ブリヂストンは、リチウムイオン電池用電解液不燃剤「ホスライト」の製造・販売権に関し、日本化学工業とライセンス(独占的通常実施権)契約を締結したと発表した。

 リチウムイオン電池は、これまで携帯電話やノート型パソコン用として広く普及してきたが、現在ハイブリッド自動車に使用されているニッケル水素電池や電動工具などに使用されているニッケルカドミウム(ニッカド)電池と比較して、高出力かつ小型・軽量化が可能なため、今後の更なる活用が期待されているという。

 しかし、リチウムイオン電池の電化液には可燃性の溶媒(溶剤)が用いられているため、過充電やショートなどの異常状態で使用すると破裂や発火の恐れがあることから、安全性の確保が課題となっているとのこと。既に、安全回路を使用するなどして危険を未然に防ぐ技術が構築されているが、さらに高い安全性に付与するために本質的な安全策が望まれている。

 このような課題を解決するために、ブリヂストンは2002年にリチウムイオン電池用電解液不燃剤「ホスライト」を開発。「ホスライト」は、リンと窒素を基本骨格とする「ホスファゼン」という物質からなり、既存の可燃性電解液に5〜10%添加すれば電解液を不燃性にすることができるとのこと。

 ブリヂストンは「ホスライト」を通じて、リチウムイオン電池の安全性向上に貢献していきたいと考えていたが、安定供給のためには、リチウムイオン電池の不燃化技術の開発を長年にわたり共同で行い各種プラントを保有する日本化学工業とのライセンス契約が最善と判断したという。

 今後は、日本化学工業において量産及び供給体制を整備し、2007年中に10トン、その後は「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」に従い年産30〜50トンの生産設備の導入を計画しているとのこと。