【レクサス IS F 対 BMW M3クーペ 徹底比較】レクサス IS F vs BMW M3クーペ ザ・対決 比較試乗

ROUND2：達人によるコダワリ評価

松下 宏 小さくて軽く、誰でも買える価格帯、そして燃費がよいということを信念としてクルマを評論。大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。 片岡 英明 学校の先生から自動車雑誌編集者経て、モータージャーナリストになったという異色の経歴を持つ。元教師ということもあり、分かりやすい評論に定評がある。さらに、クルマの細部まで見逃さない観察力はハンパではなく、徹底的に調べ上げてしまうほど。最新のクルマから、ヒストリックカーまで幅広い知識をもつ。 国沢 光宏 歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなく、WRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。

エンジン Engine レクサス IS F BMW M3クーペ 松下 宏 5リッターのV8エンジンは直噴&ポート噴射の組み合わせによって滑らかな吹き上がりと豪快なパワーフィールを見せる。高回転域まで回したときの高揚感も気持ちいいものだ。 排気量が4リッターなのに動力性能はIS Fの5リッターと同等のレベル。より高い回転域まで気持ちよく吹け上がっていくだけでなく、パワーフィールでもIS Fを上回る性能を備えている。 片岡 英明 高回転までスムースに回り、レスポンスもシャープだ。できのよい8速ATの採用と相まって街中ではフレキシブルな走りを披露する。回したときのエンジンサウンドも心地よい。 IS Fと比べると古典的な味付けだ。高回転域の切れ味は鋭く、5000回転から上の領域を使っての加速は刺激的だ。高性能エンジンだが、実用域のトルクは太く、扱いやすい。 国沢光宏 ブリップング(空ぶかし)すると、気持ちよい音を出すも、ひと昔前のアメリカ車のようで少し子供っぽい。全体的に演出が過度です。絶対的な出力は大満足できるレベル。 420馬力というと強烈なパンチ力を期待するが、高回転型のエンジン特性を持つため案外マイルド。ただ気づくと相当の速度に達してます。通っぽいエンジン特性です。

足まわり Footwork レクサス IS F BMW M3クーペ 松下 宏 硬めでしっかりした乗り味ながら、乗り心地もスポイルされていない。とくにサーキットなどでは乗り心地のよさを感じさせるほどだ。日本車としては高水準の仕上がりといえる。 M3に乗ると、乗り心地がIS Fよりも格段に優れていることに驚かされる。IS FもいいのだがM3はさらにいいのだ。この絶妙な味付けを知ると、IS Fにはまだやるべきことがある。 片岡 英明 ハイパワーを支配下に置き、安全に、楽しく走れる。3段階に切り替えられるVDIMは作動のタイミングが走り優先となっており、スポーツ走行を妨げない。乗り心地は意外にハード。 3段階に切り替えられる電子制御可変ダンパーを採用し、優れた路面追従性を実現している。が、ハンドリングの軽快感は薄い。その反面、スポーツモードでも乗り心地は良好だ。 国沢光宏 日本製のスポーツモデルとして考えれば相当頑張っていると思う。何回か試乗したものの、いずれもウエット。ドライ路面で味見したいです。乗り心地の質感はM3に届かず。 このクラスになると絶対的なコーナリングスピードで評価するのはナンセンス。どちらも必要以上ですから。ということで重要なのが質感。やっぱりIS Fより上です。

その他の走り(ミッションなど) Driving(mission,etc) レクサス IS F BMW M3クーペ 松下 宏 電子制御8速ATをベースにマニュアル操作が可能な新しいトランスミッションを作り上げた。2ペダルで高性能を楽しめるようにした点は、高く評価されるべきだと思う。 優れたシフトフィールの6速MTを操って走る楽しさは格別のものだが、常に走りを楽しむ状況で乗れるわけではない。日常ユースも含めて考えると2ペダルには及ばないと思う。 片岡　英明 8速ATはダイレクトなシフトフィーリングで、ツインクラッチMTを凌ぐ快感を味わえる。シフトダウンするのが楽しいエンジンだ。後輪駆動のFRスポーツならではの走りも魅力。 6速MTはダイレクト感があり、小気味よくシフトできる。クラッチ踏力も適度だからビギナーにも扱いやすい。ハンドリング、乗り味を含め、意外にもマイルド志向に変身した。 国沢光宏 8速ATは滑らかだけれど、スポーティ感という点で薄味。6速マニュアル仕様あればまったくイメージ変わってくるかも。運転が面倒臭い人という人のための高性能セダン。 6速MTを積極的に操作していると、スピードを出さなくても操る楽しさを堪能できます。運転が好きな人のための高性能クーペ。AT仕様車については少し遅れて登場か?

デザイン Design レクサス IS F BMW M3クーペ 松下宏 それなりの仕上がりだが、標準車との差別化はさほどではない。当初からFの設定が予定されていなかったため、フード回りなどにデザイン的な無理が生じている部分もある。 標準車との差別化がさほどではないというのはM3も同じ。格段に多くのお金を払うユーザーに対してもう少し配慮が必要では。正面からの迫力やホイールハウスなどは特筆モノだが。 片岡英明 ただのセダンに見えるが、フェンダー後部のスリットやリアバンパーから覗く４本出しマフラーが只者ではないことを物語る。インテリアも洒落たセンスで、ブルーの指針も刺激的。 精悍なバンパーやドア下のサイドスカートでＭ３らしさを表現している。カーボンルーフもマニアックだ。内外装ともにレクサスＩＳ−Ｆより大人っぽいデザインでまとめている。 国沢光宏 相当頑張ったものの、ベースになったISのシルエットがイマイチ。個人的には800万円近い御予算を投入する気にならない。200万円くらい高い感じ。 これまた標準車から相当変更してきたものの、初代M3のようなモータースポーツ用ホモロゲモデルだけがもつオーラを感じない。もっとアグレッシブにしたらいいと思う。

お買い得感 Buyers レクサス IS F BMW M3クーペ 松下 宏 766万円という価格がどのように弾き出されたかは分からないが、性能に見合った価格といえそう。ただ、オプションを装着して諸費用を払うと1000万円級の買い物になる。 1000万円級の価格は性能から見ると納得できないものではないが、アメリカでの販売価格がさほど高くはないことを考えると、もう少し安く販売されてもいいように思う。 片岡　英明 日産GT-Rとほぼ同じ700万円台後半のプライスタグをつけている。このパフォーマンスと走り味で700万円台なら高くはない。購入後のメンテナンス費用なども納得の数字だ。 1000万円オーバーの価格だが、それに見合うだけの実力を秘めている。ブランドイメージが浸透しているからレクサスIS Fよりプレミアムスポーツ感は得やすい。これが強みだ。 国沢　光宏 IS Fを買う予算があれば、迷わずGT-Rにする。使われているエンジンや駆動系、パーツ類などの価格や質を考えれば、圧倒的にGT-Rのほうがお買い得であります。 M3を買う予算あれば、迷うことなくポルシェ911にする。リセールバリューやブランドイメージからして圧倒的に911優勢。個人的には911と200万円差で妥当かと。

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