日産 スカイライン クーペ 走り

じっくりと付き合える大人のスポーツクーペ

 10月2日に発表された、待望の日産スカイライン クーペ。非現実的なGT-Rよりも、スカイラインの真髄を存分に楽しめるとして、期待していた人も多いのではないだろうか。コンセプトもズバリ「超魅惑・超洗練・超高性能」で、セダンを「超」越している。
 まず見た目については、事前情報でかなり大胆に変身という情報も得ていたのだが、結果として、あくまでも大人のクーペといったところ。存在を強力にアピールしつつも、しっとりしとした佇まいをも醸し出している。一見すると、スタイル的にはセダンをベースにと当然のことながら思ってしまうが、外装に関しては専用設計で、セダンと共有している部分はほとんどないほど。仔細に違いを見ていくと、フェンダー部分のうねり具合などが強調されており、躍動感は確かに高い。
 リヤまわりもクーペだけに、じつに流麗。かつ、丸テールがその存在を強烈にアピールしつつ、クーペならではの「370GT」というバッヂが誇らしげに光っている。

日産 スカイライン クーペ フロントマスク
外装はほぼすべてを専用化しているので、ラインなどはより強調したものとなっており、エレガントなシルエットを生み出している。
日産 スカイライン クーペ リヤ
クーペらしい伸びやかなラインが印象的。セダンよりもスカイラインらしさにあふれているといってもいいかもしれない。
日産 スカイライン クーペ エンジン
エンジンは長年に亘ってベストV6エンジンに選び続けられているVQユニットを進化させたVQ37VHQ型。誇らしげにVVELのロゴも入る。

セダン譲りの高級感とスポーティさが同居

 インテリアに関しては、セダンと大きく変わるところはないが、ドアがクーペのほうが大きくなるので、全体として広がり感を出せており、伸びやかな印象を受ける。ディテールに関しては、質感の高いセンタークラスタまわりやデザイン立体的なメーターなどはセダン同様の部分で、大人のスポーツを最大限に引き立てている。ちなみにアナログの時計も踏襲されている。
 シートは大ぶりで座り心地もよく、形状によってホールドするというよりも、クッションで体を受け止めてグラグラと動かないようしてくれるといったほうがいいだろう。シート地に関しては、370GTとタイプSがファブリックになり、タイプPとタイプSPがレザーとなる。と、聞くと前者2グレードが下級で、後者が上級に思えてしまうが、じつはそうではなく、タイプSは上から2番目のグレードとなる。つまり選び方のひとつとして、レザーシートが否かというのはある。レザーのほうがしっとりとしていいように思えるが、ファブリックもネオソフィールという人工セームのような風合いの生地と組み合わせられているので、タッチもいい。それにレザーシートのグレードを選んだから、他のパートの装備が豪華になるというわけでもないので、とにかくシートに関しては、まず単純に好のみで選べばいいだろう。

日産 スカイライン クーペ エンブレム
クーペだけに搭載される3.7リッターユニットだから、370GT。往年のGT風の雰囲気をうまく出したバッヂが誇らしげにリヤに付く。
日産 スカイライン クーペ ラゲッジ
上下方向にボディは薄いので、ラゲッジも平たいスペースとなっているが、奥行きは十分。積載能力としてはまずまずといったところ。
日産 スカイライン クーペ ホイール
19インチホイールもタイプSとタイプSPに用意されている。タイヤの性能にもこだわり、ロードインデックスの大きなものを履く。

最大のトピックスであるエンジンの進化ぶりは?

 ねじり剛性で先代クーペ比36%アップと、ボディ剛性を大幅に向上させることで、しなやかな足の動きを実現。さらにダンピングの効いた乗り心地をも確保しているのだが、なんといっても、注目なのはそのエンジンだろう。まずセダンに対して、排気量を200ccアップして3.5リッターのVQ37VHR型とし、さらに話題のVVEL(ブイベル)を搭載する。このVVELはバルブ作動角・リフト量連続可変システムのことで、今まではエンジンの回転数コントロールをスロットルバルブのみで行なっていたのを、バルブのリフト量でも制御しようというもの。詳しい仕組みは省くとして、出力の向上以外にも、ダイレクトな吹け上がりやポンピングロスによる省燃費など、さまざまなメリットがある。
 そんな前知識を頭に入れつつ、アクセルを踏み込むと、まず最初の出足からしてパンチがあるし、アクセルを踏めば踏むほどにストレスなく吹けていく。ただし、セダンの3.5リッターに対して、大幅に進化したという感じではなく、着実な進化を遂げたといったほうがいいかもしれない。さらにいえば、排気量アップとVVELのどちらが、効果体感に威力を発揮しているのかも不明。最新技術とはいえ、その存在を主張するのも逆に乗りにくいこともあろう。さりげなくアシストすることで、走りを楽しめればいいのではないだろうか。その点で3.7リッターでVVELの採用は、GT的味わいを存分に楽しむという点で見ればベストなパワーと吹けを実現しているといっていい。
 ちなみにエンジンは1タイプだけなので、ここで迷う必要はない。

