軽自動車メーカ・トップのスズキが本格的にコンパクトカー市場(白ナンバーの登録車)への参入を目的とするのがスイフトだ。シャーシも軽自動車の延長だった従来モデルから一新。普通車用として開発した。ヨーロッパやアジアなどへの輸出も視野に入れた世界戦略車だけあって、その作り込みはほかの国産コンパクトカーと比べても驚愕させられるものだ。搭載エンジンは、デビュー当初は1.3リッターと1.5リッターの2種類だったが、2005年9月に1.6リッターのスポーツを追加。2007年5月のマイナーチェンジでは新開発1.2リッターもラインアップした。
ボリューム感のあるボディをもつスイフトだが、室内の広さやボディサイズはヴィッツやデミオに近い。しかし、ヘッドクリアランスは十分に確保されていて、アップライトな着座姿勢ながらも窮屈感はまったくないのだ。それよりも、視界のよさが際立っている。さらにコンパクトカーらしい軽快感は全モデル共通で、運転好きなユーザーがベーシックグレードを運転しても満足できる。また、それは初心者や運転が苦手なユーザーには親近感となるだろう。スポーティなスポーツは、フィットやデミオより大きな1.6リッターエンジンを搭載。税金面では不利だが、走りの質はやはり+100ccの余裕が高速道路など長距離移動で身体的な疲れを軽減してくれる。これに軽快なフットワークが加わるので、ワインディングではホットハッチらしい走りが楽しめるのだ。オプションのレカロ製シートを装着すれば、かなりヤル気にさせるクルマへとなる。
マイナーチェンジで1.2リッターエンジンが追加され、それまでの量販モデルだった1.3リッターはFFは5速MTのみで4WDに5速MT/4速ATという設定になった。多くのコンパクトカーユーザーが2ペダル(オートマチック・ミッション)を望むことを考えると、FF駆動からの選択は1.2リッターモデルか1.5リッターモデルが一般的だろう。そこで、それぞれの車両本体価格を見るとやはり1.2リッターモデルは割安感がある。しかも新設計ゆえのスムースさも見逃せないところ。ベーシックなXGなら120万円弱なのだ。しかし、装備面から見るとXG・Lパッケージがオススメ。MD/CDチューナー(ステアリングに操作スイッチ付き)、本革ステアリング、ドアミラーウインカー、15インチアルミホイールなど、XGとの価格差約7万円を十分にカバーする。もし、さらにウッドステアリングやアルカンターラを使う内装など上質感を求めるのならスタイルでもいいが、XG・Lパッケージとの価格差約6万円をこれらの装備に価値を持つか否かはユーザー次第だ。1.6リッターエンジンを搭載するスポーツは、ハッキリ言って標準スイフトとは別格。価格も160万円となる。しかし、その走りは痛快。5速MTを駆使して走れば、かつてスポーツカーに乗っていたユーザーも十分に満足できる。4速ATを選択すればファミリーの日常の足としても十分使いこなせるのだ。