車種の性格によりAWDシステムを変えるスバル
スバルは、シンメトリカルAWD(4輪駆動)の実力をフルに発揮できるように、車種の性格や使われ方、トランスミッション形式などによってAWDシステムを変えている。現在、量産車に採用しているのは4タイプだ。モデルチェンジしたフォレスターやインプレッサの4速AT車はアクティブトルクスプリット方式のAWDシステムを採用する。これは前輪にトルクを多めに配分して低ミュー路などで安定性を確保する電子制御のAWDシステムだ。
ターボ車にも採用されているが、コントロール性は抜群によかった。振り回す走りをしても前輪のグリップ感に優れ、後輪の追従もいい。前輪がグリップを失って横滑りを始めると間髪を入れず安定性を確保する制御を行う。電子制御によるLSDの制御は絶妙だ。トルク配分を絶妙なタイミングで変えて行く。ちょっとアクセルを戻してやるだけで暴れは収まり、安定した姿勢に戻ってくれた。素直で扱いやすい。
新型スバル フォレスターには横滑り防止のVCDが標準装備
フォレスターはモデルチェンジを機に、全グレードに横滑り制御(挙動安定化制御)のVCDを標準装備した。アクティブトルクスプリット方式のAWDは高いポテンシャルを見せるが、調子に乗るとスピードを上げていくと限界を超え、リアがズルッと滑り出す。こうなったとき、絶妙なタイミングでVCDが介入し、挙動の乱れを安定方向に引き戻してくれる。
ビスカスLSD付きセンターデフ方式は、フォレスターやインプレッサの5速MT車が採用しているAWDシステムだ。通常走行時はデフをフリー状態とし、前後輪に生じた回転差をセンターデフで吸収する。ビスカスLSDが、ほぼ直進状態までの間でセンターデフの差動を制限するから、路面や走行状況に関わらず安定したトラクションを確保できるのが強みだ。電子デバイスを用いない機械制御のAWDだが、ステアリングを握ってみると優れた操縦安定性を見せつけた。フォレスターとインプレッサのS-GTはホイールベースが延びている。だが、気持ちよくクルマが向きを変え、コントロール性も優れていた。低ミューの氷結路でもかなりの実力を見せつける。誰にでも持てる実力を引き出しやすいAWDシステムだ。また、ドライバーはコントロールしているという実感があるから、走りを存分に楽しめる。
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走りを極めたAWD、DCCD
インプレッサの硬派モデル、WRX STIが採用するのは、ドライバーズコントロールセンターデフ(DCCD)方式のAWDだ。前後輪のトルクを緻密に制御する電磁式LSDに、滑り出しを検知して素早い制御を行う機械式LSDを組み合わせたAWDシステムである。運転してみると、制御が緻密で、クルマが走りたい方向に向きを変えた。AUTOモードでも気持ちいい走りを楽しめる。また、このDCCDは前後輪のトルク配分をドライバーが任意に変えることが可能だ。スイッチ操作でハンドリングを自在に変えることができ、アンダーステアもオーバーステアも思いのままだ。スポーツドライビングを楽しむのに最適なAWDシステムと言える。
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回頭性能に優れたVTD方式のAWD
もうひとつは、不等&可変トルク配分電子制御AWD(VTD方式)だ。このシステムは、DOHCターボに5速ATを組み合わせたレガシィのGT系や6気筒エンジン搭載車に採用された。プラネタリーギヤ式センターデフ(前後の基本トルク配分45:55)に電子制御LSDを組み合わせたもので、駆動にかかるフロントタイヤの負担を減らすことで横方向のグリップ力を増やし、優れた回頭性を確保する。スポーツ4WDの理想形と言われるAWDシステムで、後輪の駆動配分を多めに取っているのが特徴だ。状況によっては直結状態まで可変制御を行うからタイトコーナーでは舵の入りがよく、軽やかにノーズが向きを変える。4種類のAWDシステムを試したが、低ミュー路でも狙い通りに走れ、奥行きのある走りを身につけたスバルAWDの実力に驚かされた。
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written by 片岡英明
レガシィのカタログ情報
- 平成5年10月(1993年10月)〜平成10年12月(1998年12月)
- 新車時価格
- 150.5万円〜279.8万円
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