運転に一番必要なモノってなんだろう。そんなことは、今更言われるまでもない。なにを差し置いても「安全な運転」であることだ。じゃあ安全な運転、実践してる?と問われて、あなたはどう答えるだろうか。「無謀な運転をしない」、「乗員全員がシートベルトをする」、「飲酒運転をしない」・・・いやいや、そんなことは基本中の基本、運転の大前提。「だって最終的にはエアバッグが、ABSが、VSCが、安全ボディが守ってくれるから」。
でもその安全装備を生かすも殺すも、最終的に委ねられているのはドライバー、あなたのドライビング次第。「無謀な運転をしない」って今言ったばかりじゃん。ゆっくり走るのが一番だよ。
とはいえ・・・、ともうひとりの自分が考える。無謀というワケじゃないけれど、スポーティな走りを堪能することはクルマ好きにとって他に代えがたい楽しさ。「やっぱりクルマの運転も楽しみたい!」
んじゃあ安全は「楽しさ」の反対語なんだろうか。『そんなことはない!』と主張するのがドイツ・BMWだ。
今から32年前、世界で始めての本格的な体験型セーフティ・ドライビング・スクールとしてドイツで開校した「BMWドライバー・トレーニング」。安全の理論を理解し、危険な状況を実際に体験することで、よりドライブする楽しさを深く知ることが出来るというのがBMWの主張なのだ。いかにも「Freude am Fahren」(ドイツ語で「駆け抜ける歓び」)を標榜するBMWらしい。
このBMWドライバー・トレーニング、世界の警察やシークレットサービスなどが採用するほど確かなものとして高く評価されている。そして本国ドイツに次いで2番目に出来たのがこの日本だ。1989年より始まった日本版BMWドライバー・トレーニングでも、既に11,000人ものドライバーが参加していて、毎年募集と同時に予約が埋まってしまうほどの人気のレッスンとなっている。
そんな老舗ドライビングスクールからCORISM編集部へ、1通の招待状が届いた。「レッスン、受けてみませんか!?」。安全運転の極意を体験出来る、またとない機会。編集部の竹本が参加することになった!
竹本が受けたのはエントリープログラムの「Compact」コース。とはいえ、初心者から上級者まで楽しむことが出来る本格的な内容だ。トレーニングカーはBMWの最新モデル、323iセダンと130i Mスポーツ! BMWの象徴、パワフルな直列6気筒+後輪駆動のダイレクトな走りを堪能しつつ運転スキルを学べるなんて、なんと幸せな体験だろう!
座学の講師はCORISMでもお馴染みドライバー・トレーニングの第一人者、達人「こもだ きよし」先生。よろしく御願いします!
トレーニングはまず基礎中の基礎、ドライビングポジションの位置決めとステアリング操作のレクチャーから始まる。えーそんなの出来てるよーと言うなかれ。ここで多くの参加者が打ちのめされるのだから。腰を深く腰掛け、フットレストで左足を踏ん張って膝に余裕がある状態にシートを前後調整し、さらに上下調整、背もたれ角度調整を行い、最後にヘッドレストの中央を頭の中心位置に合わせる。さらにステアリングの上下前後調整をして。はい、ちゃんと出来てますか?
『それでは竹本サン、最後は何ですか』え、え!?『はい、最後にシートベルトをするんですね』そ、そうでした、こもだ先生。骨盤にしっかりかかっている状態であることを確認し、ミラー類を調整。乗員全員のベルト装着も確認し、ここでようやくエンジンをON! そうそう、座った瞬間即座にエンジンをかけるヒトは猛省するように。ろくにシートも合わない前から動き出してしまう可能性もあって危険だし、そもそもエコじゃない!
さて、基礎レッスンで理論を教わったらいよいよテストコースに出て、ドライバー・トレーニング開始! ここではABSが作動するほどの急ブレーキと障害物の回避、定常円での旋回におけるアクセルとステアリングの操作、そして助手席の乗員が気付かないくらいスムーズな加減速とステアリング操作を行うスムーズドライブの実践を行う。
しかしこれが結構ハード、しかしとっても楽しい!! 最初は失敗して、でもその理由が明確だから次はちゃんと考えてちゃんと実践出来る。危険を回避する方法を知らず知らずに学ぶことが出来てくる。
じっくりと練習を重ねるだけど、えーもう終わりですか!っていうくらい、トレーニングはあっという間に終了したのでした。なるほど、リピーター率も高いというのが良く分かる。
さて、無事終わると頂ける終了証とともに手にするのが、なんとトレーニングの様子を克明に記録したDVD映像。車内外に設置された映像とともに、個人ごとに練習風景を撮影しているのだ。その時限りではなく、繰り返し反復して練習出来るのがウレシイ! これ、家宝にします・・・
ガリバー店舗での職務経験が長く、様々なクルマに乗る機会にも恵まれたので、それなりに運転は出来ている自信はありました。しかしそれがいかに自己流だったか、ここで嫌というほど思い知らされましたね。そして、漫然と行っていたドライビングポジション決めやステアリング操作が、いかに安全ドライブに重要かということも改めて実感。そうそう、エンジンかけるのは乗員全員がシートベルトして安全確認をしてから。これは絶対に忘れないようにしないと。ね、こもだサン(笑)。