この記事の目次 CONTENTS
ナンバーミニバンの原点に戻り使い勝手の良さと経済性を重視した
10月9日に行われた新型「ステップワゴン」記者発表会の模様
スパーダはもちろん標準車も迫力たっぷりのルックスに変身
豊富なシートアレンジで使い勝手が大幅アップ!
ホンダ 新型 ステップワゴン スパーダ
搭載エンジンは全車2リッターに統一された
使い勝手と燃費は満足できるが安全性はやや物足りない
ホンダを代表するミニバン「ステップワゴン」の話題はコチラもチェック!

ライター紹介

自動車ライター&エディター

近藤 暁史 氏

某自動車雑誌の編集者から独立。その前はファッションエディター(笑)。とにかくなんでも小さいものが好きで、元鉄チャンで、今ではナローゲージを大人買い中。メインのクルマは19歳の時に買ったFIAT500。エンジンのOHからすべて自分でやり、今やもうやるところがない状態でかわいがっております。表向きは自動車ライターながら、業界唯一の省燃費グッズの評論家というのがもうひとつの顔。

ナンバーミニバンの原点に戻り使い勝手の良さと経済性を重視した

ホンダのステップワゴンが10月9日にフルモデルチェンジされ、4代目へとスイッチした。すでにスクープをお届けしており、ほぼそのレポート通りなのだが、実車を見た感じでは、かなりプレーンになったというのが最初の印象だ。

先代ステップワゴンの登場時には、フローリング風フロアや障子のようなシェイドなどに驚かされたが、そのようなギミックは一部を除きだいぶ省略された。結局、それらが仇になってお客さんはトヨタ ノア/ヴォクシー、日産 セレナに流れてしまったとも言えるだけに、今回は原点に立ち返った印象を受ける。

ホンダ 新型 ステップワゴン 10月9日発売

初代や2代目モデルのようなシンプルさを手に入れている。標準車でも迫力はなかなかのものがある。

広い室内空間を稼ぎ出すため、まるで1BOXカーのようなリヤビュー。存在感も増して好印象だ

ガラス面積が広くとられており、室内も明るくなった。リヤコンビランプはシンプルながら質感も高い。

ホンダ 新型 ステップワゴン スパーダ 10月23日発売

新型ステップワゴンにもスポーティ仕様のスパーダは用意される。

エアロパーツを装着し、かなりスポーティな雰囲気が漂っている。

スパーダは精悍なイメージ。シャープな顔つきはホンダらしいもの。

10月9日に行われた新型「ステップワゴン」記者発表会の模様

広告メッセージは「日本一の家族へ。」キャラクターに起用されたのはウルトラファミリーだ!

新型をお披露目する本田技研工業 伊東 孝紳 代表取締役社長
[10月9日 ホンダ 青山本社ホールで行われた新型「ステップワゴン」記者発表会にて]

クラス最大の室内、クラスNo.1の低燃費を誇る新型と、日本一の家族を象徴するウルトラマンたちがコラボレーションする!

ホンダ伊東社長とウルトラファミリーが、大きくなって生まれ変わった新型ステップワゴンを前に夢の!?4ショット! なかなか見られない光景だ。

スパーダはもちろん標準車も迫力たっぷりのルックスに変身

新型ステップワゴンのラインナップは先代同様に、標準ボディのほかに、エアロや17インチホイールなどを装備するよりスタイリッシュなスパーダも用意。

どちらも最近のホンダ車の例にならって、いわゆる"ホンダ顔"となっていて、ひと目でステップワゴンとわかる存在感を得ている。スパーダだけでなく、標準車でもなかなかの迫力だ。

ボディサイズは、このクラスの鉄則である「5ナンバーサイズ堅持」。
ただ、全長を50mm、全高を45mm拡大しつつ、室内に関してはお得意の低床・低重心フロアにより、室内長を320mm、室内高も45mm拡大したことで、クラス最大の室内高1395mmを実現している。この点は実際に乗ってみるとわかる点で、確かに広く、それが確実に実感できるほどだ。

メッキパーツを多用したスパーダに対し、標準車(写真)はシンプルなイメージでまとめられている。

標準車は15インチのタイヤ&アルミホイールを装着。オプションで16インチタイヤも選択可能だ。

スパーダは16インチ仕様が標準で、17インチはオプション。FF車はスポーツサスペンションを装備。

スパーダはリヤスポイラーなどのエアロを装着し、スポーツテイストが高められている。リヤコンビランプもクリアの専用品だ。

通常は死角となる左フロントタイヤ前方を確認できるサイドビューサポートミラーを一部のグレードに新設定している。

ドアミラーの前側に設置したミラーに一度反射させ、助手席ピラー部分のミラーで確認できるようになっている優れものだ。

豊富なシートアレンジで使い勝手が大幅アップ!

