メルセデス・ベンツのフラッグシップとなるSクラスは、50年以上にわたって世界中の自動車メーカーのクルマ作りをリードしてきたクルマだ。最善を徹底したクルマ作りはほかのメーカーを超越したレベルにあるといっても良い。新型車に切り替わったSクラスにはすでに北イタリア〜スイスで試乗したが、日本仕様車に改めて試乗した印象をレポートしたい。といってもクルマの基本部分では大きな変化はなく、今回の試乗は左ハンドル車だけだから、ヨーロッパでの試乗と大きな違いはないのだが、日本の道路交通環境の中で乗ることには一定以上の意味がある。
Sクラスはメルセデス・ベンツのフラッグシップらしくボディサイズも大きめだ。やや拡大しながらも全幅を1890mmに抑えているのは、大型ボディ車が多い昨今にあっては理性的な設定といえなくもない。
今回のモデルではプレ・セーフ、パフォーマンス・セーフ、パッシブ・セーフ、ポスト・セーフを統合したプロ・セーフという新しい安全思想を提言しているが、このあたりがSクラスらしさともいえる部分だ。
外観デザインはヨーロッパで見たときよりも日本で見た印象の方がより力強さが感じられた。面積を拡大したフロントグリル、従来のモデルに比べて彫りの深いボンネットフード、やや張り出した前後フェンダーなど、どれをとっても堂々としたイメージが表現されている。ヘッドライトの形状はややおとなしくなった感じもあるが、全体的な存在感の強さはSクラスならではといえる。