総合評価
BMW M3 クーペ 走り 日産 GT-R 走り
BMW M3 クーペ
日産 GT-R
松下宏

標準車をベースに高いパフォーマンスをもつクルマを作るという手法は、今ではほかの多くのメーカーが採用するようになった。その象徴ともいえるM3はBMWのラインナップの中でも独特の存在意義を持つモデルである。GT-Rとは違う価値観を持つクルマとして、M3を選択肢とするユーザーがたくさんいることも理解できる。

これだけ高いパフォーマンスをもつクルマを日本の自動車メーカーが作れるようになり、なおかつそれを際立って安い価格で提供できるのは凄い。日産のもつ総合力の表れといえる。ただ、逆に言えばポルシェやフェラーリ並みの価格で売れるだけのブランド力がまだないわけで、これは日本人としては悔しいことだ。

片岡英明

ハイパフォーマンスカーの優等生だ。高度にチューニングされたV8エンジンは高回転まで気持ちよく回り、加速も冴えている。最新のデュアルクラッチトランスミッションも完成度が高い。フットワークも軽快だ。洗練されたハンドリングに加え、乗り心地もいい。だが、往年のM3を知る者にとっては刺激性が足りない、と映るかも。

走りの実力の高さが分かりやすいハイパフォーマンスカーだ。アクセルを踏めば胸のすく加速を味わえる。フットワークも軽快。しかもコントローラブルだ。タイムを削り取る、速い走りを誰にでも引き出すことができる。雨が降っていても安全に速く走れるのが強みだ。ただし、日常の使い勝手は今一歩にとどまる。奥深い味わいも希薄だ。

国沢光宏

車両価格と性能のバランスという点からすればGT-Rに届かない。けれどフルに性能を引き出さなくても……、例えば先行車がいない"普通のコーナー"や、高速道路の料金所を通過した後の短いダッシュでもM3の楽しさは存分に味わえる。何よりも上質な乗り心地やクルマ全体から出てくる雰囲気などが魅力です。

サーキットを全開で走ったときの楽しさや速さと来たら、こらもうオーバー2000万円のスーパーカーさえ凌ぐ。ただ乗り心地やクルマの質感という点で厳しい。「猛烈に速く走るための道具」というイメージなのだ。速さだけじゃ飽きる。これに「ゆっくり走っていても楽しい」という趣味性が加われば鬼に金棒だと思う。

TOTAL
127点
トロフィー 129点