さらに実用面では「3列目床下収納シート」を採用しているのが大きな注目点で、これも燃料タンクが前方にある低床・低重心フロアの恩恵だろう。
クラス初と謳ってはいるが、初代オデッセイにあった3列目がひっくり返ってそのままラゲッジのフロアにスッポリと収納されるというものと同じだ。

ライバルは跳ね上げが主流だけに、これは大きなアドバンテージになる。それに問題とされがちな操作そのもの軽々できて、女性でも問題なくできるはず。
そしてセカンドシートにはふたつの仕様が用意されている。
ひとつはタンブルシートと呼ばれる従来と同じベンチシートタイプ。
もうひとつはチップアップシートという、いわゆるキャプテンシートのようなもので、中央席はFOPシートと呼ばれる補助席のような簡単なもので、不要なときは跳ね上げて収納。ウォークスルーすることができる。

フロントシートまわりのスペースはゆったりとしている。運転席からの視界も広く、狭い道でも取り回しに苦労することはない。

新型ステップワゴンでは2タイプのセカンドシートが用意されている。8人乗りの機会が多いならタンブルシート(写真)がオススメか。

サードシートでも十分な広さが確保され、大人でもまずまず満足できる広さを確保。着座姿勢もより自然になり快適性は増している。

標準車(写真)のインテリアは明るめのカラーで、とても広々した雰囲気だ。小物の収納スペースも豊富で実用性の高さも文句なしだ。

スカイルーフと呼ばれる大きな開口部を持つサンルーフは、一部グレードにオプション設定。開放感は抜群で、オススメできる装備だ。

ホンダ 新型 ステップワゴン シートアレンジ
フルフラットを始め、シートアレンジは豊富だ。写真のように2列目を収納し、リムジンのような雰囲気を味わうこともできる。

タンブルシートは、前方に跳ね上げるように収納される。よりスペース効率に優れており、たくさんの荷物を積むユーザーにオススメ。

チップアップシートはワンタッチで2列目を収納できないが、ロングスライドも可能で、よりゆったりとくつろぐことができるのだ。

チップアップシート車の2列目中央はFOPシートと呼ばれる補助席のようなもの。跳ね上げれば2〜3列目のウォークスルーができる。

8人乗車時にはサードシートの収納スペースをラゲッジアンダーボックスのように使用できる。

ライバルのようにサードシートは跳ね上げ式ではないので、スペースを有効に使えるのが魅力だ。

開口部の大きさはもちろん、ラゲッジ自体の容量も十分満足できるもの。使い勝手はとてもいい。

ホンダ 新型 ステップワゴン スパーダ

スパーダのインテリアはカラーがブラックとなり、スポーティな雰囲気が与えられている。

シート形状は標準車と変わらない。タンブルまたはチップアップシートが選べるのも共通だ。

メーターはデザインこそ共通だが、文字盤の色などが専用となり、スポーツテイストを演出。

搭載エンジンは全車2リッターに統一された

新型ステップワゴンは、走りについても熟成が図られている。まずエンジンは2.4リッターが廃止され、2リッターのi-VTECのみ。パワーは5馬力ダウンとなりつつも、トルクは0.5kg-mアップの19.7kg-mとし、扱いやすさを重視。これは街中などでの実用燃費向上にも貢献するだろう。

そしてミッションは待望のCVTと組み合わされる。
オデッセイから順次採用されているECONモードのおかげもあり、燃費は14.2km/Lを実現している。これはライバルに対して大きなアドバンテージになるのは確実だ。
4WDについては5速ATとなるが、こちらも12.6km/Lと、かなりいい数値を実現となっている。ちなみにECONモードは従来のようにCVTだけでなく、5速ATにも付く。

従来の2.4リッターは廃止され、全車2リッターの直4エンジンとなった。トルクを0.5kg-m太らせ、実用性をより高めている。

ミッションはFF車がCVTで、4WDは5速ATとなる。CVTはカタログ燃費だけでなく、実用燃費の向上も図られているという。

オデッセイで初採用され、インサイトなど他のホンダ車でもお馴染みのECONボタン。押すだけで燃費が良くなる優れものだ。

使い勝手と燃費は満足できるが安全性はやや物足りない

最後に安全装備は大きな進化が見られない。左側下方の状況をピラーに埋め込まれたミラーによって確認できる「サイドビューサポートミラー」を新開発&採用しているものの、正直物足りない内容である。
2&3列目の中央にはヘッドレストも3点式シートベルトもなし。

VSA(横滑り防止装置)も上級グレートには標準装備されるが、他グレードではオプションでの用意がないのはかなり寂しい。
価格については標準車は「G(FF)」208.8万円から「Li(4WD)」345.8万円まで。スパーダ(10月23日発売)が「S(FF)」245.8万円から「Zi(4WD)」359.8万円までと、2.4リッターが廃止されたものの、最上級グレードは300万円台となってしまう。だが、スタンダードグレードでは逆に値下げ。より予算や内容で選べる幅が広がっていると言っていいだろう。

ウルトラマンカラーにペイントされた特別仕様の新型「ホンダ ステップワゴン」&「スーパーカブ」(!)とウルトラファミリー

代表グレード ホンダ ステップワゴン G Lパッケージ(FF)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4690×1695×1815mm
車両重量[kg] 1600kg
総排気量[cc] 1997cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 150ps(110kw)/6200rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 19.7kg-m(193N・m)/4200rpm
ミッション CVT
10・15モード燃焼[km/l] 14.2km/l
定員[人] 8人
税込価格[万円] 225.7万円
発売日 2009/10/9
レポート 近藤 暁史
写真 CORISM編集部

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