総合評価
レクサス IS F BMW M3クーペ
レクサス IS F
BMW M3クーペ
松下宏

日本でこのような高性能車が作られるようになったこと自体は大いに歓迎したい。ただ、標準車をベースに大排気量エンジンを搭載して大幅な性能をアップを図るという手法はBMWなどがすでにやってきていること。同じ手法を追従したモデルと言われてしまうのは避けられない。コンセプト段階からのオリジナリティが欲しい。

クルマそのものの出来は素晴らしい。クルマのもつ可能性を高い次元で示したものといえる。ただ、高性能化が進んでいくのは当然の流れながら、だんだんにユーザーから遠いところに行ってしまいつつあるようにも思う。用意された仕様や性能はともかく、1000万円級の価格はあまりにも手が届きにくいものだ。

片岡英明

乗る前と試乗後で、これほど評価が変わるクルマも珍しい。高速走行を得意とするクルマに見えるが、サーキットもワインディングロードも速かった。まさに「羊の皮を被った狼」だ。セダンでありながら切れ味鋭い刺激的な走りを存分に味わうことができる。流して走っても飛ばしても楽しいのがいい。ただし、後席は狭く、乗り心地もハードだ。

最新のM3も乗って拍子抜けした。今までのM3のイメージを抱いて乗ると肩透かしを食う。よく言えばスポーツ感覚を余すところなく引き出せるプレミアム・ラグジュアリースポーツだ。が、今までのM3の持ち味だった鋭い切れ味やワイルドなムードは失せてしまった。キャビンは広く、後席もIS F並みの広さだ。実用性能はかなり高い。

国沢光宏

2年間分のバックオーダーが入ったと言っているけれど、公称されているように月産40台なら960台。GT-Rの1ヶ月分である。GT-Rより実用性の高い4ドアセダンということを考えれば、人気度も案外高くないかもしれない。IS Fを毎日の足として使えるくらいのお金持ちならいいチョイスだと思う。

「M3と911」は「IS FとGT-R」の関係によ〜く似ている。クルマ好きからすれば、魅力度高いのが後者。けれど実用性を考えると前者であります。日常の移動用としてM3を買うようなお金持ちなら、休日用のクルマとしてフェラーリなど持っていることだろう。同じジャンルのクルマながら、IS Fとは競合しないと思う。

TOTAL
124点
トロフィー 126点