メリットに疑問を感じていた水平対抗ディーゼル
水平対向ディーゼル、実はハンドルを握るまで期待していなかった。スバルの開発担当エンジニアによれば「振動も騒音も少ないです」。ベンツE320CDIに代表される最新のディーゼルを試したことのある人なら「イマドキ振動が気になるディーゼルなんかあるの?」と思うだろう。
ここ1年、現在販売されている”ほぼ”全てのディーゼルに乗ったけれど(まだ発売されていないモノも含む)、振動が気になるエンジンなど皆無。なぜか? こらもう簡単。新世代のディーゼルって、全て振動を抑えるバランスシャフト付きだからだ。加えてディーゼルは4500回転くらいまでしか回らない。
バランスシャフト付きのガソリンエンジンに乗ると解る通り、4500回転くらいまでなら振動をカンペキに押さえ込めている。ディーゼルも同じ。ベンツでもプジョーでもVWでもBMWでもトヨタでもホンダでも、みんな滑らかに4500回転まで回ります。振動など全然気にならないレベル。
いくら水平対向が振動を出さないエンジン形式だと言っても、まぁ同じくらいだろうと考えていたワケ。高い開発コストを投じて自社開発せず、トヨタのディーゼルを横に倒して縦置き搭載すれば十分だったのではないか、という軽い批評も含む。
通好みの味付け、将来性は高い!
しかし! エンジンを掛けるや「あらららら?」。何か違う。普通のディーゼルの場合、顕著な振動こそ感じないものの、全体的に揺れている感じを出す。されど水平対向ディーゼルは見事にバランスして回っている感じ。ちなみにバランスシャフト、付いていないという。
少し驚きつつ高速道路に入る。各ギアを4700回転のレッドゾーン近くまで引っ張って加速していくと、再び「う〜ん!」。この「う〜ん!」は高速巡航に入ると一段と深いモノになる。本当に滑らかなのだ。「必要以上の滑らかさ」と言い換えてよかろう。しかも高回転域で騒音レベルが高くならない。
直列4気筒ディーゼルも、高回転域になると徐々に騒音レベルは高まってしまう。強い爆発力により、クランクシャフトなどエンジン各部が細かく「しなる」からだ。本来なら「完全バランス」と言われる直列6気筒エンジンさえ、クランクシャフトのしなりによって高回転域で微振動を出すほど。
水平対向ディーゼルは極端にクランクシャフトが短いため、クランクシャフト起因の微振動をほとんど出さないそうな。結果的に吟醸酒のように「澄んだ」エンジンフィールになるのだという。普通のディーゼルを「美味しい食事」だとすれば、水平対向ディーゼルは「ウルサイ人がウなる食事」ということになろう。違いの解る人ほど感心するに違いない。
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ちなみに最高出力は2リッターで150馬力。欧州の最新基準からすれば「標準」と言える出力である。ここにきて「高性能バージョン」として170馬力程度のハイパワー版を用意するメーカーも増えてきた。スバルに聞いてみたら「当然高性能バージョンも考えています」。
また、今回試乗したレガシィの排気ガスレベルは『ユーロ4』。現在日本で施行されている『平成17年規制』(ベンツE320CDIやハイエースなど)より1つ前の『平成14年規制』になる。半年後に発売されるフォレスターのディーゼルから新型の排気ガス処理装置が付き『平成17年規制』レベルになるらしい。
どうやら日進月歩で開発が進んでいる模様。日本で発売する頃には、200馬力近い出力を発揮する圧倒的に静かで滑らかなディーゼルに育っているかもしれません。気になる発売時期ながら、森社長によれば「2010年代の早い時期に日本でも発売します」。大いに期待しておく。
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レガシィのカタログ情報
- 平成5年10月(1993年10月)〜平成10年12月(1998年12月)
- 新車時価格
- 150.5万円〜279.8万円
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