三菱 パジェロ ディーゼル 走り

達人「松下 宏」が斬る!

三菱 パジェロ ディーゼル 評価

松下 宏

職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...

やっぱり・・・ディーゼル特有の振動と騒音が気になる!

三菱 パジェロ ディーゼル フロントマスク

 日産のエクストレイルに続いてパジェロにもディーゼル車が設定された。石原都知事が煤でいっぱいのペットボトルを振ってから、日本では死滅した形になっていた乗用車用のディーゼルが、SUVをキッカケに復活を始めることになった。
 ただ、パジェロのディーゼルは新長期規制に対応したもの。エクストレイルが一歩進んだポスト新長期規制にも対応したものにしているのに比べると、やや見劣りするきらいがあるのは否めない。
 日本の規制では、8万km走った後での排気ガスの数値を規制しているため、今回のパジェロもポスト新長期への対応になっていないものの、発売される時点ではポスト新長期の性能は達成しているとのこと。8万km対応の確認が取れていないので単なる新長期対応になったとのことだった。
 エクストレイルのディーゼル車にはまだ試乗していないので比較は語れないが、パジェロに試乗した印象はいかにもSUVというものだった。走り出すとすぐに感じられたのがディーゼル車ならではの振動・騒音で、これがかなり大きかった。
 日本ではベンツのCDIだけだが、ヨーロッパではさまざまなクルマにディーゼルエンジンが搭載されている。そうしたヨーロッパのセダン系ディーゼルにもいろいろ乗った経験からいえば、パジェロのディーゼルの振動・騒音レベルは相当に高く、乗用車のレベルではない。SUVだから許されるレベルのものといえる。
 かつてパジェロに搭載していたディーゼルエンジンに比べたら、振動も騒音も一定以上に改善が図られているとのことだが、振動や騒音などは低ければ低いほど良いので、まだまだ改善の余地がある。
 高速道路を時速80km/hでクルージングするようなシーンでは、振動や騒音もあまり気にならないが、高速でも時速80km/hからアクセルを踏み込んで追い越し加速を得ようとするシーンでは振動・騒音が高まるし、市街地などの中低速域でも振動や騒音が伝わる。
 3.2Lの大排気量で4気筒エンジンであることが振動や騒音のレベルの高さにつながっている面もあるが、さらに振動や騒音の低下を望みたい。
 アクセルレスポンスも踏み込んだ瞬間に一瞬のラグがある感じで、走り出しがいかにもディーゼル車という印象。このあたりもさらに改善が必要だと思う。

三菱 パジェロ ディーゼル フロント
フロントグリルやホイールのデザインが変更され、より高級感が増している。いかにもSUVらしい存在感の高さがとても印象的だ。
三菱 パジェロ ディーゼル リヤ
背面スペアタイヤなど、パジェロらしさは受け継がれている。オーバーハングも切り詰められ、悪路での走破性を重視したデザインだ。
三菱 パジェロ ディーゼル フロントマスク
新デザインのフロントグリルは質感も高く、SUVらしい堂々とした風格を感じさせる。大きなヘッドランプも存在感が高く好印象だ。
三菱 パジェロ ディーゼル リヤビュー
背面スペアタイヤは、いかにもSUVらしいもの。リヤフォグランプを埋め込むなど、デザイン性と実用性をうまくバランスさせている。
三菱 パジェロ ディーゼル リヤコンビランプ
クリアタイプのリヤコンビランプは、スポーティで洗練された雰囲気だ。フラッグシップSUVにふさわしい高級感も兼ね備えている。
三菱 パジェロ ディーゼル フロントアンダーガード
前後バンパーの下部には、悪路走破時に下回りを保護するアンダーガードが装着されている。牽引フックにもカバーが付くのはさすがだ。
三菱 パジェロ ディーゼル フロント

