スズキ スペーシア
<パレットの後継がスペーシア>
スズキ スペーシアスズキには、超ハイト系ワゴンの軽自動車パレットがあった。今回登場したスペーシアは、そのパレットの後継モデルとなる。せっかく浸透し始めてきたパレットの名は、わずか一世代のみとなってしまった。名前は代わったが、基本コンセプトパレットと同じで、ワゴンRよりも背が高く、子育て層をターゲットにしたモデルだ。

スペーシアは、1,735mmという高い全高を持つ。この全高は、従来のパレットと同じ。ワゴンRの1,640mmより95mmも高い。全幅と全長は、規制内ギリギリなので、室内スペースを拡大するために、上方へのサイズアップしている。ホンダのN BOXなどは、全高を1,770mmという背の高さで、広大な室内空間と優れた積載性アピールしている。

<横滑り防止装置(ESP)無いなど、安全面は物足りない>
スズキ スペーシアスペーシアは、N BOXよりも35mm車高が低い。スズキは、全高をむやみに高くしていない。少しでも重心を下げ、走りの基本性能と軽量化を両立するための判断だ。その狙い通り、背の高い超ハイト系ワゴンの中では、最も高い操縦安定性をもつ。

ただし、スペーシアには横滑り防止装置(ESP)が装着されていない。横滑り防止装置は、自動車事故の軽減に効果がある装備で、普通車はもう標準装備化が法律で定められている。軽自動車も同じ。ただ、新型生産車は2014年10月1日以降に新たに型式の指定を受ける自動車、継続生産車は2018年2月24日以降に製作される自動車に法律で義務付けられる。軽自動車に関しては、義務付けられるまで、まだ時間的に余裕がある。いずれ付けなくてはいけない重要な安全装備なら、フルモデルチェンジを機会に全車標準にすればいいと思うのだが、こういったところがスズキの安全に対する考え方なのだろう。

残念ながら、現在のスペーシアには横滑り防止装置がオプションでも用意されていないので、あまりおすすめできない。また、ダイハツのスマートアシストのように、追突軽減自動ブレーキがスペーシアにも用意されるので、それまで待つのが賢明だろう。

<クラストップの低燃費性能、便利機能&使い勝手も良好>
スズキ スペーシア ティッシュボックスがすっぽり入る

安全面以外では、総じて高いレベルにある。燃費はクラストップの29.0km/Lを達成している。これは、軽量化と2012年9月に出たばかりのワゴンRに採用されたスズキ クリーンテクノロジーをわずか6ヶ月でさらに進化させている。軽量化のため、吸・防音材も減らされているようで、走行音は若干騒がしい傾向にある。

車内のパッケージングは、とても高いレベルにある。子育て層に便利な収納スペースも豊富。グローブボックス内に、ボックスティッシュが入るスペースを設定。ボックスティッシュが入るスペースは、ひとつだけではなくフロント席上部にもボックスティッシュを収納可能なフロントオーバーヘッドコンソールまで用意している。

使いやすさも高いレベルにある。開口幅580mm、開口高1,230mmの広い開口に加え、リヤステップ高はクラストップの低さ340mm(2WD車)とし、乗り降りに役立つ乗降グリップを装備している。子育て層だけでなく、お年寄りにも優しい。また、スライドドア振り出し量をクラス最小の150mmに抑え、狭い場所での使い勝手を向上している。後席左側のドアには、軽自動車初となるワンアクションパワースライドドアが装備された。

<選ぶなら、XかTのどちらか。ターボ車もなかなかの低燃費>
スズキ スペーシア 後席の広さもクラストップレベル

繰り返しになるが、スペーシアには横滑り防止装置(ESP)が無いので、装着されるまで待つのが正しい選択だ。横滑り防止装置が無くてもいいというのであれば、スペーシアの高い操縦安定性が得られフロントスタビライザーが装備されたグレードで、XかTという選択になる。Tはターボエンジン車なので、よりパワーが欲しい人向き。基本的な装備の差はない。このターボエンジンも、なかなか低燃費でFF車が26.0km/Lとなっている。73,500円のオプションでスマートフォン連携ナビゲーションが用意されていて、バックモニター・ワンセグTV・AM/FMラジオ付、Bluetooth対応となっている。バックモニターも用意されているので、オススメのオプションだ。

■スズキ スペーシア グレード、価格
G 2WD 1,228,500円
4WD 1,346,100円
X 2WD 1,323,000円
4WD 1,440,600円
T 2WD 1,417,500円
4WD 1,535,100円