今回の試乗は富士山の裾野にあるスタックランドと呼ばれるオフロードコース&一般道を走った。スタックランドのオフロードコースは国内でも屈指の難コースで、今回は試乗日の前に2日ほど連続して大雨が降ったため、全体にぬかるんでいる上に、部分的には大きな水溜まりができるなど、チェロキーにとっては絶好の悪条件下での試乗となった。
セレクトラックIIのモードを4WDローに設定し、ATレバーもLレンジを選択して走り出すとすぐに、チェロキーの実力の高さが分かった。雨に塗れた岩が露出した路面はとても走りやすいとはいえないが、それを何なくこなしていくのだ。しかも試乗車に装着されているタイヤはオフロード専用のものではなく、オンロードとオフロードの両方を走ることを前提にしたマッド&スノー。グッドイヤーのイーグルRS-Aなのだ。
急な下り坂では新機構のヒルデセントコントロールがしっかり仕事をしてくれる。坂を下り始める瞬間は一瞬だけズリッという感じで滑るが、すぐに制御が始まってじわっじわっという感じで少しずつ急坂を下っていく。ほかの上級オフロード4WDでは採用が広がっている機構だが、チェロキーでは初の採用だ。同様に上り坂の途中で停止したときにブレーキペダルから足を話した後も2秒程度ブレーキ圧を保持するヒルスタートアシストも上々の効き具合だった。
一般道での試乗も試したが、こちらはなかなか快適なもの。改良が加えられた3.7LのSOHCエンジンは吹き上がりも軽快でオンロードでの快適な走りを保証してくれる。時速100kmでクルージングするときにはエンジン回転数が1700回転ほどに抑えられるので、静かな走りが可能。今どき4速ATというのはスペック的に物足りないイメージもあるが、実際に走らせるとこれで十分という印象になる。最小回転半径が5.5mに抑えられていて、取り回しの面でも良くできている。
●お勧めグレード
チェロキーは単一グレードで450万円弱の価格が設定されている。表面的な価格は従来のモデルに比べて60万円くらい高くなったものの、カーナビなどの快適装備を始め、SUVに必須の最新の機能装備、充実した安全装備などを標準で備えたモデルとしては、それなりにリーズナブルな価格設定といえるだろう。
オンロードを走るユーザーがファッションで乗るのはどうかと思うが、ときにはオフロードにクルマを持ち出すことのあるユーザーには絶好の1台ともいえる存在だ。