年1万km以上走れば元が取れる!実は買い得なパジェロ ディーゼル

三菱 パジェロ ディーゼル

 不満点ばかりを述べてきたが、パジェロのディーゼルにもそれなりの存在意義がある。エクストレイルでは5速MT車しか設定されておらず、日本でどれだけ売る気があるのか分からない面があるのに対し、パジェロのディーゼルはスポーツモード付き5速AT車だけの設定だ。
 エクストレイルとはクラスも違うので実際にどちらがたくさん売れるか分からないが、パジェロのほうが売る気が感じられる。
 かつてパジェロにディーゼル車がラインナップされていた時代には、8割くらいをディーゼルが占めていた。それを考えると今でも多くのパジェロユーザーがディーゼル車を求めているはずで、そのニーズに対応するのが今回のディーゼルである。
 結果的にディーゼル車が売れれば売れた分だけ、ガソリンのパジェロが売れるのに比べればC02の発生量が減り、社会的な正義にもかなうことになる。
 新世代のディーゼルエンジンとしてはまだまだ不満な部分が残るが、それでも一定の存在意義を持つのがパジェロのディーゼルといえる。北海道など、従来からディーゼル車に対するニーズの高かった地域では、ディーゼルを選択するユーザーも確実にいると思う。
 ガソリン車との価格差は、3.8L車とのスーパーエクシード同士の比較ではわずか15万円ほど。燃費と燃料代との違いから年間1万kmの走行でディーゼルが5万円くらい有利になるから、元を取るのはそう難しくない。ただ、3.0L車とのエクシード同士の比較では価格差は36万円ほどになって取り戻すのが簡単ではなくなる。このあたりが売れ行きにどう影響するかがポイントだ。

三菱 パジェロ ディーゼル インテリア
インテリアデザインは実用性を重視しつつも、高級感をプラスしている。一部グレードには本木目&本革巻きステアリングが装備される。
三菱 パジェロ ディーゼル フロントシート
フロントシートは、悪路走行時でもしっかりと体を支えてくれる。大型のセンターコンソールボックスなど、収納類も充実している。
三菱 パジェロ ディーゼル セカンドシート
セカンドシートのスペースは頭上、足元ともに余裕たっぷり。人数分の3点式シートベルトとヘッドレストはきちんと装着されている。
三菱 パジェロ ディーゼル サードシート
サードシートはお世辞にも広いとはいえず、クッションの厚みも少ない。あくまでも緊急用のスペースとして割り切るべきだろう。
三菱 パジェロ ディーゼル メーター
2眼式メーターは文字盤も大きく見やすい。インパネ中央の上部には、平均燃費や方角などを表示するディスプレーが設置されている。
三菱 パジェロ ディーゼル シフトレバー
新型パジェロのミッションは、マニュアルモード付きの5速ATを採用。ガソリン仕様では5速MTが選択可能なグレードも設定されている。
三菱 パジェロ ディーゼル ラゲッジ
フル乗車時のラゲッジスペースは決して広いとはいえない。だが、通用の使用状況であれば、全く不満のないスペースは確保されている。
三菱 パジェロ ディーゼル ラゲッジ
セカンド&サードシートを収納すれば、このように広いスペースが現われる。フロアもフラットで、大きな荷物も余裕で積み込むことができる。
三菱 パジェロ ディーゼル AC100V電源
ラゲッジにはAC100Vの電源も用意されている。100Wまでの電気機器を使用可能なので、アウトドアレジャーでも便利な装備といえる。
三菱 パジェロ ディーゼル 17インチタイヤ
ベーシックなGRと売れ筋のエクシード(写真)は17インチ、最上級モデルのスーパーエクシードは18インチのタイヤが装着される。
三菱 パジェロ ディーゼル 3.2リッターターボディーゼルエンジン
ディーセルらしい太いトルクは、いかにもSUVらしい味付け。燃費もよく、ガソリン車との価格差は年間1万km以上走れは逆転する計算だ。
三菱 パジェロ ディーゼル 3.2リッターターボディーゼルエンジン
コモンレール燃料噴射、システムNOxトラップ触媒、DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)を採用し、環境にも配慮している。
三菱 パジェロ ディーゼル 走り
三菱 パジェロ ディーゼル 走り
三菱 パジェロ ディーゼル 走り
三菱 パジェロ ディーゼル 走り
三菱 パジェロ ディーゼル 走り
三菱 パジェロ ディーゼル 走り
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written by 松下 宏

代表グレード
三菱 パジェロ ロング エクシード(ディーゼル車)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4900×1875×1870mm
車両重量[kg]
2260kg
総排気量[cc]
3200cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
170ps(125kw)/3800rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
37.8kg-m(370N・m)/2000rpm
ミッション
5速AT
10・15モード燃焼[km/l]
9.8km/l
定員[人]
7人
税込価格[万円]
394.8万円
発売日
2008/10/1
レポート
松下 宏
写真
和田 清志