＜豪華装備なのにお買い得な設定とした限定車＞
BMWは、VWゴルフやメルセデスベンツAクラスなどがライバルとなる激戦のCセグメントクラスに、BMW1シリーズの限定車「BMW116i Fashionista（ファッショニスタ）」を設定し発売を開始した。このモデルは、490台の限定車となっている。だからといって、ライバルの好調を黙ってみている訳にはいかない。そこで、投入されたのが、今回の限定車であるBMW116i Fashionista(ファッショニスタ)だ。この限定車の価格は、366万円とライバルと比べるとかなり高価。エントリーグレードの価格競争になっている他のCセグメント車と比べると、とても勝負できる価格ではないようにも思える。
それには、どうやら狙いがあるようだ。BMWは、さすがにFRの1シリーズでライバル達と価格戦争することは難しいと考えているようだ。実際、このクラスのクルマは、エントリーグレードの価格の安さで来店を誘い、実際に買うのはトップグレードというパターンが多い。それなら、エントリーグレードの価格で勝負するのではなく、上級グレードの装備と価格で勝負に出たのが116iファッショニスタいえるだろう。狙いは、高級グレードを好む顧客の取り込みだ。
116iファッショニスタは、2月に発表したBMW116iファッショニスタに、最新の運転支援システムなど装備をさらに充実させたモデルだ。搭載されるエンジンは、直41.6Lターボで136ps＆220Nmという出力。燃費は、16.6㎞/Lと走りと低燃費を両立している。
インテリアに温かみのあるオイスター色のダコタ・レザーとホワイト・アクリル・ガラス・トリムの組み合わせが、明るくモダンな室内空間を演出。エクステリアでは、ホワイトのキドニーグリル・バーと17インチアルミホイールを採用。エレガントかつ洗練されたスタイリングを強調している。
機能面では、狭いスペースでの駐車をサポートするリヤ・ビュー・カメラおよびパーク・ディスタンス・コントロール（リヤ）、駐車時の軽快なハンドル操作をサポートするサーボトロニック、キー操作なしでドアのロック/ロック解除が可能なコンフォート・アクセス、シートを素早く快適な温度に温めるフロント・シート・ヒーティング、照明付きバニティ・ミラーを含むライト・パッケージ、ポータブル・オーディオ・プレーヤーと接続し音楽が手軽に楽しめるUSB オーディオ・インターフェイスなど、日々のドライブを快適にする装備が満載だ。さらに、最近の追突被害軽減自動ブレーキブームにも対応。追突が不可避な場合にブレーキをかけ衝突を回避・被害の軽減を図る「衝突回避・被害軽減ブレーキ」やクルーズ・コントロールを含む「ドライビング・アシスト・パッケージ」を装着。さらに、乗員の安全と車両の状態を見守ることで、ドライビングにさらなる安心感を与えてくれる「BMW SOS コール」および「BMW テレサービス」を装備している。このサービスは、ライバル車にはなかなか無いサービスだ。
肝心な車両本体価格は、エントリーモデルに対して、58万円アップの366万円。この価格は、116シリーズの中でトップグレードとなる価格。BMWによると、これらの装備を装着して58万円アップでも、約30万円もの高い顧客メリット与えているという。ただ、ETC車載器システム（ルーム・ミラー内蔵タイプ）が装備されていないなど、足りない装備もある。このトップグレードをお買い得にみせる戦略によって、多くのライバルと上級グレードを好む顧客に対しては価格的に競い合えるレベルに達した。さらに、FRで8速ATなど、ライバルを凌駕するハードをもつBMW116iファッショニスタ。豪華装備だけではなく、走りの質を求める顧客には十分満足がいくだろう。
ただ、難しいのは走りの質やFRやFF、8速ATなどなど、ハードのスペックにこだわらない顧客層が多いのも事実。とくに、BMWはどの車種でもエアロパーツが装着されたMスポーツが人気だ。見た目が重視される傾向も強いので、そういった顧客にはエアロパーツ類などでBMWらしくアピールするのも必要かもしれない。また、こういったお買い得な限定車の存在をどうアピールするかも重要だろう。
もはや、FRだからと言って選ぶ人は、マニアックかもしれない。ただ、高級車のほとんどがFR車であることからも、FR車の走行フィールは上質。このCセグメント唯一のFRだけに、お買い得ということだけではなく、とにかく走ることが楽しいと感じる人におすすめしたい1台だ。
■BMW116iファッショニスタ価格：3,660,000円
