メルセデスベンツ Sクラス「S Hybrid(ハイブリッド) ロング」発表に合わせ来日したドイツ・ダイムラー社 レオポルド・ミクリッチ ハイブリッド開発担当 副社長(中央)と、メルセデス・ベンツ日本 ハンス・テンペル社長(左)、上野 金太郎 副社長(右)
- この記事の目次 CONTENTS
- 輸入車初の「エコカー減税」適合車!
- レクサス LS600hとの違いは「システムの小型化」にあり!
- メーター内にエナジーフローディスプレイを表示
- メルセデスベンツ Sクラスの話題はコチラもあわせてチェック!
輸入車初の「エコカー減税」適合車!
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メルセデス・ベンツは、メルセデスの最上級サルーン「Sクラス」に、輸入車としては初のハイブリッドカー『S Hybrid(ハイブリッド) ロング』を追加した。量産モデルとしては初のリチウムイオンバッテリー搭載し、さらに輸入車初のエコカー減税対象車ともなるなど、話題満載の1台だ。またあわせてSクラスのマイナーチェンジを行い、内外装の変更や性能の向上なども同時に実施した。本ページでは、ハイブリッドモデルに焦点を絞ってご紹介してゆく。
「S Hybrid ロング」は、ハイブリッド車専用にアトキンソンサイクル化したV6 3.5リッターエンジンとトランスミッションの間に薄型モーターを組み込み、小型軽量なリチウムイオンバッテリーなどを組み合わせた「マイルドハイブリッド」モデルだ。10.15モード燃費で11.2km/Lをマークする。これは、ベースとなった「S350」の燃費に比べ、およそ30%も向上している。ECOスタートストップ機能により、時速15km/h以下ではエンジンを停止しアイドリングストップ状態となるほか、減速エネルギーを蓄電する回生ブレーキシステムなどにより燃費を稼いでいる。
エコな燃費性能のいっぽうで、Sクラスらしい余裕の性能も確保する。エンジンの最高出力は279ps(205kW)/6000rpm、最大トルクは35.7kg-m(350N・m)/3000-5500rpm。いっぽうモーター出力は20ps(15kW)、発進トルク16.3kg-m(160N・m)。これら合わせて、総合最高出力299ps(220kW)、総合最大トルク385N・mと十分な性能を発生させる。発進時のモーターのブースト効果と相まって、0-100km/h加速7.2秒、最高速度250km/h(リミッター作動)の高性能を発揮する。
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日本初公開された「S Hybrid(ハイブリッド) ロング」と、メルセデス・ベンツ日本のハンス・テンプル社長がツーショット。
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ハイブリッドモデルといっても、リアエンドに取り付けられる「Hybrid」のエンブレム以外、外観上の差異はほとんどない。
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コンパクトなハイブリッドシステムのため、トランクルームや室内は他のSクラスと全く変わらないスペースを確保する。
レクサス LS600hとの違いは「システムの小型化」にあり!
