レガシィ B4「2.0GT アイサイト」 画像

アクセル踏み間違え事故も抑止

 レガシィのマイナーチェンジに伴い、アイサイト(EyeSight)と呼ばれる安全装備が追加された。アイサイトとは、バックミラー左右に装備されたふたつのカメラからの画像情報を3D画像処理エンジンで3次元情報化。その情報を元に、現実の交通状況を認知し追突軽減を目的とするプリクラッシュブレーキや前車追従型のクルーズコントロール、車線逸脱&ふらつき警報、AT誤発進抑制などの制御を行う。

 このアイサイトの機能を実際に試す機会をもらった。コース上にダンボールのような障害物を置き、40キロ程度のスピードで突っ込むというものだ。まずは、メーター内にある警告灯が「BRAKE!」と光り同時に警告音が鳴る。その後、自動制御で軽いブレーキ。そこからさらに突っ込んでいくと、もうダメぇーって瞬間に強烈な自動ブレーキがかかるのだ。そこで、一瞬、ブレーキが緩められ前方の障害物に軽くぶつかる。15キロ未満での制御を実現したのは世界初だそうだ。ぶつかっても何の問題のない障害物とはいえ、衝突の瞬間はウヘェーっ気分で心臓はバクバクであった。

 さてお次は、AT誤発進抑制制御。こちらは、輪留めのある駐車場にクルマを前から入れた状態。フロントタイヤに輪留めがあたっている。その前方に障害物を設置。この状態で、アクセル全開! ところが、エンジンの回転はぜんぜん上がらず輪留めを超えない程度の力しか出ない。輪留めがない場合は、ゆるゆると進む程度だという。確かにこれなら、前方に障害物がある場合、急発進はしない。お年寄りに多いアクセルとブレーキの踏み間違えによる誤操作事故を十分に抑止する効果があると感じた。素晴しい。この技術を約20万円程度のUPで装着できるようにしたスバルの技術陣はさすがである。

レガシィ B4「2.0GT アイサイト」 画像 インテリア
レガシィ B4「2.0GT アイサイト」 画像 インテリア
レガシィ B4「2.0GT アイサイト」 画像 インテリア インストルメントパネル メーター

 

安全装備?自動運転?

 ひと通り体感した後、大きな疑問が・・・。どちらのケースもすぐ止まれるようなスピードで「とりあえず、ぶつけている」のである。技術者に聞いたところ、衝突せずにとめることは十分可能なのだそうだ。じゃぁ、なんであえて衝突させるのか? ここからが頭が痛くなるのだが、国土交通省の指導で自動運転は認められていないこと。また、自動運転ではなくても、ドライバーの過信させるような機能であってはいけないということで、色々規制されているのだそうだ。ドライバーの過信というのは、自動で停車できるなら自分でブレーキかけなくてもいい、と思い実際にアイサイトだけに頼り停車する行為をいう。つまり、こういうケースになるとアイサイトはもしもの安全装備ではなく、自動運転ってことにもなるのかもしれない。

 とはいえ、衝突しないことが、すべての人にとって一番幸せなことだとボクは思うだけに釈然としない。ただ、特殊な使い方をするユーザーが実際にいて、もしも何かしらの理由によりアイサイトが機能しなかった場合、重大な事故につながる。そう考えるのであれば、納得するしかない。悲しいが、これが現実的な判断なのだろう。

レガシィ B4「2.0GT アイサイト」 画像 エクステリア リヤ
レガシィ B4「2.0GT アイサイト」 画像 エクステリア サイド
レガシィ B4「2.0GT アイサイト」 画像 エクステリア サイド

 

クルマ選びは安全装備に厳しく!

 スバルだけでなく、安全と環境という2大テーマはどの自動車メーカーにとっても、とても重要。それだけに、こういった安全装備はどんどんと標準装備化を進めてもらいたい。レガシィに関しても、せめてアイサイトをオプション装備ができるグレードを増やして欲しいと思う。

 クルマ選びと家電選びの大きく違うポイントは、常に事故のリスクを背負いクルマに命を預けているということだ。そして、我々ユーザーも快適装備だけに目を向けずに積極的に安全装備の充実したクルマを選ぶべきだと思う。そうすることで、こういった装備はどんどん価格が下がる。クルマはもっともっと安全で楽しい乗り物になる可能性を秘めている。クルマの安全技術は、人間のミスを機械が補い誰も不幸にしないことだと思うのだ。

 アイサイトという優れた安全装備を開発したスバルではあるが、他の軽自動車メーカー同様一部の軽自動車の廉価版グレードには、なんとABSがオプションだったりする。そういう意味では、まだまだ安全装備に対する背骨は真直ぐではないだろう。我々ユーザーが安全装備を厳しい眼で見ることで、こういった考え方が変わってくることも望みたいと思う。

レガシィ アウトバック「2.5XT アイサイト」 画像 エクステリア サイド
レガシィ アウトバック「2.5XT アイサイト」 画像 エクステリア リヤ
レガシィ アウトバック「2.5XT アイサイト」 画像 エクステリア フロント
[メーカー希望小売価格(消費税込み)]
レガシィ B4 3.0R アイサイト
337.05万円
レガシィ B4 2.0GT アイサイト
331.8万円
レガシィ ツーリングワゴン 3.0R アイサイト
352.275万円
レガシィ ツーリングワゴン 2.0GT アイサイト
347.025万円
レガシィ アウトバック 3.0R アイサイト
352.275万円
レガシィ アウトバック 2.5XT アイサイト
368.025万円
代表グレード
レガシィ B4 2.0GT アイサイト
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4635×1730×1425mm
車両重量[kg]
1460kg
総排気量[cc]
1994cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
260ps(191kw)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
35.0kg-m(343N・m)/2000rpm
ミッション
E-5AT
10・15モード燃焼[km/l]
13.0km/l
定員[人]
5人
達人プロフィール: 大岡 智彦
職業:コリズム編集長
自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
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