スバルインプレッサWRX STI

「剛」から「柔」へ、扱いやすさが大幅に進化!

 ランサーエボリューションXの試乗会が行われた『ヒーローしのい』はコース幅狭く曲がりくねった「ミニサーキット」である。方や新型インプレッサは富士スピードウェイのグランプリコース。両車に試乗した時点で比較インプレッションをお届けしようと思っていたけれど、あまりに条件が違う。したがって新型インプレッサの単独試乗レポートとさせて頂きます。

 1速にシフトしてクラッチミート。ピットロードを走り出すや「あらま!」。従来型のインプレッサは極端に硬いサスペンション設定となっており、路面のデコボコが全て解るほど。毎日の足に使おうとしたなら相当のカクゴを必要とした。けれど新型になって驚くほどマイルドになっている。レガシィのGTを少し硬くした程度というイメージ。

 むしろ「こんな柔らかくて大丈夫なんだろうか?」とさえ思う。そんなことを考えつつ、「公道だったら完全にオーバースピードでしょう」という速度で1コーナーへ進入。ハンドルを切り込むと、またしても「あらま!」。少しくらいアンダーステアが出るかと思いきや、ハンドル切っただけ曲がってしまう。加えて柔らかい割にロールもしない。

 どうやらサスペンションの絶対的能力が従来型より上がっている感じなのだ。となれば攻めるしかありません! 3速2千回転からアクセルを踏み込むと、意外や意外! 2500回転くらいからトルクがググッと太くなる。従来型より低い回転域からトルクを出している感じ。

そして4500回転くらいからトルクが落ち始める。このエンジン特性、競技で使われているグループNのラリーカーとソックリ。従来型インプレッサと比べ高回転域のパンチは物足りないかもしれないけれど、新型の方が実戦的。各ギアを5500回転くらいまで引っ張ってシフトしていくと、エンジンの美味しいブブンをキッチリ引き出せることだろう。

スバルインプレッサWRX STI エクステリア
ワイドフェンダー、大型リアスポーラー等の装備によりただ者では迫力を感じさせるエクステリア
スバルインプレッサWRX STI エンジンルーム
低速域から力強いトルクを発生する2リッター水平対抗4気筒エンジン、最高出力は308馬力
スバルインプレッサWRX STI マフラー
横長のメインサイレンサーを持つマフラーは左右4本出し、仕上げも非常に美しい
スバルインプレッサWRX STI インテリア
インテリアは造詣こそ標準モデルに準じるものの、より深い作りこみがされている
スバルインプレッサWRX STI レカロシート
高いホールド性を誇るレカロ製バケットシートは15万7500円高のオプション設定
スバルインプレッサWRX STI SIドライブ
状況に応じてエンジン特性が変えられるSIドライブとマルチモードDCCDも装備
新車見積もりはこちら

競技車両の雰囲気を味わえる市販車として貴重な存在!

スバルインプレッサWRX STI エンブレム

 3速、4速、5速とシフトアップしていくと、いやいや楽しいの何の! シフトフィールもエンジンフィールも加速感も素晴らしいっす! ボディとエンジンが硬質で、足回りは「しっかりしているのだけれどしなやか」。ラリーなどで使われる競技車両ってガチガチの乗り心地というイメージを持っているようだけれど、そんなことありません。

 従来型インプレッサは皆さんのイメージの中にある「競技車両」風だった。新型インプレッサに乗ると、本物の競技車両に極めて近い感じ。当然ながら高速域でのコントロール性も競技車両の如し。4速のまま150kmくらいから強引にハンドル切ってテール流しても、全く不安無し。

 ヘアピンなんか120kmから真横にした状態で飛び込む。そのままアクセル全開にすると、きれいなパワースライドで立ち上がっていく。こらもう意のままに動くスーパーモビルスーツ着たような気分。私はガンダムに詳しくないけれど、いわゆる「シャアザク」のようなものだと考えてくだされ。

スバルインプレッサWRX STI 走り

 こんなクルマが348万円(税抜き)で買えるというのだから日本のクルマ好きは恵まれていると思う。参考までに書いておくと、ヨーロッパだと標準的な仕様で600万円以上するそうな。 

新車見積もりはこちら