GT-Rは究極のメカの塊ともいえるようなクルマで、いろいろな部分に専用の設計がなされている。エンジンを前方に、トランスミッションを後方に搭載するトランスアクスル方式の基本プラットホームがまずGT-R専用に開発されたものだし、搭載エンジンやトランスミッションも専用のものだ。3.8Lの排気量が与えられたV型6気筒DOHC+ツインターボのVR38DETT型エンジンは480ps/6400rpm、60.0kg-m/3200〜5200rpmの圧倒的なパワー&トルクを発生する。当然ながら国産車最強だ。
スパ西浦サーキットでの試乗では、アクセルをグンと踏み込むと文字通り背中を押されるような豪快な加速感が味わえる。低速域から力強く走り出すのに合わせてタコメーターの針が一気に駆け上って行き、同時にデュアルクラッチが小気味よくシフトアップして行くので、あっという間に超高速域に達している。最近では500psを超える動力性能を持つクルマも登場しているが、GT-Rの加速感は並みたいていのものではない。
駆動方式はアテーサE-TSの4WDシステムを継承しているが、これが良く曲がる。サーキットなどではクルマが真っ直ぐ前を向いてからアクセルを踏み込むので基本だが、GT-Rはコーナーの手前で減速し、コーナーの途中からアクセルを踏み込んでも前輪が引っ張るようにして向きを変えながら加速していく。
ブレーキもとてつもなく良い。踏んだ当初の素早い応答性、踏み続けたときのしっかりした踏み応え、サーキットで走り続けたときの耐久性など、どれをとっても一級品だ。コーナリング中のブレーキングも許容して姿勢を乱すことがないし、短い停止距離でしっかり止まれるブレーキである。
GT-Rには一般道でも試乗したが、これがけっこう乗りやすい。スーパーカーでありながら、一般道を普通に快適に走れるのだ。デュアルクラッチの変速モードを標準にしておくと、走り出すとすぐにトントントンとシフトアップして行き、時速50kmを超えたあたりではすでに6速に入っている。普通に乗るときには燃費の良さにも配慮した感じになる。
標準モードなら発進/停止もほとんどギクシャクした感じにはならないが、Rモードにして乗ると発進や低速域の変速で多少のショックが感じられる。
乗り心地は本格的なスポーツカーとしては決して悪くないが、モードの切り換えがコンフォートと表示されており、コンフォートと呼ぶには決して快適とはいえない感じ。ただ、R32GT-Rに乗っていたときのことを思うと、乗り心地もとても良くなったし、轍にタイヤを取られるワンダリングもほとんど解消されている。
●お勧めグレード
GT-Rには3グレードの設定があり、当初は最上級グレードとなるプレミアムエディションの比率が高いというが、買うなら標準のGT-Rでも十分だ。室内はけっこう騒音が大きいのでBOSEのオーディオシステムを装着するのがもったいないような感じだ。