レクサス IS F
ハイパワーを安心して楽しむ
Fの名が示す、レクサスの真髄
デトロイトショーでプロトタイプが発表されたIS Fが市販化されたのは、GT-Rを意識してか、同時期となる2007年12月のこと。味付けやコンセプトははまったく違うが、その内容もGT-Rとも真っ向勝負できるレベルにある。ちなみにIS FのFはトヨタのホームグラウンドである富士スピードウェイの頭文字であり、さらに開発の中心となった東富士研究所の富士からも取られているなど、新時代のレクサススポーツのキーワードになるものだ。 まずヤマハがチューニングを施したIS F専用となる5リッターV8ユニットは、LS600hのものをベースにチューニングを重ねたもの。吸気バルブをチタン化したり、バルブリフト量の拡大。さらには排気系パイプ径を太くするなど、スポーツユニットとして徹底的に磨き上げられている。その結果、LS600hのエンジンと比べて、394馬力から423馬力へ大幅なアップを実現。またエンジンサウンド自体も吸排気&メカニカルノイズの点でスポーティな方向に意識的にチューニングされ、大人でも楽しめる雰囲気作りに力を入れているのが印象的だ。 このハイパワーユニットに組み合わされるのが、スポーツダイレクトシフトと呼ぶ8速ATで、2〜8速で直結状態にすることでダイレクトなフィーリングにあふれ、世界最速レベルの変速レスポンスを武器に小気味よいシフトが楽しめる味付けとなっている。 もちろん見た目もベースのISとは大きく異なり、ワイド&ローを大きく強調しつつ、フロントマスクもより押し出しの強いデザインに変更されていて、Fならではの存在感は十分だ。
[エコ&燃費] 最近のトヨタ車の常で、まず実用燃費がいい。カタログ値との差が少ないのだ。5リッターV8で、8.2km/Lを実現しているのは、8速ATのおかげもあろうが、かなりいい数字だろう。また「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」の認定も取得しており、スポーツを前面に出しながら4つ星としているのも注目だ。
[取材時実測燃費] 6.8km/L
[レクサス IS F価格帯] 766.0万円 |
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BMW M3クーペ
マッチョなスタイルとV8エンジン
ながめてよし! 走ってよし!!
M3として4代目となるのが、M3クーペだ。そのコンセプトは一貫しており、現行モデルでもハイパフォーマンスをウリにしている。 心臓部に収まるのは4リッターV8で、IS Fより1リッターも少ない4リッターながら420馬力をアウトプットする超高回転型エンジンを搭載する。ただし、そのフィーリングはときとして荒々しく官能的ですらあり、伝統のM3のなんたるかを存分に味わうことができる。しかも高回転型と高らかに謳う反面、2000回転から40.8kg-mという極太なトルクの約85%以上が出続けるということでパンチの効いた発進加速が楽しめるだけでなく、日常的な扱いやすさも兼ね備えており、気を使うことなく乗れるのも特徴のひとつだろう。ミッションは6速MTのみで、クロスレシオ化されており、素早い操作をすることでスポーティな走りを存分に楽しむことが可能。エンジンを吹かしてのシフトダウンでの小気味よさは官能的ですらある。ちなみにカタログ的には0-100km/h加速はたった4.8秒とのことだ。 さらにこのM3クーペで特徴的なのが、軽量化へのこだわり。新設計のサスペンションはダンパーまでアルミ製とする念の入れよう。驚いたことにルーフもカーボン製として、軽量化だけでなく、ロールセンターの低下にも貢献。ドライビングパフォーマンスを徹底的にアップさせているのは、さすがM3というひと言に尽きるだろう。 ドリルドのブレーキローターなど、どこを取ってもスポーティ。内装の雰囲気もプレミアム感を存分に醸し出しており、M3クーペならではの世界を演出している。
[エコ&燃費] どこを取ってもスポーツカー並のスペックと装備を誇るだけに、無縁の世界かと思いきや、じつはそんなことなし。エンジンや足回りでのアルミ合金の多用によって大幅な軽量化を実現。さらに電気自動車のような回生ブレーキを装備し、オルタネータの負荷を低減することで省燃費にも配慮している。
[取材時実測燃費] 5.8km/L
[M3クーペ価格帯] 1003.0万円 |