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さて、大型サルーンのハイブリッドカーといえば、07年に登場した「レクサス LS600h」が代表格だ。「S ハイブリッド」のハイブリッドシステムは、いわゆるマイルドハイブリッドと呼ばれるもの。エンジンの補助としてモーターが機能し燃費を向上させる。これに対しレクサスLS600hは「フルハイブリッドシステム」と呼ばれ、低速走行時などにエンジンを起動せずモーター単体での走行が可能となっている点が大きな違いだ。この結果、レクサスはメルセデスより大きなV8 5.0リッターエンジンを積みながら、10.15モード12.2km/Lの低燃費をマークする。しかしモーターの高出力(モーターだけで224psだ!)を得るため、大型のニッケル水素バッテリーを後部床下に積み重量を増すとともに、トランクスペースを大きく割いている。低燃費を得るためとはいえ、やや本末転倒な感もある。
いっぽうメルセデスベンツのS ハイブリッドのリチウムイオンバッテリーは、エンジンが積まれるフロント部にコンパクトに搭載され、室内やトランクスペースなどは一切侵食しないで済んだ。システム全体の重量も約70kgで済んでいるという。シンプルなシステムゆえ、他モデルへの展開も期待出来る。メルセデスベンツではフルハイブリッドシステムの検討も行ったというが、大型ボディのSクラスに最適なシステムとしてマイルドハイブリッドを選んだ。
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新型Sクラス「S ハイブリッド」のシンプルなハイブリッドシステム
フロントのエンジン後側にある円状の薄い筒がモーター。そこからワイヤーでつながるのがハイブリッド車専用小型軽量リチウムイオンバッテリーのユニットだ。既存のエンジン+トランスミッションにプラスされるシステムであることがおわかりだろうか。
リチウムイオンバッテリーは、ニッケル水素に比べエネルギー密度が高く小型に出来る半面、熱の問題がある。S ハイブリッドの高電圧リチウムイオンバッテリーは高強度のスチール製ハウジングで囲み安全性を確保するとともに、低温冷却する仕組みが組み込まれている。
なおこのバッテリーは、モデルライフと同等の10年の耐用年数を想定しているという。エアコンの電動冷媒コンプレッサーやモーター駆動を行うばかりでなく従来の鉛バッテリーの役割も果たし、12V変換されライトやオーディオ、電動パワステなどの電装部品へも電力供給する働き者だ。また減速時には回生ブレーキのエネルギーを蓄える。これらのコントロールユニットももちろんボンネット内に設置される。
【参考】こちらはレクサスLS600hのハイブリッドシステム図
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ニッケル水素の大きなバッテリーはトランクルーム下に設置。トランスミッションも独自の電気式だ。通常のモデルとは異なる専用ユニットであることが、上のメルセデス「S Hybrid」との比較でわかるだろう。
メーター内にエナジーフローディスプレイを表示
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モーターの補助によって、ハイパワーと低燃費を両立させたS ハイブリッド。そのバッテリー充電の状態やモーターの稼動状況などは、メーター内に設置されたマルチファンクションディスプレイに「エナジーフローディスプレイ」としてリアルタイムで表示される。このほか装備面についても、他のSクラス同様に多彩で贅沢な内容となっている。詳しくはSクラスマイナーチェンジの情報の項も参照して欲しい。
新型Sクラス「S Hybrid(ハイブリッド)」の価格は、消費税込みで1405.0万円。左ハンドル車のみの設定となっている。排出ガス性能は国土交通省の「平成17年排出ガス基準75%低減レベル(★★★★)」を獲得。あわせて「平成22年燃費基準+25%」も認定され、輸入車として初の「環境対応車普及促進税制(エコカー減税)」の適合車となった。これにより、自動車取得税と自動車重量税が100%減免となる
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エナジーフローディスプレイ】「減速時」回生ブレーキによりバッテリーへ充電中。
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【エナジーフローディスプレイ】「全開加速時」モーターのブースト機能で加速をサポートする。
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【エナジーフローディスプレイ】「エンジン走行時」モーターは停止中。
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グレード | S Hybrid(ハイブリッド) ロング |
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 5230x1870x1485mm |
車両重量[kg] | 2070kg |
総排気量[cc] | 3497cc |
【エンジン】最高出力[ps(kw)/rpm] | 279ps(205kW)/6000rpm |
【エンジン】最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 35.7kg-m(350N・m)/3000-5500rpm |
トランスミッション | 7G-TRONIC(電子制御7速AT) |
【ハイブリッド】電動機種類 | 交流同期電動機 |
【ハイブリッド】出力[ps(kw)] | 20ps(15kW) |
【ハイブリッド】トルク[kg-m(N・m)] | 16.3kg-m(160N・m) |
【ハイブリッド】蓄電池種類 | リチウムイオンバッテリー |
10・15モード燃焼[km/l] | 11.2km/L |
定員[人] | 5人 |
消費税込価格[万円] | 1405.0万円 |
発売日 | 2009年9月3日 |