フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン走り

新TSIエンジンは、140馬力と170馬力の2種類を用意

 少々生意気で申し訳ないが「やっぱり、ちゃんとしたクルマに乗ると気持ちがいい」。ターボとスーパーチャージャーのイイとこ取りをした新エンジンTSIを積んだフォルクスワーゲン・ゴルフトゥーランに試乗した直後にそう思った。
 今回モデルチェンジされたゴルフトゥーランの最大のトピックスは、1.4リッター直噴ツインチャージャーエンジンとセミATともいえるDSG6速トランスミッションを搭載している点にある。さらに、トゥーラン用に最高出力を140馬力に抑えたTSIトレンドラインとゴルフGTと同じく170馬力を発揮するTSIハイラインの2種類のエンジンが用意されている。

トルク差が少ないので、大きな差を感じない

フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン エンジン

 結論からいうと、140馬力のTSIトレンドラインの出来が素晴らしい。170馬力のTSIハイラインとそれほど大きな差を感じられないからだ。強いて言うのならば、約4,000回転以上回したときにパワーの差を感じる程度。エンジンの回転をトップエンドまで使いきって加速しつづけるようなシチュエーションでは、それなりにパワー差を感じることができるが、通常使う回転域やワインディングロードで飛ばしているくらいならその差はほとんどない。それもそのはず、最大トルクは140馬力仕様が22.4kg-m、170馬力仕様が24.5kg-mと、その差はわずか2kg-mのトルク差しかないのだ。馬力は約18%も落ちるのだがトルクは約9%程度しか落ちていないのだ。さらに、170馬力仕様が140馬力仕様に比べ30kg重い。そうなると、さらにその差が分からなくなる。

TSIエンジンのパフォーマンスを引き出すDSG

フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン リヤスタイル

 また、そんなエンジンのパフォーマンスを生かしてくれるのが6速のDSGだ。相変わらず電光石火のシフトチェンジ。エンジンのパワー&トルクを切れ目なくフロントタイヤに伝える。トルクがある上にシフトチェンジが速いので、スピードの乗りが速い。油断していると、アッという間にかなりのスピードになっている。背の高い7人乗りミニバンとは思えないぐらいスポーティ。
 もちろん、ハンドリングが正確でなければ、いくらエンジンとミッションがよくてもそうは思わない。確認不足で申し訳ないが、フットワークも新エンジン&ミッションに対応して最適化されていると思われる。シャープではないが、ハンドリングは正確。切った分だけしっかりと反応する。タイヤの接地感も抜群で、背の高さを感じさせないくらいペタッと地面に張り付くように走る。コーナーでは、それなりにロールするが穏やかなロールスピードのせいか恐いとはまったく思わない。長いサスペンションストロークを十分に使いドライバーに快適な乗り心地と安心感を与えてくれる。

ありあまるパワーを完全支配下におくシャシー

フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン走り

 それにしても、フォルクスワーゲンのクルマにはいつも感心するのだが、ハイパワーのエンジンを積んでも車体が完全にパワーを支配している点だ。世の中の同じFF車には、エンジンが車体より強く、フルパワーを与えたり限界に近い走行をするとクルマが暴れて、コントロールするのも大変なクルマもある。ハッキリ言うと、飛ばせば飛ばすほど疲れちゃうのだ。ところが、フォルクスワーゲンのFF車にはほとんどそれがない。それもESP(横滑り防止装置)などの電子制御系に頼らずに、クルマ本来のボディやサスペンションで完全にパワーを支配下においているのだ。世界中の自動車メーカーが、フォルクスワーゲンのFF車をベンチマークとするのも納得がいく。

超お買い得!? 戦略的価格の275万円!!

フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン インパネ

 魅力は走りだけではない。プライスタグにも注目したい。なんとゴルフトゥーランTSIトレンドラインの価格は275万円!!!。国産のミニバンに比べてもかなりお買い得。一見高そうに感じるかもしれないが、ESP(横滑り防止装置)やカーテンシールドエアバッグにタイヤ空気圧警告灯、ヒルホルダーまで装備されている。この手の装備は、国産車はほとんどオプション装備であることを考えると、国産車とほぼ同等の価格でトゥーランを手に入れることができる。
 今までゴルフ系のクルマは、クルマの質やクオリティを考えると国産車と比べ少々割高感があった。クルマの質を考えたら、ある意味仕方のない価格でもある。しかし、このトゥーランだけは国産車と価格面でも同等な勝負ができる。フォルクスワーゲン・ジャパンでは、この価格を決めるに当りドイツ本社と赤字価格といわれるほどの価格設定に時間を費やしたという。まあ、いわゆる戦略的価格っていうやつだ。それはともかく、新エンジンにDSGなど、国産車にない装備を考えると逆にいうと「これは安い!」と感じるはずだ。

シートアレンジやユーティリティは国産ミニバンが有利

フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン シート

 日本国内にある輸入車で7人乗りミニバン、とくにトゥーランのようなコンパクト系はほとんど存在しない。それだけでも十分個性的。さらに、価格も国産車並みとくれば、今まで国産ミニバンしか選択肢になかったユーザーにも、ぜひ新型トゥーランには乗って欲しいと思う。「ちゃんとしたクルマに乗ると気持ちがいい」と思ったボクの気持ちが分かるはずだ。陳腐な表現で申し訳ないが「回転寿司しか食べたことのない人には、それ以上の味は分からない」のである。新型ゴルフトゥーランで、その極上の味をリーズナブルに味わって欲しい。走りの質を重視するのであれば、ゴルフトゥーランはイチオシ。
 できることなら、少し地味目なデザインとシートアレンジやユーティリティにもうひと工夫あればと思うくらいだ。

フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン シートアレンジ
フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン シートアレンジ
フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン シートアレンジ
フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン セカンドシート
フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン サードシート
フォルクスワーゲン ゴルフトゥーラン 6速DSG
達人プロフィール: 大岡 智彦
職業:コリズム編集長
自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。
代表グレード
ゴルフトゥーランTSIトレンドライン
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4,420×1,795×1,660
車両重量[kg]
1,600
総排気量[cc]
1,389
最高出力[ps(kw)/rpm]
140(103)/5,600
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
22.4(220)/1,500〜4,000
ミッション
6速DSG
10・15モード燃焼[km/l]
12.6
定員[人]
7
税込価格[万円]
275.0
発売日
2007年3月22日
レポート
大岡智彦
写真
和田清志

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