自賠責保険料率の大幅引き下げ…新車購入時期への影響は!?

 ガソリン税など自動車関係の税金を下げるか維持するかが話題になっているが、その陰で4月から自賠責保険料が引き下げられることはあまり話題になっていない。交通事故の死者数が減少していることなど、損害の発生率が減ったため、自賠責保険料の見直しが行われ、4月から引き下げられることになったのだ。
 4月から引き下げられるということは、3月にクルマを買ったり、あるいは車検を受けたりすると、そのときに加入する自賠責保険料は現在の料率のままだ。今回の自賠責保険料率の引き下げはけっこう大幅なもので、新車を買うときに加入する37カ月の保険料で比較すると、現行が44,410円であるのに対し、4月からは31,600円に下がる。ざっと13,000円くらい安くなるのだ。
 車検を取るユーザーが加入する24カ月の保険料で見ると現在の30,830円が、4月からは22,470円になる。こちらもざっと8,000円くらい安くなる。30%くらいの値下げが行われるのが今回の料率改定なのだ。
 これでは3月中に新車を買ったり車検を取ったりしたら損という気持ちになるだろう。少し待てば安くなるのだから待ちたいと考えるユーザーだっているはずだ。でも自賠責保険のために買い控えをする必要はない。うまい節約法があるのだ。

買い控え無用!コレが得する策!

 新車を買ったり、車検を取ったりするときには、車検期間をカバーする期間の自賠責保険に加入しておく必要がある。だから、車検期間分の自賠責保険に加入してないと車検が受けられず、ナンバーをつけることができない。
 だから、しっかり自賠責保険に加入する必要があるのだが、3月の時点で新車を買ったり車検を受けたりするのなら、現行の高い料率で1カ月分の自賠責保険に加入し、同時にその1カ月分の自賠責保険と連続して4月に始まる新料率の自賠責保険に36カ月分または23カ月分加入だけするのだ。これを自賠責保険の“2枚切り”と呼ぶが、こうすれば車検期間をカバーする自賠責保険に加入してナンバーをつけることができる。
 1カ月分の自賠責保険料は割高な設定になっているので、完全に値下げ分を先取りすることはできないのだが、それでも得になるのは確か。具体的な例で紹介しよう。

新車購入者も!中古車購入者も!実行すべきは“2枚切り”

 まずは新車を買う場合だ。現行料率で1カ月加入した場合の自賠責保険料は6,040円だ。これに4月からの新料率で36カ月の自賠責保険料の30,910円を加えると36,950円ですむ。普通に現行料率で37カ月の自賠責保険に加入したのに比べると、7,460円の得になる計算だ。これは絶対にゲットしなければ損。新車ディーラーや中古車販売店など、自賠責保険の代理店になっている店に要求して“2枚切り”をやってもらおう。
 車検を取る場合や車検切れの中古車を買う場合の24カ月加入の例で計算すると、1カ月分の保険料6,040円に、4月からの23カ月分の保険料21,750円を加えると27,790円で、3月の時点で現行保険料で24カ月加入した場合の30,830円に比べると3,020円の得になる。これもゲットしたい金額だ。
 自賠責保険の“2枚切り”を頼むと、販売店が面倒だと嫌がるのではないかと心配する人がいるかも知れないが、その心配は無用。なぜなら、自賠責保険の代理店手数料は金額にかかわらず1件当たりいくらという設定になっているからだ。“2枚切り”をすれば、一人のユーザーから2倍の手数料が入るのだから、販売店も大喜びである。むしろ販売店のほうから勧めたほうが良いのが“2枚切り”だ。
 3月中に新車を買ったり、車検切れの中古車を買ったり、車検を受けたりするユーザーは、必ず“2枚切り”を実行しよう。こうすれば、3月に買い控えをしなくても値下げされる自賠責保険料のかなりの部分を先取りすることができる。

達人プロフィール: 松下 宏
職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...