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クーペ風のスタイリッシュなデザインのミドルセダン
ゆったりした室内は快適装備も満載!
アメリカ車らしい独特の加速フィールが好印象
●お勧めグレード

ライター紹介

自動車評論家

松下 宏 氏

中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。 誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。

クーペ風のスタイリッシュなデザインのミドルセダン

 07年から日本市場に導入されるようになったダッジブランド車の中で、ごくオーソドックスな4ドアセダンのボディを持つがアベンジャー。アメリカではDセグメントのミディアムセダンということになるが、全長がクラウン並みで全幅が1850mmを超えるため日本では堂々たるサイズの大型セダンとなる。
 駆動方式はFFでアメリカ市場で良く売れるタイプのクルマだが、大胆さやパワフルさが強調されるダッジブランド車の中では比較的おとなしいイメージのクルマとなる。
 外観デザインはダッジブランドの象徴である十字型のフロントグリルが大きな特徴となるほか、全体にパフォーマンスモデルのチャージャーを思わせるようなスタイリッシュな外観を持つ。シャープなラインで鋭角に切り取られたヘッドライトも印象的だ。
 サイドビューは大きく張り出したフェンダーと18インチの大径タイヤが迫力あるスタイルを演出している。後方に向けて下がったような見えるルーフラインは、クーペ風のスタイリッシュなイメージを作っている。

ゆったりした室内は快適装備も満載!

 大柄なサイズのボディを持つこともあってインテリア空間は十分な広さが確保される。運転席回りは余裕十分といった印象だし、下がって見えるルーフラインにもかかわらず後席のヘッドクリアランスはたっぷりと確保され、後席に座るとゆったり足が組めるくらいのニースペースがある。
 運転席と助手席の間のセンターコンソールにはヒーター&クーラー付きフロントカップホルダーが装備される。これはセラミック素子を使って60度までの加熱と1.6度までの冷却を可能としたもの。助手席側のグローブボックスの上部にも350ml缶が4つも入るクーラーボックスが用意されるなど、アメリカ車とは思えない(?)ような芸の細かい配慮もいろいろとなされている。
 安全装備の充実度は高いレベルにある。アドバンスドマルチステージフロントエアバッグやサイドカーテンエアバッグ、フロントシートマウント式サイドエアバッグなどが装備されるほか、ABSやESP、トラクションコントロールなども標準で装備されている。
 FF車らしくトランク容量はたっぷりと確保され、6:4の分割可倒式リヤシートを倒せばトランクスルーになって長尺物を積むこともできる。

アメリカ車らしい独特の加速フィールが好印象

 搭載されるエンジンはV型6気筒2.7Lの自然吸気DOHCで、オートスティック機能付きの電子制御4速ATとの組み合わせ。
 エンジンの動力性能は186ps/26.1kg-m、このクラスのエンジンとしては平均的な実力。24バルブのDOHCではあるものの、高回転域までひゅんひゅん回るタイプのエンジンではなく、低回転域の力強さを特徴とする。やや低めの回転数で最大トルクを発生するので、大柄なボディに見合った実力といえ、ゆっくりとボディを押し出していくような加速感は、アメリカ車らしい独特のフィールだ。
 組み合わされるATが4速というのはいかにも古い印象を受ける。このクラスのクルマならATは5速が当たり前で6速以上のATを組み合わせる車種も多くなっている。ゆったりと街中を走るようなときには4速でも良いが、元気良く走らせようとすると4速ではショックの大きさが不満になる。マニュアル操作が可能なオートスティック機能付きであるだけに、余計に5速が欲しくなる。
 タイヤは215/55R18がおごられている。恐らく本国でアベンジャーに採用される最大サイズのタイヤだと思うが、ちょっとオーバーサイズ気味の印象。乗り心地が硬くなるほか、最小回転半径の面でも不利になるので、もう少し小さいタイヤのほうがジャストフィットではないかという印象だ。

●お勧めグレード

 グレード設定はなくSXTだけの単一グレードのモデルとされている。レザーシートやHDDナビ、ボストンアコースティックのスピーカーなど、装備の充実したラグジュアリーグレードだ。ATの変速フィールや乗り心地など、全体に大味な印象を受けたのがアベンジャーなので、アメリカ車的な乗り味が欲しい人には良いが、日本車や欧州車をイメージして乗るユーザーには向かないクルマだと思う。
 上級グレードのSXTで、本国ではオプション設定となる快適装備なども満載しているので、日本での価格設定が消費税込みで400万円を超えるのも止むを得ないかも知れないが、この価格帯にはヨーロッパメーカーの主力モデルがいろいろ揃っている。その中でアベンジャーを選ぶのは、アメリカン感覚の走りを好むユーザーに限られると思う。

代表グレード SXT
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4855×1850×1485mm
車両重量[kg] 1560kg
総排気量[cc] 2735cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 186ps(137kw)/5500rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 26.1kg・m(256N・m)/4000rpm
ミッション 4速AT
10・15モード燃焼[km/l] 9.0km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 413.7万円
発売日 2007/6/30
レポート 松下宏
写真 和田清志