新型トヨタ マークXの開発担当者である商品開発本部トヨタ第1乗用車センター製品企画チーフエンジニア 友原孝之氏

新型トヨタ マークXの開発担当者である商品開発本部トヨタ第1乗用車センター製品企画チーフエンジニア 友原孝之氏

ついに、高級車がデフレ化? トヨタが送り出すデフレ時代の高級車マークX!

トヨタ 新型 マークX エクステリア

 テレビのCMでお馴染みの佐藤部長の愛車、トヨタ マークX。若々しいデザインにクラウン譲りの動力性能。さらに使いやすいサイズなど、日本のセダンのなかでは新鮮でクリーンなイメージをもっている高級セダンだ。
 そんな高級車新型トヨタ マークXだが、クルマのデフレ化を促進する「高品質廉価車」となった。前モデルより約10万円ほど安くなったのだ、装備は逆に充実した。ついに、クルマは安くて良くなくては売れないデフレ時代に突入した。

CORISM:高級セダンが売れないご時勢ですがすが、トヨタマークXは大丈夫ですか?

新型トヨタ マークXの開発担当者である商品開発本部トヨタ第1乗用車センター製品企画チーフエンジニア 友原孝之氏

友原:おかげさまで、コンスタントに月販3000台を記録していて、セダン不振のなかでも健闘しているのはありがたいです。日本車では46車種あるのですが、上位にランクインしていますから。

CORISM:デザイン、ずいぶん若返ってスポーティですね

友原:マークIIの頃はモデルチェンジするたびに、オーナーの平均年齢が4歳ずつ上がっていったんですね。つまり、オーナーとともに歳を取っていく。それじゃあ、先細りになるのは目に見えている。それでマークXとなって、プラスマイナス0歳となった。実質、若返りができたというわけです。BMW3シリーズなどもベンチマークにしましたたから、走りにもスポーティさはありますよ。

CORISM:CMに引き続き佐藤浩一さんを起用するなど、新型はやはり初代を踏襲したといっていいのでしょうか。

友原:いや、先代を踏襲したわけではないです。サイズにしてもね。やはりマークXとしての存在意義というのははっきりさせないと。ただし、内容的には充実させています。

トヨタ 新型 マークX 走り

CORISM:自動車のデフレ化を先読みしたかのごとく、かなりリーズナブルな価格ですね。

友原:プリウスの低価格戦略もあり、トヨタ自動車のラインアップも価格のバランスが崩れてきたのも事実です。より良いクルマを廉価でお客様にご提供するのも我々の使命でもあります。マークXも当然、価格は見直しました。
 マークXの最低価格で見ると238万円で、先代よりも10万円安くなっています。先代からプラットフォーム(車台)をキャリーオーバーしていることもあるんですけど、各部のコストも再度見直しで、かなり努力しました。
 マークXのプラットフォームは、クラウンやレクサスGSなどにも使われているもので、ひとクラス以上上級なものです。それでいてVSC(横滑り防止装置)やニーエアバッグなども標準化するなど、安全装備を削らず逆に充実させています。
 そういう意味では、ホントにこのマークXはかなりお買い得なクルマなんですよ。

CORISM:さらにこのデフレが追い打ちをかけていますが。

新型トヨタ マークXの開発担当者である商品開発本部トヨタ第1乗用車センター製品企画チーフエンジニア 友原孝之氏

友原:デフレを意識していたわけではないですが、2.5リッターエンジンをハイオクからレギュラー仕様に変更しました。それでいて燃費は13.0km/Lと、アップしています。これは以前の原油高騰が関係していますけど。
 それに、マークXでもエコカー減税の影響があって、おかげで販売が伸びているということは確実に言えます。
 こんな時代ですから、お客様は価格に対して非常に敏感ですね。
 

CORISM:ただ安ければ売れるという時代じゃないですよね? 確実に売るための秘訣は?

友原:確かに安いだけでは売れないと思います。マークXは国内専用車だけに、とても取り巻く環境は厳しい(笑)。それでも売るためには、競合に比べさらに良いものでなくてはダメだと思います。そのためには、"味"が大切です。このの部分をうまくプラスすることが重要。
 月販3000台を達成するにはそれは必要。たとえばドアの音にこだわって高級感を出すとかこだわっています。国産車の場合、クルマが好きというのが15%。モノとして割り切っている人が45%で、残りの40%がいわゆる浮動票で、面白かったり、気になるクルマが出てきたらそれを買うという人たちです。そこをいかにうまく取り込むことはポイントだと思います。
 味があれば輸入車勢からもお客さんを取るのもできると思います。現に輸入車から乗り替えた方もいらっしゃいます。

初のフルモデルチェンジで内容充実かつ低価格化! まさにデフレ時代の高級サルーン

トヨタ 新型 マークX リヤビュー

 マークXとなったときに、旧来からマークII感をうまく脱ぎ捨て、話題になったCMも相まって若々しいイメージも手に入れた。さらにクルマそのものとしても、クラウンからの流用も多く、かなりお買い得なモデルといっていい。
 それがさらに新型になって、内容充実かつ低価格化。まさにデフレ時代を象徴するかのようなその存在といってよく、セダン不振のなか、逆境にもめげず売れる気配濃厚。
 

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