日産 スカイライン クーペ インテリア
基本的にはセダンと同じイメージでまとめられているが、ドアの開口部が大きいだけに、全体の印象としては伸びやかな感じだ。
日産 スカイライン クーペ シフトレバー
コクコクと気持ちよく決まってくれる6速MT。かといって軽々というわけではなく、意外に重め。FRならではのMTフィーリングだ。
日産 スカイライン クーペ 走り
19インチホイールと組み合わされる、スポーツチューンドサスのほうが、よりガッチリとボディを支え、路面に吸い付くような味わい。

ミッションは5速ATに加えて、6速MTも用意

 スキのないGT的スポーツユニットとして、トータルバランスに優れた3.7リッターエンジン、VQ37VHR型のうま味を引き立てるのが、まずミッションだ。5速ATはセダン譲りで、ハイパワーを余すところなく、伝える感じ。さらにクーペでは6速MTが用意され、より積極的なスポーツドライビングを楽しむことができる。操作感はFRならではのガッチリとした剛性の高いもので、ショートストロークを活かして、叩き込むといったこともできる。MTといってもFFのような「ワイヤーで引っ張ってます感」は皆無で、「ミッションからそのままシフトが出ています」ことの恩恵を存分に享受できる。クラッチも重たくはないけど、軽くはないので、往年のスカイラインGTらしさを求める人にもピッタリだ。
 そのほかセダンで話題になった、4輪アクティブステアである4WASもタイプSとタイプSPに装備。違和感あるなし、はいまだに決着付かずといったところだが、結局はハンドリングに求めるものによって評価が違うだけ。購入を考えている人は、もし可能なら、あるなしで乗って、ステアリングを一気に切り込むようなシチューエーションで試してみてほしい。違いは確実にわかるはずで、それを踏まえて、どちらかを選べばいいだろう。

日産 スカイライン クーペ フロントシート
大ぶりで、スポーティというよりはラグジュアリーなテイスト。ふんわりと包み込んでくれるので、結果としてはサポート性もいい。
日産 スカイライン クーペ リヤシート
リヤシートもクーペとしてはまずまずのスペースといったところだが、結局は2+2と考えた方がいい。子供なら十分に乗れる。

差は小さいだけに、ベストバイはどのグレード?

 今までシート素材や4WASなどについて、グレードによる違いを紹介してきたが、基本的にはエンジンは1タイプだけなので、迷いがちだ。それだけに、基本的にどれを買ってもハズレはない。あとは、好みで選んでいくことになるのだが、機能面での違いで、まだ紹介していないのが、6速MTとスポーツチューンの足回り、さらに19インチホイールで、4WAS同様にタイプSとタイプSPにしか設定はない。となってくると、自ずと整理されてきて、MTや4WAS、さらにはスポーツチューンドサスなど、つまりスポーティに走り込みたいならタイプSとタイプSP。ATでもいいし、4WASもとくに必要なしというなら、370GTとタイプPでも十分だろう。ちなみに今回の試乗ではタイプPとタイプSPを試乗したものの、さすがにタイプSPのほうがガッチリとした粘る足だし、限界も1ランク高いのは実感できたのだが、タイプPで不満が出たかというと、そんなことはなし。意外に369.6万円で買える基準グレードの370GTが、装備的に割り切れればお買い得感が一番あるといえるかもしれない。
 ちなみに発売約2週間で月販目標200台に対して、すでに1200台の受注を受けているとのことで、滑り出しは上々のようだ。

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代表グレード
370GT TYPE SP(6MT)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4655x1820x1390mm
車両重量[kg]
1660kg
総排気量[cc]
3696cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
333ps(245kW)/7000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
37.0kg-m(363Nm)/5200rpm
ミッション
6速MT
10・15モード燃焼[km/l]
9.4km/l
定員[人]
4人
税込価格[万円]
441.0万円
発売日
2007/10/2
レポート
近藤暁史
写真
和田清志
取材協力
日産自動車

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