駆け抜ける道に語るべき車あり

 登場以来爆発的な受注数をたたき出しているプリウスに続いて、世界の自動車のベンチマーク、メルセデスベンツのニューEクラスが日本でもリリース。間もなく右ハンドル版も入ってきます。話題の新車は、最新の仕掛け、最新の技術が盛りだくさんです。ただ、なんだかとっても、疎外感を覚えるのです。クルマとして惹き付けるものが希薄なのです。
 今こそ、こういうクルマに魅力を感じます。見た目はどこまでも、特別待遇なしのBMW。しかし、この車のための「仕込み」は相当な入念なもの。バイエルンの誇り。気高いクルマ造りに触れたい。
BMW BMW M3 CSL 2004年式「8,216,250円」 エクステリア画像

※下記は7月10日現在のガリバー 中古車の在庫で、既に販売が終了している場合があることをご了承ください・・

'04年式 BMW M3 CSL「8,216,250円」

<究極の「1台」>

BMW BMW M3 CSL 2004年式「8,216,250円」 エクステリア画像

 クルマ好きの性でしょうか。けっこう好きな話題に「一台で全部済ませられる車」って何だろう、というのがあります。素な自分で振り返ると、まったくどうしようもないことなんですね。タイヤは4個ついています。でも用途が全く違う、千差万別。それが自動車というものです。だいたい、往々にして、いろんな用途に対応でき得るクルマは、中途半端なものです。ミニバンやセダンなのにスポーツサスを組んだりすると、街中での乗り味にぎくしゃく感が残ったり、しっくりこないものです。やはり餅は餅屋といったところなのでしょうか。
 ただ、M3は比較的「万能性」が高い次元で実現されていると言うことが可能なのではないでしょうか。 ベースは3シリーズ(ほとんどが専用設計なのですが)です。非の打ちどころのないハイバランスの傑作、この車はE46型の3シリーズ。最近のドイツ車の中でも基本設計のかなり高次元バランスを実現したクルマと言えるでしょうM3というグレードがあること自体、実は逆に「ベースにした3シリーズ、そんじょそこらのセダンではありませんから。なんせ格が違うんで!」という、ちょっと憎らしいドイツ人のプライドを顕示するためのグレードなのではないかと感じてしまいます。
 そんな46型のM3、ベースモデルからして、速くしっかりとした車で、ポルシェ911のライバルとの声が高かったものです。ポルシェ911は、そもそもスポーツカーであるというよりも、ポルシェの自動車造りの良心がなし得た最高の実用車である。ただし、いいクルマ、優れた設計がゆえ、高速走行に耐える。という出自が実状でしょう。
 性能だけを比較しても拮抗する二台ですが、そのうえで、使い勝手のいいボディ、実用車としてもなかなかM3を凌駕するクルマなかなかないのではないでしょうか。

BMW BMW M3 CSL 2004年式「8,216,250円」
ミッションはCSLではSMGのみ。2ペダルのシーケンシャルミッションのはしりです。
BMW BMW M3 CSL 2004年式「8,216,250円」
ホールドのよい専用のバケットシート。すべてははしるために造られたコックピット。はしるための工房といったところでしょうか。
BMW BMW M3 CSL 2004年式「8,216,250円」
CSLはカーボンパーツを使って軽量化しています。ルーフは車体の中で最も高い位置にある部位。そこを軽量化した見識の高さには頭が下がります。

そのうえで、「CSL」

これで「3シリーズだからトランクも広いんです」と言ってみたい!

 昔からCSは「クーペ、スポーツ」の頭文字をとったもので、さらにライトウエイトの「L」がつきます。BMWでも特別なクルマにだけ名乗ることが許される名前です。70年代にツーリングカーレースで大活躍した3.0CSL以降のライトウエイトな、特別なクルマにだけ許されたことを示しています。
 2003年夏に発表のこの車、価格はノーマルのM3より300万円ほど高価で、約110キロ、7%の軽量化を実現。これだけで言ってしまうとそれだけ?となってしまいかねませんが、軽量化するためにF1マシンを造っているBMWだけに、軽合金素材、カーボンファイバープラスチック、グラスファイバー強化プラスチックなどの最先端の軽量素材をふんだんに利用し、もともとかなり軽量設計されているM3からさらにシェイプアップ。全く見た目にはわかりにくいですが、専用の薄型軽量ガラスをウインドウに利用。空力と軽量化を両立させるべく用意された、リヤスポイラー一体型シートモールディングコンパウンド製専用デザイントランクリッド。専用のチューニングを施し標準M3+17馬力のこれ以上もうグーの音も出ない360馬力を達成。自然吸気エンジンとしては驚異のリッター111馬力を実現。・・・暇がない気合の注ぎようです。
 ベースは再三ながらFRの古典的ともいえるレイアウト。しかし、その可能性を極限までブラッシュアップしたのがこの車なのです。
 「クルマに新しさはいらない!昔ながらの定石を研ぐことで新しい車ができるのである。これでこそ本来のクルマの旨みがあるのである。」そう語っているようです。

そうはいっても「しっかりとお勤めさせていただきます」という謙虚さ

ぱっと見た感じは3シリーズ。控え目なデザインは万能選手にはむしろアドバンテージ。

 見た目には3シリーズなのが、かえって凄みを感じさせます。そして、日常性を担保します。ことさら感が薄いことも、この手の一台で済んでしまうクルマにとっては、むしろアドバンテージです。
 同時に、これはさらにクルマの完成度に対して、自らハードルを大きく上げていることに他ならないのであります。
 これに対しBMWは、このCSLのために(M3のための試験とは別に)耐熱耐寒テストと、計100万キロに及ぶ耐久テストをしたといいます。
 ちょっとした「ホットバージョン」と一緒にするのは気が引ける話です。
 そのうえで、例によって「ついでに」ニュルンブルクリンクでのテストラン、しっかりたたき出しています。何を?ってタイムです。ニュルンブルクリンクのノルドシュリーフェの約20キロのコースを8分を切るタイムで走破、当時のベストタイムを出しています。
 かなり羊の皮をかぶっている感じはありますが、相当高性能な乗用車であるということがわかります。目いっぱいパワーを絞りだして前に進む。軽量化されているので、カーブにブレーキングして自らポーンと飛び込むとずっと身軽に立ち上がる。立ち上がりの加速は、SMGで私が迷うよりもたちまちの間にさらにその先の道が呼ぶ・・・
 状況が許すのであれば、こういうクルマと暮らしてみたいと思うものです。ある意味において最強のクルマ。速やかに、軽やかに。それがCSL
 その他愛無いクルマ好きの話、一台で済ますとしたら・・・私は「M3 CSL」押すと思います!

車でなくクルマに乗りたいあなたへ。

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今ネットで最も注目される(自称)新進気鋭の自動車メディアサイト『CORISM』編集部。07年より日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員にも任命されるなど、着々とメディアとしてのパワーを拡大しつつあるのは確かだ。