トヨタ クラウン アスリート 走り
トヨタ クラウン アスリート 3.5リッターエンジン

アスリートは3.5L(写真)と2.5L、ロイヤルは3Lと2.5Lエンジンを搭載するのは従来通り。滑らかな回転フィールや高い静粛性、そして優れた環境性能を実現している。3.5Lのパワー感はさすがだが、2.5Lでもクラウンにふさわしい余裕のある走りを味わえる。

トヨタ クラウン アスリート 18インチホイール

トヨタ クラウン ロイヤル 17インチホイール

アスリートは力強いイメージの8本スポークホイールを装着。いっぽうのロイヤルは17インチにサイズアップされたが、静粛性の高さや快適な乗り心地はクラウンにふさわしいもの。

トヨタ クラウン アスリート 走り

アスリートは高い快適性に加えて、ダイレクトなハンドリングを実現している。ロイヤルは乗り心地を重視しつつもしっかり感のあるハンドリングが魅力だ。

トヨタ クラウン アスリート 走り

トヨタ クラウン アスリート 走り

トヨタ クラウン アスリート 走り

トヨタ クラウン アスリート 走り

スタイル インテリア 走り&メカニズム

豪快な走りが魅力のアスリート

トヨタ クラウン アスリート 走り

 ロイヤル系には2.5Lと3.0Lの、またアスリート系には2.5Lと3.5Lの、いずれも直噴仕様のV型6気筒DOHCエンジンが搭載されている。搭載エンジンは従来のモデルと基本的に共通で、全車に電子制御6速のスーパーECTが組み合わされている。従来は一部に5速ATの仕様もあったが今回のモデルでは全車6速ATになった。
 トップグレードともいえる3.5アスリートは、実に豪快な走りを実現する。レクサス系のモデル用に開発された直噴とポート噴射を組み合わせた3.5Lエンジンは、馬力換算すれば315psに達する232kWのパワーを発生しており、アクセルの踏み込みに応じて強烈な加速フィールが味わえる。このモデルに関しては超高速域での走りも可能であり、国内向けの専用モデルといった感じではない。
 アスリート系は18インチの45タイヤが装着されるほか、可変ギアレシオのステアリング(VGRS)も採用されており、シャシー系を中心にロイヤル系との違いがある。サスペンションを含めてやや硬めで安定感の高い乗り心地を実現すると同時に、シャープな切れ味とダイレクト感のあるステアリングとしている。
 さらにセンターコンソールに設けられたスポーツスイッチを押すと、エンジンの吹き上がり、ATの変速フィール、ショックアブソーバーの減衰力、ステアリングのギア比などがいずれもスポーティな味付けに変更され、より走りを楽しむ仕様に変わる。ノーマルモードとスポーツモードはそれなりにメリハリの効いたフィールだ。
 アスリート系のサスペンションは従来から硬めの味付けがなされていたが、今回は全体的に乗り心地を改善しながらも、モードの切り換え機構を採用することでスポーティさも持つものになった。

疲労を低減する新しい試みでさらに快適性がアップ!

トヨタ クラウン アスリート 走り

 3.0ロイヤルサルーンGは、これこそクラウンといった感じのグレード。最近ではアスリート系のモデルの販売比率が高まっているが、それでもまだ多いのはロイヤル系であり、中でもロイヤルサルーンGが良く売れている。
 ロイヤル系はタイヤサイズが17インチになるほか、アスリート系に装備されるVGRSは装備されず、標準の電動パワーステアリングとなる点などが相違点。それ以上に大きく異なるのがエンジンで、256ps(188kW)/32.0kg-m(314N・m)のパワー&トルクだから、3.5アスリートとは大きく異なるが、それでも256ps(188kW)からのパワーがあれば十分という感じ。市街地などでの日常域では快適そのものの走りを示し、高速クルージングでの静粛性や快適性も高いレベルにある。静かで快適なクルマ作りは歴代のクラウンが徹底してきたことだ。
 快適性に関しては今回、疲労の少ないクルマを目指したという。疲労が進んだときには尿中のアドレナリンの量が増えるとのことで、いろいろな仕様を試しながら、アドレナリンの発生量の少ない仕様を煮詰めて行ったとのこと。これ自体が新しい試みなので、多くのユーザーがロングドライブをしたときの反応がどうでるかが注目される。
 ロイヤルサルーンGに乗っていると、本当に良いクルマに乗っているなという気持ちにさせられる。日本のクルマに乗ってきた日本人のユーザーが、日本の道路で走らせるなら最高のクルマともいえるのが3.0ロイヤルサルーンGである。特に年齢の高いユーザーにとっては絶好のクルマといっても良い。
 2.5ロイヤルサルーンにも試乗したが、これがまたなかなか良い。215ps(158kW)/26.5kg-m(260N・m)の2.5Lエンジンでも十分といった感じを受けるのだ。静かさや滑らかさは3.0ロイヤルサルーンGと変わらないレベルにあり、シーンによってはロイヤルサルーンG以上の静かさを感じさせる部分あった。これまたお勧めのモデルである。
 ロイヤル系にもスポーツモードスイッチが設けられていて、エンジンやAT、ショックアブソーバーなどのフィールが変わる。VGRSは装備されていないのでギア比の変化はないが、スポーツモードを選ぶとロイヤル系も走りのフィールが変わるのは同様だ。
 アスリート系はもちろん、ロイヤル系に乗っても、走りの質感が大きく向上したのが分かる。速度域の設定が異なる欧州車とは比べるべくもないが、日本国内だけで使うことを前提に考えたら、Eクラスや5シリーズなどと比べて選ぶべきクルマになったのが今回のクラウンだと思っても良いだろう。

●お勧めグレード

 クラウンらしいラグジュアリーな仕様を手に入れようと思ったら、選ぶべきはやはり3.0ロイヤルサルーンGである。快適装備の充実度や静かで滑らかな走りなど、クラウンが本来的に持つ価値をしっかり受け継いでいるのがロイヤルサルーンGだからだ。
 比較的年齢が若く、スポーティな走りを楽しみたいユーザーなら3.5アスリートも良いが、3.0ロイヤルサルーンGと比べて価格がかなり高くなるので判断が難しいところ。オプションを満載すると軽く600万円を超えるので、若いユーザーには簡単に手の届くクルマではなくなる。
 また2.5ロイヤルサルーンは実質本位でクラウンを選ぼうとするユーザー向けのモデルだが、ナビパッケージを選択しないと装備の中身がやや貧弱になったり、あるいは装着できるオプションも制約を受けることになる。

代表グレード
3.5アスリート
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4870×1795×1470mm
車両重量[kg]
1650kg
総排気量[cc]
3456cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
315ps(232kw)/6400rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
38.4kg-m(377N・m)/4800rpm
ミッション
6速AT
10・15モード燃焼[km/l]
10.0km/l
定員[人]
5人
税込価格[万円]
487.0万円
発売日
2008/2/18
レポート
松下宏
写真
高木博史
スタイル インテリア 走り&メカニズム