ホンダ・ATR・島津製作所が共同開発したBMI(brain Machine Interface)技術で、頭で考えただけでASIMOが動く!

未来を先取りしたBMI技術

センサーとなる帽子をかぶって30本ほどの端子を接続するだけで外科手術で電極を埋め込む必要がない

 頭の中で考えるだけでロボットが考えた通りの動きをする。そんな未来を先取りした技術をホンダなどが発表した。
 発表したのはBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)と呼ばれる技術で、ホンダの研究開発子会社であるホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンと国際電機通信基礎技術研究所(ATR)、島津製作所の3社。被験者が頭の中で右手や左手などを思い浮かべたときの脳波や脳血流を解析し、右手なら右手のパターンを集積してイメージを判別し、それをアシモに伝えることでアシモが右手を動かすという。これを90%を超える高い正答率で実現したというからけっこう凄い。
 人間の脳の研究は世界中で進められていて、四肢に障害のある人がベッドに横たわりながら、頭の中で考えた通りにパソコンを操作するといった使われ方はすでに実現しているという。これは頭の中にセンサー(電極)を埋め込む形で実現しているが、ホンダなどが開発した新技術ではセンサーとなる帽子をかぶって30本ほどの端子を接続するだけで外科手術で電極を埋め込む必要がない方式だ。
 頭の中で右手と考えたとき、いつも同じように脳波や脳血流の動きが出るわけではなく、さまざまな形で測定されるわけだが、膨大なデータの中から右手を象徴するデータを蓄積し、それによってイメージ判別を進めるという。このあたりの技術開発が新しい部分である。

人間が超能力を持つような未来社会

BMI(brain Machine Interface)技術 実験風景

 ホンダとATRはこれまでにもさまざまな研究を進めており、2006年にはMRIという脳の断層写真を撮影する機械を使って人間の脳を分析し、ロボットにじゃんけんをさせることに成功している。これもBMI技術のひとつだったが、今回の発表ではそれがさらに進化したことになる。
 正直に言って、この研究は新しいBMI技術として一定の成果を得ているものの、これを何らかの形で実用化するとなると、まだ端緒についたばかりといっても良い。でもこの研究が進めば、両手に荷物をいっぱいに持った状態でクルマに近づいたとき、トランクを開けたいと頭の中で考えるだけでトランクが開くようになる。あるいは3台のアシモを家庭に置いて、それぞれに対して掃除、選択、料理などを念じることで、3台のアシモが別々の作業をしてくれるなんて使い方が見えてくる。
 もちろん、それが可能になるのははるかに先のことだが、実現すれば人間が超能力を持つようなそんな未来社会が描けてくる。研究開発がどんな速度でどこまで進むか大いに注目したい。頭の中で考えるだけで、相手に意志が伝わるようなテレパシーのようなことまで実現するかも知れない。

専用の帽子を被りセンサーを接続する。

written by 松下 宏

偶然にも!?「トヨタ」も研究を進めていたBMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)技術の話題はコチラ!!

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【ニュース】 (2009.07.02)

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