんの想像とは違います。なんとドライカレー
を使用しおり隠し味のトマトと相まって、スパイシーな味が立っています。
オーダーした2品ももうすぐ完食!と、思った時にふと脳裏を横切るものが。
この麺の触感は、どこかで体験したような…。あっ、思い出しました、四国の香川うどんです。

若い方から人気だというカレーうどん。
筆者はズルズルと一気に食べたい派なので、
アツアツではなく少し冷ましてからいただきました
その理由が、店主の和田さんの修業時代に隠されていました。
「最初は、東京のうどん屋で働いていて、暫く立ってから自分が作ったうどんを両親に食べてもらったら『固すぎてたべられない』と言われたんです。そこで、東京ではなく四国に渡り修業しました」

四国に渡り1年半。品評会において、和田さんが打ったうどんは、地元の有名うどん打ちを抑え入賞を果たします。

「茹でたてのうどんを楽しんで」と語る店主の和田博文さん
そりゃ、それだけの腕を持つ職人が打つうどんですから、納得の美味しさです。さらに、その腕をサポートしている水が素晴らしい。そう、あの金太郎が育てられた夕日の滝の湧水です。まさに鬼に金棒、名店に名水です。
気付けば、店の外までお客様が並んでいました。

夕日の滝。日が差し込まない山奥にあるので秘境感は満点。
流れる水は、このすぐ上に源泉があるというだけあって
ひんやりと冷たく透き通った水です
いや~、美味しいお店はどこで出会うか分かりません。もちろん、この余韻を楽しむために足柄古道の散策は後日にして家路につきました。

<アクセス>
万葉うどん
住所:神奈川県南足柄市矢倉沢2939
TEL:0465-73-0511
OPEN:11:30~19:00(休祭日11:00~19:00)
定休日:水曜日