混沌の90年代を象徴する10台が勢揃い!
続いては90年代に日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した10台を紹介してゆこう。90年代前半はまさにバブル絶頂期。3ナンバー車の税制変更に伴い2.5リッター車が買いやすくなった絶妙のタイミングで登場した「三菱 ディアマンテ」は時代の象徴ともいえる1台だ。しかし90年代半ばからはバブル崩壊により、イッキに時代が変わってゆく。先行き不透明な中で勢力を伸ばしたのが経済的なコンパクトカーだ。2代目「日産 マーチ」や初代「トヨタ ヴィッツ」は、小型車の本場欧州市場を視野に入れた本格的な造りで、中型車などからのダウンサイジングユーザー需要も獲得。現在につながるコンパクトカー市場拡大の礎を創造したのだった。またいっぽうで、特別賞を獲得した「ホンダ オデッセイ」や「トヨタ エスティマ」などのミニバンの登場も、その後のブームを創り出した功労車として挙げられよう。
そして90年代末、21世紀の新時代を想像させた1台の歴史的モデルが現れる。初代「トヨタ プリウス」だ。モーターとガソリンエンジンを効率的に併用する画期的なハイブリッドカーには、大いに興奮させられたものだ。しかしさすがにこの当時、このクルマが2009年に販売1位を獲得するほどの発展を遂げるとは誰もが想像していなかったのではないだろうか。
|
|
今年で30周年を迎えた「日本カー・オブ・ザ・イヤー」。これを記念し、東京モーターショー会場で特別展示が行なわれている。初代イヤーカーの「マツダ ファミリア」をはじめ、その時代を代表する懐かしい30台が幕張で一堂に会したのだ。歴代の受賞車を年代別に詳しく紹介してゆこう。 >> 記事全文を読む |
|
第11回[1990-1991]受賞車 三菱 ディアマンテ/シグマ
「ホンダ NSX」や「トヨタ エスティマ」(特別賞)など、強力なライバルを制して大賞を獲得したのが、この「三菱 ディアマンテ/シグマ」だ。世界に通用するセダンとして5ナンバー枠にとらわれることなく設計されたことや、4WDなどの先進アイテムを評価された。さらに2.5リッター車の税制が変更されたことも追い風となって、大いに人気を呼んだ。
第12回[1991-1992]特別賞 受賞車 三菱 パジェロ
前回から新設された特別賞は「三菱 パジェロ」が獲得した。アウトドアブームやスキーブームという時代背景を受け、「RVブーム」の先鋒をゆく人気モデルとなった。この年の日本カー・オブ・ザ・イヤー大賞は5代目の「ホンダ シビック」。3ドアハッチバックと4ドアセダンというラインアップは変わらないものの、セダンにはフェリオというサブネームが与えられた。パワフルなV-TECエンジンと軽量ボディによるスポーティな走りが魅力だった。
第13回[1992-1993]受賞車 日産 マーチ
2代目「日産 マーチ」は、今でこそコンパクトカーでは常識になったCVTを採用するなど、燃費にも配慮した設計がなされていた。パッケージングも優秀で、実用性や居住性、そして経済性の高さが総合的に評価された。欧州でもカー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど国際的にも高評価だった。特別賞には今や乗用車の生産から撤退してしまった「いすゞ ビッグホーン」が獲得。
第14回[1993-1994]特別賞受賞車 トヨタ スープラ
特別賞の「トヨタ スープラ」は、ゲトラグ製の6速MTを搭載するなど、世界的に見ても実力の高いスポーツカーだ。その後後継車がないこともありSUPER GT選手権でも長きに渡り活躍を続けた。余談ながら、スープラの中古車は絶版車ということもあり、デビュー10数年経った今でも異例なほどの高さを誇っている点も特筆される。ちなみにこの年日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したのは5代目「ホンダ アコード」。2リッターエンジン搭載ながら3ナンバーサイズのゆったりしたボディが特徴だ。
第15回[1994-1995]特別賞 受賞車 ホンダ オデッセイ
特別賞にはミニバンブームの火付け役的存在の「ホンダ オデッセイ」が獲得した。大賞は、マニュアルモード付きのATを採用して話題となった「三菱 FTO」が受賞している。またこの年から新設されたインポートカー・オブ・ザ・イヤーは「メルセデス・ベンツ Cクラス」が初受賞した。
第16回[1995-1996]受賞車 ホンダ シビック/シビック フェリオ
この年は「ホンダ シビック」が3度目の受賞を果たした。ミッションにはホンダ初のCVTを採用するなど、走りの良さと経済性を両立させたのも特徴だった。特別賞は「日産 テラノ」、インポートカー・オブ・ザ・イヤーはローバーのミッドシップオープンスポーツの「MGF」がそれぞれ受賞した。
第17回[1996-1997]受賞車 三菱 ギャラン/レグナム
徐々に環境問題への意識が高まる中、直噴ガソリンエンジンGDIを搭載したことで、大きな話題となった「三菱 ギャラン/レグナム」が大賞を獲得した。特別賞にはやはり環境に優しいコンパクトカーの初代「マツダ デミオ」が選ばれた。インポートカー・オブ・ザ・イヤーは「メルセデス・ベンツ SLK」だった。
第18回[1997-1998]受賞車 トヨタ プリウス
「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーが印象的な世界初のハイブリッドカーである「トヨタ プリウス」が圧倒的な支持で大賞を獲得した。特別賞には様々なカスタマイズが可能なSUVの「いすゞ ビークロス」が、インポートカー・オブ・ザ・イヤーには「ルノー メガーヌ セニック」が入賞した。
第19回[1998-1999]受賞車 トヨタ アルテッツァ
スポーティな走りを重視した4ドアセダンの「トヨタ アルテッツァ」が大賞に輝いた。2リッターNAながら210psを生み出すエンジンとFRの駆動方式で人気となった。ちなみに「レクサス IS」の初代モデルに当たる。特別賞にはユニークなデザインの「ホンダ Z」が、インポートカー・オブ・ザ・イヤーは斬新な小型車「メルセデス・ベンツ Aクラス」が入賞した。
第20回[1999-2000]受賞車 トヨタ ヴィッツ/プラッツ/ファンカーゴ
特別賞はFRスポーツの「ホンダ S2000」が入賞した。ホンダとしても久しぶりの後輪駆動車で、オープンカーながら走りの性能追求にはかなり気合が入っている。いっぽう日本カー・オブ・ザ・イヤーの大賞には、優れたパッケージングと燃費の良さが魅力のコンパクトカーである「トヨタ ヴィッツ/プラッツ/ファンカーゴ」が受賞した。なおインポートカー・オブ・ザ・イヤーにはローバーの中型セダンである「75」が選ばれている。
COTYが開催される第41回「東京モーターショー」の話題はコチラから!