ライター紹介

221616 編集部

世の中の自動車ニュースとは一味違う視点でスローニュースを発信。編集部員はクルマ初心者からクルマをこよなく愛するマニアまで幅広いメンバーで構成。全国のガリバーで売れている中古車や車のスタッフレポートなど、生の情報をお届け中。

スタイリッシュなエクステリアデザインでスポーツカーらしさを演出

 ロータリーの伝統を守るべく、2003年に登場したのがマツダのRX-8。一時は存亡の危機に瀕していたロータリーエンジンを見事、アップデートさせて搭載したのは、じつにうれしかったものである。しかし、それまでのRX-7に慣れてしまった体には、どうにも満足できない部分があったのも確か。実用性をある程度確保したからか、それとも環境性能にこだわったからか、ロータリースポーツならではの痛快さに欠けていた。
 しかし、この度のマイナーチェンジを受けて、RX-8はまさに生まれ変わったといっていい。具体的な変更点は、まずは内外装のデザインを変更。さらにエンジンについては新型ウォーターポンプやオイルポンプの採用により、基本性能から見直し。ミッションのギア比変更も併せて行なうことで、低中速を中心とした常用域での加速性能をアップしている点に注目だ。さらに専用エアロやビルシュタインなどを装着したタイプRSを新たに追加するなどスポーティさの強調に力が入れられている。

マツダ RX-8 リヤ

マツダ RX-8 フロント

今回のマイナーチェンジでよりスポーティなルックスに生まれ変わったRX-8。アクセントのメッキパーツで質感もグッと向上している。

マツダ RX-8 リヤ

リヤバンパーの形状も変更された。マイナーチェンジ前のモデルにはあったローターのモチーフがなくなったが、大人っぽい雰囲気で好印象。

マツダ RX-8 19インチホイール

タイプRSには標準で19インチのタイヤ&ホイールが装着される。荒れた路面ではやや硬さを感じるが、RX-8らしいハンドリングが楽しめる。

マツダ RX-8 フロントマスク

ライトの形状が変更され、よりスポーティな印象に生まれ変わった。全体の質感も高まり、大人のためのスポーツモデルといった雰囲気だ

マツダ RX-8 リヤコンビランプ

LEDタイプのブレーキランプを採用する。視認性の向上はもちろん、見た目の品質感も大幅に向上しているのにも注目したいポイントだ。

マツダ RX-8 エンジン

基本特性を見直すことで、低速域のトルクや回転フィールも改善された。もちろん高回転域までストレスなく一気に吹ける爽快感は健在だ。

エンジンも足まわりもロータリースポーツにふさわしい硬派な味付けに!

 ただ、こうやって文字にすると、肝心の走りについては小変更止まりかと思うかもしれないが、じつはそんなことはなし。とにかく低回転から力が出ていて、パンチは相当なものだ。以前は低速ではかなりガクガクして気を使わなくてはならなかったのが、すっかりと解消されているのでストレスはなし。レッドゾーンまで、全域で気持ちよく吹け、ロータリーのうま味を存分に味わうことができる。これだけでも気持ちいいのに、加えて排気音がメチャクチャ気持ちいい。乾いたレーシングサウンドが室内に鳴り響くという表現がピッタリとくるほどで、エンジンフィールとの一体感は理屈抜きに最高だ。チューニングカーに乗っているのではないかというほど、完成度は高いし、レベルはグンと上がった。
 そして足回りの熟成についても、その進化のほどがはっきりと体感できる。中庸な味付けだったのが、懐は深くなりつつも、しっかりと受け止めてくれるようになり、よりハッキリとキャラが立ったセッティングになった。ボディ剛性のアップも実施したというが、それも効いているのであろう。
 足回りも19インチでは、荒い路面を走ったりすると硬い感じがするのは確かだが、RX-8らしさの演出という点ではこれぐらいのほうがちょうどいい。ガツンと男っぷりを上げることこそが、今回のマイナーチェンジの命題であるなら、硬めが一番。吹けるエンジン、吠える排気音。そしてガッチリと受け止めるサスペンションと、今までのようなボンヤリぼやけたRX-8像はそこにはなし。これこそが本来のマツダのロータリースポーツに求めていた味付けだったのだ……、と目を覚まされるほどの官能的な走りだった。

マツダ RX-8 インテリア

インテリアのデザインもナビ&オーディオまわりを中心に変更されている。ピアノブラックのインパネは表面の質感も高くとても印象的だ。

マツダ RX-8 メーター

タコメーターを中心としたレイアウトはスポーツカーそのものといったところ。デジタル式のスピードメーターの視認性も悪くはない。

マツダ RX-8 6速MT

ミッションのギア比が変更され、常用域での加速性能も高められた。ストロークの節度感も良好で、リズムのいいドライビングが楽しめる。

マツダ RX-8 セカンドシート

レカロ製のフロントシートは横方向のサポートもしっかりしており、スポーツ走行でもホールド感は抜群。赤いステッチがとても印象的だ。

後席のスペースは決して広いとはいえないが、RX-8独自の観音開き式のドアを採用しているため、乗り降りは想像よりも容易に行なえる。

マツダ RX-8 ラゲッジ

ラゲッジはタイヤハウスの張り出しや段差が少し気になる。容量自体も決して広くはないが、日常ユースでそれほど困ることはないはずだ。

代表グレード タイプRS
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4470×1770×1340mm
車両重量[kg] 1350kg
総排気量[cc] 654×2cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 235ps(173kw)/8200rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 22.0kg-m(216N・m)/5500rpm
ミッション 6速MT
10・15モード燃焼[km/l] 9.4km/l
定員[人] 4人
税込価格[万円] 315.0万円
レポート 近藤あきふみ
写真 佐藤靖彦