写真などを見ると、引き締まったデザインのフォルムのため国産Lクラスミニバンとしては小さく感じるが、じつは全長×全幅はエルグランドよりも大きくてアルファード並みだ。全高1685mmと低めでワイド&ローフォルムを形成。これによってロードスターなどを代表とする「Zoom Zoom」な走りをミニバンで実現する。搭載エンジンは2.3リッター直4でNAとターボの2タイプ。駆動方式は、FFと4WDを設定する。
全高1700mm以下のミニバンという点でライバルをあげると、オデッセイ/プレサージュ/グランディスとなる。立体駐車場の使用頻度の高い都市部ユーザーなら、全高1550mmというオデッセイは圧倒的に使い勝手がいい。車高の低さもあって走りの質は、ミニバンというよりワゴン的だ。この点では、MPVはさすがに車高が高いだけにフットワークの軽快さは劣るものの決して侮れない実力をもっている。むしろ、しっとりとしたハンドリングはミニバンというキャラクターに合っているし、なにより旋回性能が高い点がマツダ車らしいといえるだろう。グランディスも軽快なフットワークを実現。プレサージュは、もっともミニバンっぽい走りでクルーザーと割り切ったほうがいい。室内スペースは、感覚的にはプレサージュが上回る。しかもMPV同様、2列目シートがキャプテンタイプ/ベンチタイプの使い分けができる点も魅力だ。オデッセイやグランディスの2列目シートは特別凝った作りではないものの、3列目シートの居住性では、MPVやプレサージュに比べるとタイト。細かい点まで見ると、シートの作りに関しては、MPVがもっとも腰があってスポーティ。長距離運転をするときは疲れにくいかもしれない。
グレードを選ぶとき、まずエンジンはNAかターボというところが分岐点となる。MPVの車重はもっとも軽いNAのベーシックグレードでも1700kg超。さすがに2.3リッターでは、フル乗車で上り坂に遭遇すると力不足を感じる。しかも、ターボは6速ATを備えるが、NAのFFモデルは全車4速AT(NAの4WDは6速ATだが車重はFFより重い)。エンジンに負荷のかかるシーンでは、ギヤ段数の多い6速ATのほかがストレスを感じることは少ない。このあたりの選択は、日常の乗車人数や使用するときの状況をよく考えてほしいところだ。装備面から検討すると、アルミホイールやオートエアコンなどを標準化する23Cは車両本体価格が250万円弱と一般的なファミリーにも負担が少ない設定だ。ベーシックな23Fより9万円高くなるが、追加される装備を考慮するとお買い得と言えるだろう。ターボモデルはNAの23Cスポーツパッケージより約20万円高となるものの、DSC(車両挙動安定装置)の標準化、エンジンのターボ化も含めてるとむしろ価格を抑えているといえるだろう。しかし、車両本体価格だけでも280万円となるので、支払総額は300万円超となってしまう。