新型アルファード/ヴェルファイアのカタログを見ると思わずウなる! けっこうなオネダンなのだ。2.4リッター4気筒エンジン搭載の一番安価な『240X』で300万円! 姿勢制御装置S-VSCやサイドエアバッグ、HIDライトなどが標準装備されるものの、オーディオは無し。
HDDナビとオーディオ付けると、それだけで45万1500円高くなってしまう。また、新型アルファード/ヴェルファイアのセールスポイントになっている『エグゼクティブパワーシート』が欲しいとなれば、416万円以上のグレードじゃないとダメ(これまたオーディオはオプション)。
つまり最も安いグレードでさえ諸費用込み400万円。少し豪華なモデルを買おうとすれば、軽く500万円超という感じ。こんなクルマを月販6千台(2台の合計、発売後数ヶ月は倍程度売れると考えているそうな)売るという目論見を立てているのだからトヨタって凄い!
となると気になるのが、価格に見合った内容を持っているかという点。結論から書くと「人によって評価は大きく変わると思う」であります。コストパフォーマンスを重視する実用品だったなら、要求される性能は「なるべく高い平均点を取る」というもの。80点主義も通用する。
しかし嗜好性の強い高額商品になると、平均点より満足度が重要。好例はブランド時計。時を刻む精度や機能を持っていてもダメ。趣味性を追求しないといけません。といった観点で新型アルファード/ヴェルファイアを見ると、明らかに前者。
例えば走り。先代モデルのハンドリングも高い評価を受けていたが、重心を低くした新型になって一段と安定感を増した。加えてショックアブソーバーの品質を向上させたのだろう。ワインディングロードをハイペースで走っても全く不安無し!
エンジンの改良や無段変速CVT(従来型は4速AT) の採用で、大幅な重量増となったにも関わらず、動力性能、燃費共に改善されている。従来型と乗り比べると、動力性能、ハンドリング、乗り心地、静かさ・・・・・・全て良くなった。
インテリアの質感や、オーディオ類、そして国際線のビジネスクラスのシートをベンチマークとしたエグゼクティブパワーシートの仕上がりだって抜群! お気に入りの映画など見ながら移動すれば、4〜5時間のロングドライブだってあっという間だ。
それなら100%満足か? と聞かれたなら「微妙ですね」と答えておく。リアシートに乗っていると、荒れた路面での乗り心地がイマイチ。特にシート座面の形状良くない3列目シートは厳しい。高価な純正オーディオも普通の人なら大満足レベルながら、コダワリを持つ人だと物足りない。
趣味の領域に入ってくると、全て「もう少し頑張れば良かったのに」レベルなのだ。ま、私の場合、500万円を「けっこうな高額」だと考えるから要求レベルが高くなるのかもしれぬ。500万円を実用車の範疇として考える人なら、全く文句のないミニバンだと思う。いずれにしろ気になる人はぜひとも試乗して頂きたい。